電気ペン・・・ヨウ化カリウムとデンプンを紙にしみこませた物を電極でなぞると!!
ヨウ化カリウムの水溶液に片栗粉(デンプン)をお湯で溶いたものを混ぜて、紙(キッチンペーパーくらいが適当)に染み込ませ、アルミ箔の上にのせます。このアルミ箔を負極(-)に、クギなどペン先の代わりになるものを正極(+)にして4.5ボルトほどの電圧をかけて、紙の表面を字を書くようになぞると、青紫色の字が書けます。
家庭でも簡単にできる電気ペンの実験です。
なぜ字が書けるのでしょうか?
ヨウ化カリウムの水溶液に電流を流すと、電気分解が起こります。ヨウ化カリウムの中のヨウ化物イオンは正極に引き付けられ正極に電子を奪われてヨウ素が発生します。ヨウ素とデンプンは即座にヨウ素デンプン反応を起こして濃い青紫色に変わるのです。
ヨウ化カリウムはヨードチンキから簡単に手に入れることができます。ヨードチンキの成分はヨウ素、ヨウ化カリウム、アルコール、水です。まず、ヨードチンキをナベにいれアルコールと水を飛ばします。ナベに火が入るとカリウム特有の紫色の炎が出ます。液体が蒸発して赤紫色の固体が残ったら、今度は鍋を軽く火にかけヨウ素を昇華させます。ヨウ素は個体から直接赤紫色の気体となって蒸発する性質があります。この際換気を十分に行ないヨウ素を吸引しないよう注意します。ヨウ素が蒸発した後に残った白い結晶がヨウ化カリウムです。
以上は、子どもが夏休みの自由研究のテーマがまだ決まらないと言うので、実演して見せたものです。そうしたらそっくりそのまま自由研究にするというのです。自由研究というと何か手本をマネて工作でもして提出すればそれで終わりと思っているようです。(ネット上にも自由研究のネタがたくさん紹介されていますよね。)
果たして学校では科学の手法を教えているのでしょうか。研究と言うからには、少なくとも、仮説を立てて実験し、仮説を検証するプロセスが必要です。
子どもに何か疑問に思うことはないかと訊ねたら、「なぜ字が書けるのか不思議」「電圧が変わるとどうなるか疑問」と答えたので、「それを解明する実験を組んでみたら」とアドバイスしました。果たして自分で実験を考えて、少しは研究っぽくなりますやら。
夏休みの宿題と言えば、読書感想文もあります。これは私たちが子どものころから変わっていません。
私は当時から読書感想文の効果に疑問を持っていました。確かにやらないよりもやった方がましかもしれないけど、書きっぱなしで何かフィードバックがあったわけでもありません。
最近読んだフィンランドの学校教育に関する本によれば、フィンランドでは小学校から、自分の表現したいことを(外国人などの)文化の違う相手に対しても理解させる能力を磨くために発想力、論理力、批判的思考力などを身につけるシステマチックな方法論があるのだそうです。作文を書くにしても提出するだけで終わらず「なぜそう思ったのか」「なぜあなたはそう考えたのか」、先生から徹底的に聞かれるのだそうです。それを繰り返すことによって、他人を説得する力を身につけていくのだと思います。日本の教育は、教師個人の資質に頼るところが大きくて、こうしたプロセス重視の「メソッド」が足りないような気がします。
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この電気ペンの実験、すごく面白いですね。こういうのを集めたら、夏休み自由研究「科学実験編」の本が作れますね。ベストセラーになったりして・・・@@
うちの小学5年は鉄道写真記を自由研究にしたのですが、2クラスのうち、自由研究を提出したのは計4名に過ぎなかったそうです。しかも、残りの3名は全員「皆既日食」をテーマとする研究だったそうです。
「自由」と言われると何をしていいかわからず、結局、マニュアル本に頼ろうとしてしまうのは何故でしょうね。やはりご指摘の通り、日本の学校教育で欠落している部分が多々あるように思えてなりません。
それはそうと、読書感想文の課題図書がバカ売れなんだそうです。たまに良書もありますが、買って損したという経験をもつのは私だけでしょうか。私自身は、読書感想文は「やるよりもやらない方がマシ」としか思っていません。やりたい人がやるのを妨げるつもりはありませんが、やりたくない人にまで押しつける必要は全くないと思っています。これが元で読書嫌いになった人も、少なからずいるはずですから。
求む、読書感想文選択制の普及化^^;
投稿: 絵本の虫 | 2009/09/13 23:27
そうそう。課題図書ってなんであんなにつまんないんでしょうね。でも(これもマニュアルというか、お約束なのでしょうか??)私もバカ正直に買って読んでいました。
「いたずらラッコのロッコ」なんてのを思い出しました。いかにも課題図書的な題名ですね。これがつまらなかったのかどうかは覚えていませんが、星空の下で子どものラッコが仰向けになって気持ちよさそうに寝ているイメージだけが残っています。
あと、ちょっと異色で印象に残っているのは、4年生のときだったか?江戸時代のアイヌに対する差別・弾圧を扱ったものがありました。題名は忘れました。(これは夏休みが終わったあとで先生がポカ~ンとしている私たちの前で、差別のことを指摘したことが心に残っています。)
こう書くと、課題図書もまんざらでなかったように聞こえますが、
つまらないとため息をつきながら棒読みして、極力改行しながら(時には二重否定のような長ったらしい表現を使い)原稿用紙を2枚とちょっと埋めるのに腐心していた記憶がほとんどです。
投稿: かみや | 2009/09/16 09:31
こんなふうに小学校の時の記憶が残っている人はごく稀だと思います。ただ、その優等生くんでさえも、いたずらにマスの目を埋めることを考えなければならなかったのですから、読書感想文が普通一般の子ども達にとってどれだけ苦痛か想像するに余りあります。やっぱり選択制にしましょうヨ^^;
投稿: 絵本の虫 | 2009/09/18 23:26
「苦しいだけで効果がない」とすれば・・・。
なんだか、昔の「うさぎ跳び」みたいですね。
投稿: かみや | 2009/09/19 11:25
あれれ?「うさぎ跳び」って効果ないんですか?(私は陸上部時代に階段でやっていた覚えが・・・)
たとえていうなら、「巨人の星」の大リーグボール養成ギブス。その心は、ごく一部の人には耐えることができて効果も上がりましょうが、その他大勢にとっては苦痛そのもので逆効果にしかなりえないもの。
言い過ぎだったらスミマセン。
投稿: 絵本の虫 | 2009/09/19 23:00
うさぎ跳びは、しんどい割りに身体に良くないらしく、今はもうやらなくなったと聞いています。
昔はちょっと悪さをしても、「うさぎ跳びで運動場一周!」なんて言われたものです。
投稿: かみや | 2009/09/24 23:48