« 地方議員年金~議員の待遇の話~そもそも地方議員は職業か? | トップページ | モリコロパーク 県民公園づくり空間 ワークショップ(動こう編)第5回目 »

2010/02/27

議員の任期制限を考える

日本の地方議員は報酬が高すぎる、人数が多すぎるとも言われます。ダラダラと長く居座るのも問題です。2期か3期くらいで新鮮な市民感覚を持ったメンバーに入れ替わることもひとつの考え方です。

神奈川県議会議員の菅原直敏さんは、ご自身のメルマガ(私はこのメルマガを彼が大和市議会議員の頃から拝読しています。)で、地方議員の任期制限に関して考察されています。
要約すれば、「定年(年齢制限)ではなく期数制限を設ける意議はある。ただし、全国一律ではなく、その自治体(の市民)の判断にゆだねればよい。」ということでしょうか。
以下、菅原さんのメルマガから引用させていただきました。

─────────────────────────────────
  ■ 地方議会の任期制限1
─────────────────────────────────
○高齢議員の定年制

 国政で高齢議員の定年制が話題になっています。主だった政党では、公
明党や自民党が何らかの形で議員への定年制を設けています。従って、定
年の年齢に達した議員は、「原則として」党の公認を受けて出馬すること
はできません。もちろん、政党の公認なくしても立候補は可能ですが、実
質的に政党の公認なくして当選することが非常に困難な国政選挙や一部の
地方議会議員選挙では、定年≒引退となります。

 この定年制をめぐって、高齢議員を排除することは高齢者の声を代弁す
る議員も必要ではないかという問題提起がなされています。確かに、「日
本の会社員」等には定年制があることを根拠に議員の定年制を肯定する向
きもありますが、私は年齢の高低で議員の存在意義を定義付けることは合
理性を欠いていると考えています。むしろ、議会に有権者が考えるであろ
う弊害があるとするならば、むしろ任期の長さによる部分が大きいのでは
ないかと思います。そこで、議員の任期制限という議論が次に出てきます。

 地方議会議員の任期制限について多少考察します。


○米国の任期制限事情

 アメリカでは、日本の国会議員にあたる連邦議会議員の任期制限は存在
しません。しかし、大統領は3選が禁止されています。

 州レベルで州知事の任期制限を設けているのは37州(50州中)です。州知
事の任期制限もたいていは2期8年とされることが多いです。州議会議員に
ついては、18州がなんらかの形での任期制限を設けています。制限の仕方
は様々です。

 基礎自治体レベルでは、首長や議員の任期制限を設けている自治体は多
くはありませんが、存在します。

 ところで、近年日本の自治体の首長の任期を制限する条例がいくつか制
定されています(神奈川県や大和市)。(私が確認した限り)その全てが3期
12年とされています。首長の任期制限を導入すること自体はよいのですが、
①当事者である首長自らが提案している点、②3期12年という長さに政治
的かつ個人的思惑が見られる点に関して多少の問題があると考えます。本
来は、首長をチェックする側の議会(又は住民)が、議会独自の判断によっ
て首長の任期を制限するという形が望ましいと私は考えます。


○任期制限の良し悪し

 任期制限には良し悪しがあるといわれています。一般的なメリットは、
任期を制限することで、新しい人材が議会に多く参画し、新鮮で柔軟な発
想が生かされやすいということです。一方デメリットは経験不足な議員が
増えることで議会運営などに支障をきたすということです。しかし、これ
らはあくまでも一般論であり、各議会のおかれている状況により効果は異
なります。


○任期制限の方法

 任期制限の方法は大きく分けて二通りあります。絶対的任期制限と相対
的任期制限です。

 絶対的任期制限とは、例えば2期8年と定められた任期制限は絶対的な拘
束力を持ち生涯に渡って2期8年しか議員を務めることはできません。

 相対的任期制限とは、例えば2期8年議員を務めた後、数年の間隔を空け
て再選されることは許されます。従って、連続して2期8年議員を務めるこ
とはできませんが、生涯に渡って通算2期8年以上議員を務めることは可能
です。

 但し、任期制限を受けて当該議員を勇退しても、政治的に引退するとは
限りません。任期制限後、上院議員から下院議員(逆もあり、米国の49州議
会は二院制を採用)になったり、市長・連邦上下院議員になったりするこ
ともしばしばです。


○自主立法は困難

 議員の任期制限を望む議員は原則として少ないとされています。自らの
在り方を規律する法制定を行う動機が低いことは想像に難くありません。
また、前述したようなデメリットを根拠に反対するも議員もいるでしょう。
議員の自発的な立法での規律は大変困難であると思います。

 実際は、1990年にオクラホマ州で議員の任期制限が導入されるまで、米
国にも州議会議員の任期制限はありませんでした(知事の任期制限はあっ
た)。それでは、如何に任期制限を導入できたのでしょうか?



─────────────────────────────────
  ■ 地方議員の任期制限2
─────────────────────────────────
前回のメルマガの続きです。

○まさに住民自治の力

 米国の州議会議員の任期制限を導入した原動力は「住民の力」です。任
期制限を導入したほぼ全ての州では、イニシアティブ(住民発案)によって
議員の任期制限が提案されています。

 要するに、住民自身が議員の任期制限が必要であると判断をし、議会に
住民発案を行っているのです。逆に必要性が強く認識されていない州にお
いてはこのような住民発案は行われません。任期制限にはデメリットもあ
るからです。このことが、州議会ごとに任期制限の有無や内容の多様性の
理由です。

 仮に、日本で地方議員の任期制限の議論をしたら、国によって一律に制
限をするべきであるという画一的な意見が出てきそうですが(実際、首長の
任期制限についてはこのような考えが根強い)、如何にこのことが「自分た
ちのことは自分たちで決める」という住民自治の発想に逆行するかという
ことは是非心に留めておいて頂けたらと思います。


○住民が決めたことに清く従う議員

 私が過去に訪れたホノルル市議会は、2年・4年・4年の合計10年の変則的
な任期制限を設けていました。副議長に任期制限の是非をお伺いすると、
副議長個人としての考え方はありながらも、住民の決定したことに従うのが
住民自治であるとのご意見でした。常に住民の民意の上に議員の存在基盤が
あることを意識するその姿勢は、住民自治が成熟したアメリカならではと感
じました。

 日本の地方議会でこのような陳情が署名多数をもって陳情されても一笑に
ふして終わりのような気がします(実際、議会の身分に関わる陳情でそのよ
うな光景を多く見てきました)。


○日本の地方議会に議員の任期制限は必要か

 さて、日本の地方議会に議員の任期制限が必要かどうかという私なりの
意見を述べたいと思います。地域の実情にもよるのですが、任期制限を導
入する価値は大いにあるのではないかと感じます。

 日本の地方議会は議員数も多く、議員間で議論をすることもないため、
期数を重ねた議員程発言をしなくなる傾向があります(もちろんそうでは
ない人もいますが)。また、議会が平日の昼間に開催されるため、会社員
等は職を辞して議員にならざるを得ず、また世界的にも類を見ない高額な
報酬の為、議員であることが目的になっている(あるいはならざるを得な
い)現状があります。

 2~3期で人材が流動的に循環していけばより活発な議論が期待できるの
ではと思います。但し、任期制限を設ける前提として、現行の議会制度の
様々な点を変えていく必要があります。例えば会社員をやりながらでも気
軽に議会に参加できるような環境作り等です。

 もちろん、任期制限が実際に必要かどうかは住民の自治によって定めら
れるべきであると考えます。


─────────────────────────────────

|

« 地方議員年金~議員の待遇の話~そもそも地方議員は職業か? | トップページ | モリコロパーク 県民公園づくり空間 ワークショップ(動こう編)第5回目 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/80448/47659120

この記事へのトラックバック一覧です: 議員の任期制限を考える:

« 地方議員年金~議員の待遇の話~そもそも地方議員は職業か? | トップページ | モリコロパーク 県民公園づくり空間 ワークショップ(動こう編)第5回目 »