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2010/02/04

滋賀県湖南市と草津市を視察しました。

 とくに、滋賀県湖南市では、統合型マネジメントシステム(事業進捗管理+行政評価+業務手順書)について説明を受けました。これは、以前からISOで取り組んできた事業進捗管理と業務手順書のしくみに行政評価を加えたものです。
 湖南市の行政評価は後発ですが、形骸化しないための工夫と、外部評価として事業仕分けを取り入れた点が参考になると思います。以下は、湖南市の統合型マネジメントシステムについてのレポートです。

 

24日 10:0012:00  湖南市役所

滋賀県湖南市

人口5.6万人(第1次産業1.5%、第245%、第351%) 面積70㎢  高齢化率15.4

H16年に甲西町と石部町が合併して湖南市に。東海道の51番目の宿場。JR草津線沿いにあり、山林田畑に囲まれながら、住宅地や工業団地が立地。)

H20決算 一般会計175億円 特別会計113億円(国保、診療所、老保、下水、介護保険、後期高齢者など) 企業会計24億円(訪問看護、上水道)

経常収支比率96%、財政力指数0.998、地方債残高195億円、財調基金4.5億円

岡田茂一郎 総務部部長   森村政生 総務課行政改革推進室 主幹   高杉昌喜 総務課行政改革推進室 主事   谷口繁弥 議会事務局 局長 が対応。

<統合型マネジメントシステムと事業仕分け>

2003(平成15)年に36歳で滋賀県の行革担当職員から甲西町長になった谷畑英吾市長のもと、一貫して行革を担当してきた森村主幹は愛知県の協働事業模擬仕分けワークショップの講師も務め、関西ではその道の有名人。現在、本も執筆中。2時間にわたって、湖南市での取り組みをうかがった後、質問、意見交換させていただいた。

湖南市では、平成元年度に17億円あった法人市民税収が、21年度には4億円あまりに落ち込んだ。大きな変化についていける経営改革と意識改革が求められている。

1.統合型マネジメントシステム導入の経緯

平成14年に甲西町でISO9001登録、17年に湖南市において更新したが、維持費が年間2~300万円かかる上に認証が目的化、資料作りも負担になった。ISOをやめる代わりに行政評価を導入したとも言える。

統合型マネジメントシステムとは、ISOで培ったPDCAサイクルによる品質管理と事業進捗管理に、行政評価(事務事業評価)システムを加えたもの。計画と予算作成中心の行政過程に評価と改善の視点を入れ、評価結果を活用できるようにした。試行期間終了時には全職員を対象に2日間の研修(講師:関西学院大学稲沢克裕教授)を行った。

2.導入の目的と効果

・わかりやすい市政の実現(説明責任の向上、市民の理解と信頼、協働のまちづくり)

・自治体経営の質の向上(行政サービスの成果をチェックし、経営資源を適正に配分)

・職員の意識改革(コスト意識、マネジメント意識の醸成、政策形成能力、改善力の向上)

3.統合型マネジメントシステム導入スケジュール

・平成204月~平成213月 試行的導入

・平成214月~ 本格導入

4.統合型マネジメントシステムの内容

(1)事業進捗監理

主要な事業計画の達成状況や今後の改善方法などを検証し、公表する。

(2)行政評価

政策・施策目的を達成する手段である個々の事務事業について、妥当性、有効性、成果などをわかりやすく示し、執行方法の改善や職員の意識改革に活用、拡充・縮小・廃止など今後の方向性を検討する。

(3)業務手順書

サービス提供にかかわる業務手順を市民に公開、行政内部や市民意見に基づく継続的な改善を図る。

主要事業の進捗管理

20年度当初予算で公表した主要50事業のうち44事業を対象。

・選定の視点は、政策的新規事業、予算規模の大きな事業、市民の福祉への影響が大きい事業、市民の関心が大きい事業など。

・四半期ごとに、進捗管理シートにより計画、進捗状況、達成度、課題と対応を報告。

・市長のヒアリングを実施し、達成度の低い事業の問題点、課題と対応策を協議。四半期ごとに改善状況の検証を繰り返すことにより、確実な年度内完了に結びつける。

・進捗状況を総合計画の「6つの目標」ごとに整理してホームページに公表。

事務事業評価

20年度は、各担当1事業を自主的に抽出させ計83事業を評価。

21年度は、市が単独で支出している補助金に限定し、97事業について事務事業評価シートを作成した。

●評価項目

・現状把握として、「対象、意図・目的、手段、活動指標(数値)、予算・決算」を記載。

・実績として、「成果指標(数値)」を記載。

・事業の環境変化、市民からの意見等を把握するため、「きっかけ、状況、関係者意見」を記載。

・「妥当性、有効性、効率性」を4段階で事後評価。

・改善提案と今後の具体的な方向性を記載

・「1次評価(所管)、2次評価(部長・次長)、外部評価」の3段階を記載

●評価方法

・各所管課のグループリーダーが主となって作成した事務事業評価シートを、課長が中心となって課内で1次評価(7月頃)。

・ここで外部評価が必要なものを抽出し、滋賀大学の協力のもと、市民や有識者からなる外部評価委員会で外部評価(8月頃)を実施。(20年度は外部評価を受けるものを各課1事業、計31事業を抽出し、「事業仕分け・地域事業組成」を行った。) ⇒「事業仕分け・地域事業組成」参照

・1次評価、外部評価、部長・次長による2次評価(10月頃)終了後に、市長によるヒアリング(11月頃)を実施し、市としての今後の方針を決定、翌年度予算への反映を速やかに行う。

・ホームページ等で、評価結果と方向性を一覧表に加工して公表。

●市民満足度を測定し、改善方針について市民の意見を得る(ISOで使用した測定方法を利用)

・広報誌の「市長への手紙」

・アンケート調査

・区長会や自治会の代表者からの意見・要望

・住民総合相談窓口での相談

・市長が市民と接したときの情報

・窓口事務からに情報

・出前講座等で出た意見

・Eメールによる意見・要望

業務手順書

以前からISO9001の中で「業務手順書」を作成していたが、内部管理用だった。統合型経営マネジメントシステムの中では、業務の手順をフロー図で表記し市民にわかりやすく公開。行政事務を行ううえで統一的な事務の流れとする。市民の監視という緊張感の中で、市民サービスの向上、さらにわかりやすい手順書へと改善していく。

5.事業仕分け・地域事業組成

滋賀県は事業仕分けが盛んで、平成17年から4年連続で事業仕分けを実施している高島市をはじめとして、湖南市でも19年、20年と実施してきた。特に、20年は事務事業評価の外部評価として事業仕分けを行った。

(1)湖南市で実施する「事業仕分け・地域事業組成」とは

「事業仕分け」は構想日本が平成14年から実施しているもので、国や自治体が行っている事業を、一般公開の下で、外部の目から見直し、その必要性を区分したうえで、必要事業についてはどの主体がするべきか(官か民か、国か地方か)を考え、最終的に「不要」、「民間化」、「国で実施」、「都道府県で実施」、「市町村で実施」等に仕分ける作業。

「事業仕分け・地域事業組成」は構想日本と連携をとりながら、滋賀大学地域連携センターが研究・実践しているもので、従来の事業仕分けに加え、「市町村で実施」「民間化」に仕分けられた事業について、さらに民間委託や民営化をどのような方策で実施するか、地域事業化の手法と実施主体を方向づけるもの。http://www.biwako.shiga-u.ac.jp/jrc/HP-NEW/jigyosien.html

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滋賀大学地域連携センター 年次報告より

(2)20年度 事業仕分け・地域事業組成の実施と結果

対象事業:事務事業評価の中から各課1事業ずつ抽出、計31事業

作業体制:〔外部委員2名、市民委員2名、コーディネーター1名、記録等事務1名、事業説明員(担当課長1名+担当者1~2名)〕 ×4班 ×45分 ×8事業

事前説明:前年の反省として、約2週間前に市民委員に対して質疑を深めるための説明会を開催

成果:20年度は廃止・縮小ありきで行っていないので、予算削減効果は小さいが事業の統合・連携により効率的な予算とすることができた。職員のが、事業の目的・手段・対象者・効果などについて改めて気付き、考えるとともに、説明責任が芽生えた。

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滋賀大学地域連携センター 年次報告より

6.湖南市の行政評価の特徴

・事務事業評価の対象事業の絞込み・・・20年度は、各担当1事業を自主的に抽出させ、計83事業。21年度は、市単独の補助金に限定し、97事業。(20003000の膨大な事務事業をリストアップするのに1年かかる。予算と関連していないものもある。)

・事務事業評価シートの作り方・・・目的・対象・手段・成果・評価理由などの明確化を求めるとともに、評価視点のチェックリストを作り、文章力やあいまい表現でごまかせないよう工夫した。

・担当者や部課長名を事務事業評価シートに記載、書いた人が責任意識を持つようにした。

・補助金の評価は不要なものの廃止・削減を目的にした。余剰金の返還も求めた。

・事務事業評価の外部評価として、事業仕分けを活用した。

・滋賀大学と地域連携に関する包括協定を結び、知的資源を活用。

・事務事業評価を導入する前のステップとして、19年、20年と続けて事業仕分けを実施・・・市民の見ている場で、自分たちの事務事業をいかに説明し、理解してもらえるか苦慮する経験が役に立った。負担ばかり感じるシステムではなく、自ら業務を見つめなおし、場合によっては縮小・廃止も恐れず、事業を改善する意識を持てるシステムにしたい。

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