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2009/08/19

これぞ水力発電所!

 7月末に新潟方面に行ったときに撮った写真です。

 これは、信濃川(千曲川)にある西大滝ダム。ダムと言っても高いものではなく、東京電力信濃川水力発電所の取水堰になっています。ちょうど折からの雨で川が増水して放流中。道路は狭いですが、ダムの上を車で渡ることができます。
 ここから取り入れられた大量の水は、左岸にある沈砂池に入ってから巨大な自然流下式トンネルを通って、約20キロメートル下流の発電所上部にある調圧水槽に導かれます。トンネルはほぼ水平のゆるい勾配。一方、信濃川は、海のある下流に向かって高度を下げていきますので、20キロメートルも下ると調圧水槽と河原にある発電所との間に100メートルもの落差が生じます。
 この水を水圧鉄管で調圧水槽直下の発電所に設置された水車に導き、水車に直結された発電機を回転させることによって発電を行います。水車(タービン)を回した後の水は再び川に放流されます。
 これが水力発電の基本的な原理です。
 最近の水力発電所は、取水口がダム湖の水面下にあったり、発電所の建物や水圧鉄管が地下にあったりして、これらの基本的なパーツがわかりにくくなっています。その点、昭和14年(1939年)に運転を開始した信濃川発電所はパーツがわかりやすい上に、5本の巨大な水圧鉄管が山を下るおそらく日本でいちばん立派な発電所でしょう。
 最大出力は17万7千kw。常時でも11万kwもの発電量があり、天竜川の佐久間発電所についで国内第2位を誇っています。

 

 西大滝ダム                ダム右岸にある魚道
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 堰堤の上部
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 本流からの取り入れ口と導水路    沈砂池へと導かれる
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 調圧水槽から山を下る巨大な水圧鉄管
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 発電所の背後から撮った写真     発電所全景
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※西大滝ダムのあるのは長野県野沢温泉村、信濃川発電所があるのは新潟県津南町。長野県内を流れていた”千曲川”は、新潟県に入ると”信濃川”になります。

 

Suiryokuhatsudenfig1

 

 信濃川発電所の下流には、JR東日本の千手発電所、小千谷発電所などがあり、首都圏の電車用に電力を供給しています。信濃川発電所のすぐ下流には、千手発電所と新小千谷発電所に送水する宮中ダムがあります。
P1060662sc Sinanohatudensikumi
                         ※十日町市 信濃川中流域の水力発電

 

さて、簡単な物理の問題です。

信濃川発電所の
使用水量(一秒間に使う水の量)は、(1m3=1tとすると)171 m3/s=171t/s=171000kg/s
落差(調圧水槽の水面と川の水面との標高差に相当)は110m
重力加速度(地球上の物体が受ける引力)は9.8m/s2とすると、
発電所の出力は何kwになるでしょう?

出力(仕事量)=mgh/t=使用水量×落差×重力加速度=184338000w=184338kwと計算できます。信濃川発電所の最大出力は177000kwです。実際には損失があって効率100%ではありませんので、妥当な線でしょう。

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コメント

物理と聞いただけでアレルギー反応が起きそうでしたが、思いの外この問題は易しくて安心しました^^;

それにしても、水力発電所がこんなに見応えがあるものとは知りませんでした。ダムマニアさんの気持ちが少しわかったような気がします。

投稿: 絵本の虫 | 2009/08/21 23:23

位置エネルギーは、m(質量)×g(重力加速度)×h(高さ)で表されます。これが、タービンと発電機によって電気エネルギーに変わります。
「電力」は仕事率(時間あたりの電気エネルギー)ですから、m(質量)の代わりに流量(時間あたりの水量)を使えば、簡単に求めることができます。

ここは、大河の少ない日本においては、(揚水式発電所を除けば)最大級の(マッチョな)発電所です。日本中いたるところに普通は気がつかないような小さな発電所もいっぱいあります。大から小まで結構奥深い世界がありますよ。

ところで、ダムマニア=発電所マニアではありません。
鉄道でも、路線マニアと車両マニアは、またちょっと違いますよね。

投稿: かみや | 2009/08/22 22:04

詳しい解説を有難うございました。いずれにしても、マニアの世界は奥が深すぎて、ど素人には理解に苦しむものがあります^^;物理はIIまで学びましたが、何も自分に残っていません。高校の先生の説明よりも、かみやさんの方がずっとお上手ですね。

私はどちらかというと、人間の手が加わっているものよりも、自然そのものの方に惹かれます。ダムが人間の叡智なら、滝は自然の神秘でしょうか。ナイアガラの滝つぼで水しぶきを浴びた時の感動は忘れられません。

投稿: 絵本の虫 | 2009/08/22 23:34

「涙の乙女号」でしたっけ??
エレベータで降りて、カナダ滝を裏側から見るのもありましたよね。
トンネルの先に開いた窓から水の壁が見えるのですが、どうしても滝の落ち口を下から見上げたくなって、(辺りに誰もいなかったので)立ち入り禁止のロープを超えて横坑の出口から顔を出して見上げた覚えがあります。
崖の突端から水の壁が放物線を描いて落ちてくるのですが、夜間照明のおかげで水というよりはピンクレディでしょうか。とても飲みきれませんね。

投稿: かみや | 2009/08/23 14:15

「霧の乙女号」ですね。"The Maid of the Mist"とこちら↓にありました。
http://www.niagarafallstourism.com/niagara-falls-experiences.html
夜間照明も素晴らしかったですね。でも、ピンクレディという発想はなかったです(笑)

私はその日、アメリカからカナダに入って滝の上のホテルに泊まる予定でした。ところが、夫がパスポートを忘れてきたために、急遽、アメリカ側のホテルに宿泊することになってしまったのです。それでず~っとカンカンに怒っていたのですが、滝つぼツアーの迫力で、そんな些細なことはどうでも良くなってしまったのが、自分でも笑えた想い出です^^;

投稿: 絵本の虫 | 2009/08/23 22:15

そう、そう。「霧の乙女」でしたね。訂正ありがとうございました。

「乙女の涙」はフレペの滝(知床)ですね。
http://www.town.shari.hokkaido.jp/shiretoko/point/8p_furepe.htm
http://www.shiretoko.go.jp/event/course/furepe/furepe.htm

ところで、ナイアガラは滝の落差を使って最初の本格的な発電所が造られたところといわれています。(今も遺構が残っているのでは??)
現在では、カナダ側とアメリカ側に巨大な発電所があり、あわせて440万キロワット(信濃川発電所は17万キロワットです。)の出力を誇っています。

http://www.nationalgeographic.co.jp/environment/global-warming/hydropower-profile.html
http://www.niagarajapan.com/home/zatsugaku_view.asp?ID=18

投稿: かみや | 2009/08/24 08:44

ナイアガラの水量を見れば、たしかにあれを活用しない手はないと思えてきますよね。水力発電も最初は「もったいない」が発端だったのかも?な~んて、勝手なことを思いました。

ダムだけでなく滝もあちこち見に行っておられますか?私は有名なものは日光の華厳の滝くらいしか見ていないような気がします。

投稿: 絵本の虫 | 2009/08/25 00:55

那智の滝はないですか?
修学旅行で定番だった白糸の滝とか?

水量も多くて落差(100m級)もある大規模なものでは、華厳の滝のほかに、尾瀬の「三条の滝」が立派です。歩かないと行けませんが。

日本一の高落差(350m)は、立山の称名滝です。5月頃には雪解けで水量も豊富。となりに季節限定の滝(落差500m)も出現します。簡単に近づくことができるのでお薦めです。

袋田の滝は、滑滝タイプで有名ですが、私は行ったことがありません。

古い写真でも引っ張り出して、滝の記事でも書いてみようか???と思います。でも、首尾よく見つかるかどうか。

投稿: かみや | 2009/08/25 18:45

那智の滝は絶対に行っていないと思います。白糸の滝は、小学校の移動教室で山中湖に行った時に足を伸ばした可能性もないわけではありませんが、たぶんないと思います。(TVか何かで映像は見て知っていますが。)記憶を必死に辿りましたが、確信がもてないのが哀しいところです(涙)

「残暑払い」のお写真も涼しげで良かったですね。あれはどこなんでしょう?

「滝の記事」に期待しております。お暇な時にお願いします。

投稿: 絵本の虫 | 2009/08/25 22:35

あれは、奥志賀です。
志賀高原の高天原から流れ出して奥志賀~秋山郷を通ってやがては津南で信濃川と合流する雑魚川(ざこがわ・ざっこがわ?)と言う川があるのですが、途中、滝が連続してとても景色の良いところがあるのです。車道からだとわかりませんので、1時間くらいの散歩になります。秋の紅葉もきれいです。

投稿: かみや | 2009/08/26 01:21

情報ありがとうございました。いろいろなところを訪ねておられるのですね。ひょっとして秘境マニアとか!?

投稿: 絵本の虫 | 2009/08/26 23:16

マチュピチュではありませんが、山のてっぺんにまちがあるとか、断崖絶壁の峡谷を遡ったところに忽然と集落が現れたりするのって、憧れませんか??
なんか桃花源記みたいですね。

「秘境」と言われるところは、あちこちにありますよね。
子守唄で有名な五木とか。
四国の祖谷、十津川村、白川郷・五箇山、秋山郷、遠山郷などなど。
そして秘境には、平家の落人伝説があったりします。
陸続きだけど舟でしかいけない海の秘境もあります。

秘境と言われるところの中には、超立派な道路ができたり、すっかり観光地化されたりして、イメージが一変してしまったところもあります。
もっとも、「変わって欲しくない」と言うのは、たまにしか行かない訪問者のわがままかもしれませんね。

投稿: かみや | 2009/08/27 14:39

私はわがままなので、やっぱり変わってほしくないと思ってしまいます^^; 秘境と呼ばれる以前の本来の秘境を見つけると、とてつもなく嬉しくなりますが、大抵は数年のうちに観光地と化してしまいます。それが残念でなりません。

実は以前、勝手に自宅付近を「桃源郷」と呼んでいたことがありました。桃の木の畑が一面に広がり、春には見事な美しさだったのです。毎年、来ていたキジも宅地になってから姿を見せなくなりました。今はバージニア・リー・バートンの『ちいさいおうち』の心境です。

山のてっぺんの街にも憧れますが、「山のそのまたむこうも山」の世界もやっぱりいいなと思います^^;

投稿: 絵本の虫 | 2009/08/28 01:33

秘境がゆえに訪ねる人がいるのに、他と変わらぬ観光地になってしまうのは愚かなことです。金の卵を産む鳥を殺してしまうような近視眼的な観光開発ではなく、そこにある価値を認識すべきでしょう。

観光バスに連れて行ってもらうだけの行き先にこだわらないお客さんはブームが過ぎれば去ってしまうでしょう。

秘境を目指すものにとっては、そこへ辿りつく過程も秘境でなければなりません。舗装してない道路を苦労して行くのも旅の重要な要素です。

投稿: かみや | 2009/08/29 07:48

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