令和5年3月定例議会が終わりました。3月定例議会では、新年度予算案などすべての議案が可決、決定されました。しかし、議会閉会間際に議員提案で上程された条例改正には問題があると考えており、再議を検討しています。
以下、3月定例議会に上程された議案とその採決結果を説明します。
[条例案など]
①固定資産評価審査委員会委員の選任(杉山信義氏の再任)
②三丁公園整備工事請負契約の変更の専決処分の報告(芝生保護マット敷設等を追加,7百万円の増額で199百万円へ,高木建設)
③於大公園再整備工事請負契約の変更の専決処分の報告(浄化槽の撤去等を追加,7百万円の増額で79百万円へ,ヒューテック)
④議会の議員の議員報酬及び費用弁償等に関する条例の一部改正(議員の期末手当の加算割合を引き上げ、議会運営委員長と議会広報特別委員長の報酬月額を1万円引き上げ)
⑤特別職の職員で常勤のものの給与及び旅費に関する条例の一部改正(町長・副町長・教育長の期末手当の加算割合を引き上げ)
⑥地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部改正(南ヶ丘B地区における建築物の用途制限を共同住宅から一戸建ての専用住宅に変更)
⑦町道路線の認定(生路傍示松宅地開発地内)
②の整備工事で今月中に芝生滑り台とドッグランが完成し、新年度から三丁公園が全面オープンします。
③の再整備工事でプール跡の造成が完了し、新年度予算でプール跡に駐車場を整備、遊具広場に新たな遊具を設置する予定です。
④⑤は、長年据え置かれていた特別職の期末手当の加算割合を人口と財政が同規模の自治体に合わせて20/100から45/100に引き上げるものです。武豊町と阿久比町も同様の改定をします。議員16名分の年間影響額は372万円、町長・副町長・教育長3名分の年間影響額は180万円です。また議会運営委員長と議会広報特別委員長の議員報酬月額を常任委員長と同じ28万円に引き上げます。特別職報酬等審議会から引き上げについて意見をいただいています。
採決の結果、①~⑦のすべてが全会一致で可決されました。
[予算案]
①令和4年度一般会計補正予算(第16号)(町税、寄附金の収入増、公共施設等整備基金積立、障害者訓練等給付扶助など)
②令和4年度国民健康保険事業特別会計補正予算(第4号)(保険税収減、一般会計繰入金の増など)
③令和4年度下水道事業会計補正予算(第3号)(消費税の支払い増)
④令和5年度一般会計予算
⑤令和5年度国民健康保険事業特別会計予算
⑥令和5年度土地取得特別会計予算
⑦令和5年度後期高齢者医療特別会計予算
⑧令和5年度水道事業会計予算
⑨令和5年度下水道事業会計予算
④~⑨の新年度予算の概要については、https://www.town.aichi-higashiura.lg.jp/material/files/group/13/r5yosanannogaiyou.pdf をご覧ください。議会での所信はこちらをご覧ください。
採決の結果、④は14:1の賛成多数、他の予算案は全会一致で可決されました。
[追加議案]
①国民健康保険条例の一部改正(出産育児一時金を42万円から50万円に引き上げ)
②令和5年度一般会計補正予算(第1号)(新型コロナウイルスワクチン接種事業費、保育所等送迎バス安全対策費)
③令和5年度国民健康保険事業特別会計補正予算(第1号)(出産育児一時金の増額)
①③により、被保険者が出産したときに50万円が支給されるようになります。
②では、国の方針を受け、令和5年度の新型コロナウイルスワクチン接種に要する費用として、春に高齢者・基礎疾患のある方・医療従事者、秋以降に5歳以上人口の8割、計242百万円を見込んでいます。
採決の結果、①~③のすべてが全会一致で可決されました。
[議員提案]
①議会の個人情報保護に関する条例の制定
②議会議員の政治倫理に関する条例の全部改正
③職員の公正な職務の執行の確保に関する条例の一部改正
①は、改正個人情報保護法の施行にあわせて議会としての個人情報保護条例を制定するものです。
②は、選挙人名簿に載った有権者が議員の不正について議会に審査請求できることとするものです。③は、匿名や町外者まで幅広く公益目的通報ができる条例を一部改正し、通報対象から議員を除外するものです。②と③によって、選挙人名簿に載った町内在住の有権者しか、議員の不正を通報できなくなります。これらの議案については、3月定例議会の会期中にも議員間で議論がもつれ、議会最終日の閉会ギリギリになって飛び出してきました。
採決の結果、①は全会一致で可決、②は棄権1、反対1、賛成13で可決。③は棄権1、反対4、賛成10で可決されました。
この条例改正は、議員の不正を知った個人が不正を是正するための通報をする権利を制限するものとして容認できません。行政としては、住民の目線に立ち、住民の権利を守るべく再議を検討しています。
東浦町職員の公正な職務の執行の確保に関する条例(通称 コンプライアンス条例)は、平成22年国勢調査における不適正な事務処理を反省し、職員の法令遵守意識の徹底と、公正な職務の執行を目的として制定されました。外部監察員(弁護士)を設置し、公益目的通報を当該外部監察員が直接受け付けるなど、町から独立して業務を行うことで、透明性を高めています。
この条例は、一般職の職員だけでなく、町長、副町長、教育長、議員などの特別職も公益目的通報の対象としています。また、住民のみならず通勤通学者、町内に事業所を持つ個人、町の業務を受託している従事者、指定管理業務の従事者など、幅広い人たちからの通報を可能としています。さらに、ハラスメント事案などを含む通報者保護の観点から、根拠を示せば匿名での通報も可能としています。
このコンプライアンス条例の通報対象から、町議会議員を除外して、議員の不正についてコンプライアンス条例に則った通報をできなくしようというのが、今回の条例改正の主旨です。こんな議員に都合の良い条例改正を立法者がお手盛りで行うのは常識では考えられません。住民の付託を受けて、襟を正すべき存在が、自らに他の公務員よりも甘いルールを課して「政治倫理」とは理解に苦しみます。見据えるべきものは自分たちの保身ではなく、住民益であることを忘れてはならないと思います。
特に、東浦町議会では数年前に不祥事騒ぎを起こしたばかりです。当事者の議員が辞職勧告を受けながら未だに居座っている状態です。そんな状態で、住民の公益目的通報の権利を侵害する条例改正です。いったい何を考えているのやら???と思われても仕方ありません。
※各議員の賛否など審議結果の一覧は議会HPでご覧になれます。
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