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2009/01/09

東京都国立市と千代田区を訪ねる。

自治ネットの視察に参加して、東京都国立市と千代田区を訪ねました。
国立市では、大学通りを歩き、市の景観政策について担当から説明をいただいた後に、関口博市長と懇談することができました。
千代田区では、千代田区議会の議事堂の設備見学の後に、議会の情報公開と政務調査費の取り扱いについて、政務調査研究費交付額等審議会の副会長の清水勉弁護士からお話を伺いました。午後からは、それぞれ「図書館サービス」「企画」「広報」機能を持つ3社の指定管理者によって運営される千代田区図書館を見学。設備もさることながら、ロケーションに合わせ平日は10時まで営業、市民の書斎としてあえて本を貸し出ししないスペースを設けるなど特色あるサービスを提供しています。
 

国立市

国立の名前は、中央線の国分寺と立川の中間に駅ができたことが由来です。大正時代のおわりから西洋の都市計画にならい、一橋大学や国立音楽大学を誘致し理想的学園都市を目指してつくられた街です。武蔵野の雑木林を切り開き、区画を整理し、当時としては常識はずれの幅44mの緑地つき街路をつくったのは箱根土地(のちの西武鉄道グループ)です。そんな土地柄からなのでしょう。国立マンション訴訟にみられるように市民は景観に敏感です。
市の取り組みとして、都市景観形成条例の制定都市景観形成重点地区の指定大規模行為景観形成基準の設定旧国立駅舎の保存などに力を入れています。

JR中央線連続立体交差工事中の国立駅前から大学通りを歩く。車道、歩道に加え、自転車道も備えている。Dscn9264sc Dscn9275sc

 

 

 

 

緑地帯のイチョウは両側のビルに届く高さ。クリスマスの飾り付けが残っている。Dscn9280sc Dscn9281sc

 

 

 

 

 

一橋大学前の駐輪場。Dscn9286sc Dscn9297sc

 

 

 

 

住宅街にある歩道橋から駅前を振り返ったところ。歩道橋の色にも議論があったそうだ。Dscn9303sc Dscn9322sc

 

 

 

 

これが問題になったマンション。Dscn9323sc Dscn9332sc

 

 

 

 

関口市長は時間がせまる中、ギリギリまでお話しをしてくださいました。Dscn9343sc2

 

 

 

 

以下はお話の要旨。

当時、国立市は東京都と交換便をしていて、4月にそのアルバイトに受かったのが市役所で仕事をするようになったきっかけ。日米新ガイドラインについて勉強していて、市民からガイドラインに関する陳情が出たのを市議会議員が「めんどくさい」と言うところを聞いてしまった。市議会に対して不信感を抱き、8月に自分も市議会議員になろうとした。次点と20票差で辛くも当選、上松議員と新しい風という会派を組んで活動を始めた。

国立には無所属の候補者が当選できる風土がある。環境、教育、景観、福祉に市民の意見があり、自分たちの声を上げ、自分たちでまちづくりをする風土がある。マンション問題では人口7万人の町で5万人の署名が集まった。無防備地域宣言では住民発議があった。

国立市の障がい者は2000人、重度の障がい者50人(ふつうは1人)で、人口当たり日本一だ。施設に入りたくない、障がい者があたりまえに暮らすことを宣言している。福祉計画は障がい者が介助者つきで参加して自分たちでつくる。行政よりも障がい者が情報を持っていて国をも動かす。

住基ネットは当初つないだが、アンケートでも7割の市民が不安と答えた。セキュリティーに脆弱性があり、住基法36条の2にある必要な措置として切断した。住基ネットを使えば一瞬にして名寄せができるなど、国民の個人情報の一元管理は為政者の昔からの夢だ。平成23年には、社会保険の情報を載せる予定と聞いている。図書カードなども含めて、市民の行動、嗜好、財産を把握できるようになる。住基ネットには矢祭と国立が抵抗している。

3期目市議選の準備に取り掛かっていた2月頃に上原前市長が立候補を取りやめると言い出した。対立候補は都の職員。市長選に出るつもりはなかったが、障がい者から毎朝「施設に入りたくない。私たちの命を助けてください。」と電話をもらった。小さな声、弱い立場の人に目線を置くべきと考え、急遽312日に立候補を決断。20日までに市内にパンフレットを配り終えた。1週間の選挙期間中、最初は低調だったが、対立候補がひどい演説をしたため、投票日3日前に勢いに火がついた。結果、1400013000で勝った。

行政と市民のトラブルでは、情報管理課長が担当部署、弁護士と相談しながら対応するようになった。原告も本人訴訟だったりする。担当者自ら対応するのは役所の能力を高める良いチャンスになる。

市長になって、議員時代の反省点が見えてきた。

①自分はもっと突っ込んで勉強すべきだった。

②執行部をチェックする活動、攻撃する勉強はしたが、物事をつくり出す勉強や活動をしてこなかった。

③議員は少しずつではあるが財政についてきちんとした議論ができるようになってきた。

④議員時代には定数削減に慎重だったが、今では24人の定数の半分くらいで良いと思うようになった。

⑤情報を持っている職員から情報を得るのは得策だ。

⑥議員は本当に住民の立場に立っているか。市の状況をちゃんと市民に説明できるか。

国立市議会は活発。一般質問で何を聞いても良い。少しでも関連があればOK。委員会は午前様もあたりまえ。

少数与党だと市長は何もできない。与党だと賛成すべき、野党だと反対すべきではなくて、事前に議会と協議して合意をつくっていくべきだと考える。国立では議会前に議員に対して議案説明している。

市民参画と情報公開は上原前市長から引き継いだ。上原さんがモノ・コトをつくってこなかった分、自分はまちづくりをしないといけないと思っている。

 関口ひろしとみんなの広場:マニフェストhttp://sekiguchi.s292.xrea.com/mani.html

 

千代田区

議席を移動して多目的ホールに衣替えできる区議会議事堂(ただし今のところ議場以外の利用例はないそうだ。)。議場のレイアウトは変更可能で、議員側と区長側双方に演台を置く対面型も可能。Dscn9359sc Dscn9363sc

 

 

 

 

資料画像や各議員の賛否を表示するスクリーンシステムを装備。もちろん議会広報誌でも個々の議員の賛否を公表する。Dscn9364sc Dscn9367sc

 

 

 

 

清水勉弁護士のレクチャー
 

市民オンブズマンの情報公開の部門で企画・戦略を練ってきた。弁護士でなくても行政相手の訴訟で勝てるしくみをつくってきたつもりだ。情報公開訴訟は金にはならないが面白い。裏金などのスキャンダルではなく、行政で実に雑な議論がなされていることを暴く意味は大きい。疑問は改善や想像力を産みだすもとだ。

前半は暴くことに熱中していたが、ここ数年はどんな提案ができるかに興味がある。

改革派知事が前面に出て、自治体のダメさ加減を示してきたが、警察以外はまあまあのレベルになった。自治体警察の実態は国家警察だ。

出せる情報と出せない情報のメリハリをつけていきたい。警察を弱体化させるのではなく、警察の日々の仕事を地域住民が理解できるようにしていきたい。

情報公開は万人にとってニュートラル。どう使うかはその人の力量次第だ。関心のあるテーマについて関心のある人が情報公開請求する。利用する人の使い方が大事。行政に公開する姿勢があることが大事。

行政は「いままで公開していない」と言うだけで法的根拠がないから、警察を相手にしても裁判に勝てる。今の状況を変えていくには、議員などに丸投げするのではなく、問題意識のある当事者が調べて一緒に考えることが大事。

清水弁護士が、全国で市民の本人訴訟で勝てるように、情報公開裁判のマニュアルを作った。裁判所の意識が変わった。最高裁でも勝てる。これが情報公開の功績だ。

自分が正しいと思うことを裁判で確認すればよい。そうすれば、自治体自身でよく考えるようになる。一市民が行政を軌道修正させることができる。

行政訴訟には「市民に勝たせてはいけない」不文律があるが、情報公開の分野が突破口になる。情報公開条例は構造も内容も全国ほぼ同じ。各自治体が「猛毒」であることを知らずに作ってしまった。国籍、年齢不問、何人も訴えの利益がある。国はつくりたくなかったが、外圧もあったし、自治体がやっているので、国も情報公開法をつくることになった。

政務調査費については、目黒区、品川区についで千代田区が飲食に関してだらしない。誰も訴えないので通っているが、裁判になったら負ける。

政務調査研究費の交付に関する条例は、〇〇に使っても良いと規定すると使途が膨らむ傾向になる。〇〇に使ってはいけないと言う禁止規定にすれば慎重になるだろう。政務調査費の使途はわかりやすくすべきだ。

千代田区の条例施行規則では会議費として15千円以内の飲食を認めているが、冠婚葬祭や祝儀や市民のたかりの会費なくせば政務調査費は変わると思う。フランス革命のような急激な変革は混乱をもたらすので、少しずつ進歩していきたい。一度、裁判で負けるのも良いのではないか。

議会の海外視察はひどい。受け入れ側は首をかしげている。集団で来て、事前調査もしない。後の報告もない。質問もない。

海外の議会こそ自分の目で視察すべきだ。ドイツの地方議会では、学生や主婦や裁判官が議員になっている。子どもの頃から政治に関わる教育がある。若い頃から政党に入る。職員はほとんどいなくて、議員同士が議論する。だから正統な議論が通る。

議員の仕事には専念しなくて、1期くらいでやめるのが普通。誰でもできなければ民主主義ではない。一方、日本の住民は投票日だけの主権者だ。

日本は100年に一度の不況どころではない。未曾有の破綻状況だ。情報をディスクローズすれば明らかになることだ。アメリカに従属しているのだからアメリカよりもひどくなる。

もっと落ち込んで失業者も増えることがわかっているのだから、貧乏でも暮らしていける社会を構築しなければならない。議会も行政も今の状態では済まないだろう。

一般の人が、官僚と対等に法律の素養をつけることは無理。

国が地方に仕事を押し付けたのが地方分権だ。地方自治法を改正して、国の仕事は国で、地方の仕事は地方でとした。国や県の解釈が正しいわけではない。法の解釈権は地方自治体にあるのだから。基本的な考え方、センスが大事だ。

民主主義にはそれほど期待していない。議会に来ないで地域のみ歩いている人のほうが当選したりするのだから、結構危うい。

日本は、一般の人が政治に参加するしくみをつくらなかった。せっかく戦争に負けさせていただいたのに、憲法をつくるのにも市民は参加しなかった。戦争の反省もきちんとしていない。何がまずくてどこを変えればよいのかを議論しなかった。戦争に加担したはずの官僚、検察官、裁判官も裁かれていない。戦犯として死刑になったのは広田弘毅ぐらいだ。

ドイツの裁判所の入口には「自分たちは戦争に加担した。それに心して仕事をする」旨の文言がある。裁判官と政治的個人とは異なる。ドイツでは公務員の政治活動は問題ない。(その点、日本では公務員を程度の低い人間とみなしている。)

同じ海外視察に行くなら、議員2~3人でドイツに行って説明してもらってはどうか。

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