首長が自治体に損害を与えたとして、住民が訴訟を起こし、裁判所がその訴えを認めて、賠償を命じる判決を出した。ところが、議会がその判決を骨抜きにする決議を可決。そんなのありか?
栃木県の旧氏家町(現さくら市)で、不動産業者が平成16年に競売で4500万円で取得した土地をその直後に町が2億5千万円で買い上げたのは、不当に高いとして、住民が宇都宮地裁に損害賠償を訴えた裁判で、平成20年12月、地裁は住民側勝訴の判決を出した。地裁は町長が町に与えた損害を1億2千万円余りと認定し、現さくら市が当時の町長に損害額を請求するよう命じた。
しかし、さくら市は、東京高裁に控訴。
さらに、市議会が「市がこの訴訟で損害賠償請求を求める権利を放棄する。」という内容の「決議」を賛成16、反対5で可決した。
元町長はさくら市発足後の平成21年4月まで市長を務め「市の発展に貢献した」と言うのが、市議会が市民に不利益になる「決議」をした理由だそうだ。はたして、議会は住民の代表として住民のほうを向いているのだろうか??
同様の議会による「請求権放棄」が問題となった訴訟として、千葉県鋸南町、埼玉県久喜市、山梨県旧玉穂町、大阪府茨木市などの例があるそうだ。
※2002年の地方自治法改正以来、住民が自治体の責任者である首長を直接訴えるのではなく、住民が自治体を被告として訴え、自治体が首長に損害賠償請求をする仕組みに変わった。
さくら市の件については、元さくら市議 加藤朋子さんのメルマガ『KATOMOKOの元市議的生活http://archive.mag2.com/0000118376/index.html』に詳しい経緯が出ている。以下、最近のバックナンバーを紹介する。
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皆さんこんにちは!katomokoです
☆「住みよいさくら市を考える会」の開催 2 (2009/11/08)
さくら市浄水場訴訟の裁判の原告 櫻井秀美さんが立ち上げた、「住みよいさくら市を考える会」初回の会合が先日開かれ、katomokoも参加してきました。
当日は、70名を超える方たちが参集され用意した資料が足りなくなるほどでした。
まず櫻井さんから裁判の経過説明があり、その後今回の議決に反対した佐藤、小堀勇人、黒尾議員からも、経過報告と意見陳述がありました。
報告終了後は市民の皆さんから活発な質疑と意見交換がありました。
今回参加できなかった方たちのために、katomokoが会場で書き取った内容のあらましをこの場でご報告したいと思います。
まず櫻井さんの経過説明の中では、この件に関する数々の「おかしな事」が指摘されました。
まずは浄水場用地取得が非常に短期間のうちに行われたと言う点です。
平成16年の5月18日に、倒産した砂利処理会社の土地が競売にかけられ、それを落札した高根沢の不動産業者は、翌19日には当時の氏家町役場を訪れ、売却しても良いと売り込みに来たそうです。
24日は当時の秋元町長と不動産業者が面談し、6月1日には買っても良いと返答がなされたとのことです。
そして3日には部課長が集まって土地問題対策会議が庁内で開かれその席上で当時の企画課長がこの土地について説明をしています。
説明会ではこの会議録のコピーが配布されましたが、その会議録の中で課長は「不動産業者は更地にして町に売るとして、約7千万円程度との話であった」と述べています。
その後町は、購入を前提にこの土地を不動産鑑定にかけますが、その経緯も非常に不自然です。
町長が懇意にしている氏家の不動産業者が鑑定士を紹介して、土地の鑑定を頼んでいるのです。
町が購入する物件なのに、何故か担当の水道課はノータッチ。現地の案内も町職員ではなくこの不動産業者が行っています。
しかも鑑定結果すらも直接町ではなく件の不動産業者に報告されたとのことです。
この不動産鑑定士は後に、鑑定にあたって登記簿の確認を怠った、通常価格水準を大きく乖離した評価額を出した等の理由で、鑑定士協会から6ヶ月間の会員権停止と言う懲戒処分を受けています。
まだまだオカシナ事はたくさんありました。
櫻井さんの話は続きます。
この続きはまた来週お送りしますね。
と言うところで、また来週・・
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皆さんこんにちは!katomokoです
☆「住みよいさくら市を考える会」の開催 3 (2009/11/01)
さくら市浄水場訴訟の裁判の原告櫻井秀美さんが立ち上げた、「住みよいさくら市を考える会」
この会合の模様を先週に引き続きお送りします。
まず櫻井さんの経過説明の中での、この件に関する数々の「おかしな事」はまだまだあります。
町が購入する物件なのに、町長が懇意にしていた不動産業者がこの件に深く関与し、この不動産業者が紹介した鑑定士が、土地の値段を決める鑑定を下したことはお話しました。
この不動産鑑定が出たのが8月10日。
その鑑定結果を踏まえて町長は議会全員協議会を開催、その場で土地について議員に説明をします。
このあたりの経過はkatomokoも現職でしたので、見たままをお話できます。
最初の全協が8月31日。
報告では落札金額が約4500万
それを不動産鑑定すると価格が2億7千万と聞いて、居並ぶ議員は口々に「高い!」と言ったものです。
町長は値引き交渉をすると言ってその場は収まりました。
その後9月6日の全協で町長が2億5千万に値下げしてもらったのでこの値段で買いたいと言ったとき与党派議員が町長の援護射撃を始め、
「この土地の値段は適正だ!」「誰が高いと言ったんだ、高いといったやつ手を上げろ!」と言い出し、
katomokoは心底ビックリしたものです。
「5倍の値段が高くない?!」
「皆で高いと言ってたじゃない!?」
後から聞いた話では、31日の全協の後、与党派議員が氏家の料亭に集まり、その場には町長と不動産業者も同席して話し合いがなされたようです。
与党派議員は「あれは勉強会だった」と言っていますが。
それを境に、与党派議員の主張が180度変化したのです。
「勉強会」で一体何があったのか・・
それまで信頼していた
先輩議員、同僚議員の豹変ぶりを目の当たりにして、
「何があったのか真実を知りたい!」
katomokoはずっとそう思ってきました。
浄水場の件に、katomokoが拘り続ける理由のひとつがここにあります。
おかしな事はまだまだ報告されました。
続きはまた来週。
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私は那須町に住む者ですが、那須町でも同様の事案があり現在住民監査請求中です。
不動産鑑定は宇都宮の不動産鑑定業者ですが、さくら市で問題になっている業者名を教えていただけないでしょうか?
よろしくお願いします。
投稿: 室井 | 2016/07/12 13:26
室井様
コメントをいただきありがとうございます。せっかくご質問をいただいたのですが、私も業者名を存じません。
投稿: 神谷明彦 | 2016/07/13 17:53