愛知川町立図書館
11月8・9日に、西宮市(行財政改革)と滋賀県愛知川町(図書館)へ視察に行ってきました。
特に、愛知川町立図書館は、以前、朝日新聞の書評で館長の渡部(わたなべ)幹雄さんのことを知ってから是非一度行ってみたいと思っていた所です。
まず、館長がすごい。
渡部さんは元々大分県生まれで地元の緒方町役場職員だったときに図書館担当になった。それから図書館の虜に。長崎県森山町で図書館新設計画が持ち上がったとき、町長に乞われて役所を移る。そこで図書館の立ち上げを指揮。木造で日本一の図書館を完成、利用者が大幅に増加した。
さらに、平成10年、愛知川町長に乞われて愛知川町に。このとき、断るつもりで、ほとんど無理な条件を(自分の待遇に関してではなく、新図書館のコンセプトやスペックに関すること)付けたが、町長がすべて呑んでしまったので断れなくなってしまったのだそうです。
図書館を語らせたら話は尽きません。
そして、ハードがすごい。
約15億円(併設の公園と瓶手まり展示館を含む)掛けて延べ床面積約3000㎡の平屋造図書館の中には明るく広々としたスペースに木製のシンプルなデザインの本棚が並んでいます。現在の蔵書は13万冊ですが、26万冊まで収集できるそうです。本棚の高さは車椅子で届く程度の高さなので、館内を見渡すことが出来ます。
読書コーナーは、畳だったり、掘りごたつのようになっていたり、円卓があったり、ソファーがあったり、カウンターのようになっていたり、書斎風だったり、それぞれ個性があって、利用者は思い思いの場所で読書が出来るようになっています。庭にも、テーブルが置いてあって、ガーデンテラスで本を読むこともできます。もちろん子どものコーナーも広くかつ工夫がされています。
もちろんソフトもすごい。
書棚の本のディスプレイはきれいで、工夫がなされています。そして、書籍に限らず、あらゆる資料を自分たちで収集しています。全国の電話帳、新聞の折り込みチラシから、町内の飲食店のメニュー、自動車販売店のパンフレットまでも・・・。この図書館では、セールスマンにせかされることなくのんびり車選びが出来るのです。このほか
にも、利用者が地域の紹介したいスポットをカードに書いてファイルする仕組みや、他県の市町村が送ってくる情報など、自己増殖型のデータファイルを備えています。
資料集めだけではなく、情報発信も怠りません。地域や小学校の今昔写真展、郷土資料の編纂、図書館の建物内外を利用した音楽会や薪能。併設のびんてまりの館(手毬の展示館)での展示も企画します。
本を貸すだけではなく、縦割りの垣根を意識することなく、中央公民館や郷土資料館、教育委員会や児童館の仕事にも手を広げていく積極性には感心させられます。
この図書館は、毎週月・火がお休みです。私が「利用者は不便ではありませんか?」と訊ねると、館長いわく「そんな質問をするのは町外の方だけです。町内の苦情はありません。”図書館は週休一日”の固定概念に縛られていませんか?」「図書館のかき入れ時は日曜日。日曜日に職員が一丸となって最高のサービスをするためには、週2日休みでないとシフトが組めません。職員のコンディションを整えるのはマネージャーの役目です。」とのお答えでした。
良いことばかり書いているようですが、とにかく一見の価値はあると思います。
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