« 『6人の生態学者による毎月一回の講演と観察会』のご案内 | トップページ | 東京財団「地方議会の改革」シンポジウムに参加して »

2010/04/09

JIAMの市町村議会議員セミナーに参加

JIAM(全国市町村国際文化研究所)は、平成5年に大津市唐崎の自衛隊飛行場の跡地につくられた地方自治体の職員や議員を対象にした研修施設。
さすが総務省の外郭団体。広い敷地に立派な建物が建っています。長期の研修もできるようにたくさんの個室が用意されています。
P1020188nscf P1020192nscf P1020190nscf
今回始めて、研修を受けたましたが、プログラムや講師陣は結構充実しているし、費用はお値打ち(1泊2日5食付、交通費別で8,200円)です。北海道から沖縄まで全国から自治体議会議員が250人以上集まりました。顔見知りの議員さんもチラホラいます。中には、議会単位で参加している自治体もあります。我々のまちでも、議会改革で共通認識を持とうと、議会単位での参加を呼びかけましたが、すぐに定員が一杯になったこともあって、結局参加は平林由仁議員と私だけだでした。
以下は研修の内容です。

 

『地方自治体を取り巻く現状と方向性』
   一橋大学大学院法科研究科 辻琢也教授

・国内総支出の内、政府支出は、国4%、地方11%
・税源偏在の状況・・・東京都に集中
・加速する少子高齢化社会の進展・・・人口減少分に見合う外国人を招き入れても高齢化率は下がらない
・今子どもの数を増やしても、もう年金の足しにはならない!・・・半世紀後のことを考えてさわやかに子どもを増やす
・社会保障関係費は、2015年には国30兆円、地方22兆円に
・財政の現状・・・減らない支出、減る税収、増える借金
・地方行革・・・暇な部署ほど(組織防衛の余裕があるから)減らない
・民主党の地域主権改革「原口プラン」・・・国から地方への義務付け・枠付けの見直し
緑の分権改革・・・地域主権、低炭素型社会、地域の自然・歴史・文化的価値を最大限に活用
定住自立圏構想・・・医療、公共交通などの地域マネジメントで中心的な役割を担う意思を宣言
市町村の事務の広域共同処理・・・定型的な事務、規模の効果が大きいもの、専門性のあるもの

 

『地方財政の現状と方向性』
   地方財政審議会会長・関西学院大学人間福祉学部 神野直彦教授

Jinnodata1
・通常、大きな政府は非効率ゆえに、経済成長が鈍り財政が悪化すると言われるが、社会保障費の大きいスウェーデン(スカンジナビモデル)の経済成長、貧困率、財政収支は、日本、アメリカ、ドイツよりもよい結果となっている。
・スウェーデンでは、セーフティネットを用意しながら労働市場を自由化して、積極的に産業の新陳代謝を行った。
・重化学工業の時代が過ぎ、女性が社会進出すると、介護・育児などの現物(サービス)給付が重要になる。それをしないと労働市場がパートタイムとフルタイムに2極化する。
・住民の身近で地域社会の求めるサービスを提供するために、地方分権は必要。
・豊かな地域から富を降ろしていく「クトリクルダウン戦略」では格差が拡大する ⇒ 地域経済から立て直すファウンテン戦略に変更すべき。

 

『地方議会改革の現状と方向性』
   コーディネーター: 政策研究大学院大学 横道清孝教授
   パネリスト: 山梨学院大学法学部 江藤俊昭教授
          福島県会津若松市議会 木村政司議員
          北海道栗山町議会 橋場利勝議長

会津若松市議会は、2008年に福島県初の議会基本条例と議員政治倫理条例を制定し、広報公聴委員会設置、行政ではなく議会が、市民との意見交換会を開催し、寄せられた市民意見を政策課題として整理し、実現、評価していく「政策形成サイクル」を創設したことが評価され、2009年に「第4回マニフェスト大賞 最優秀賞」を受賞した。
議会改革として、以下のような項目に取り組んだ。

・議会の議決責任の自覚
・市民参加を位置付け
・広報公聴委員会でホームページや市民意見交換会の企画も担当
・市民との意見交換会
・政策討論会
 Aidzugiinkantougi_2 Aidzuseisakukeiseicycle_2
・政策形成サイクル・・・市民意見交換会で出た意見を整理し、課題設定をし、パブコメなどを通じて市民と意見とすり合わせながら、政策(議案等の議決)に結びつけ、さらにその政策の執行を評価しフィードバックする一連の流れをシステム化。さっそく、水道事業の第三者委託問題で意見交換会や政策討論会を開き、市民意見に基づいた改善を図ることができた。
・議長立候補者の所信表明演説を制度化
・議会活動の範囲とあるべき報酬を考察(活動換算日数185日、市管理職の給料との比較から7百~8百万円と仮に試算)。ただし、行政のコストダウンと住民自治のコストを同じ土俵で考えるべきではないとの指摘もある。

 

栗山町議会は、全国で初めて議会基本条例を制定し、徹底した議論の基で議会改革を進めてきた。栗山町の議会改革は立ち止まることなく進化しており、今でも議会改革の先進地として注目を集めている。任期4年に満たない1・2年で議長職をたらい回ししている自治体が多い中、橋場議長は2000年から議長として議会改革をリードしている。ディスカッションの中で話題になったことを以下に記す。

Kuriyamahanmonken

・2005年に始めた栗山町議会の議会報告会は今春で6回目に。最初は行政への陳情が多かったが、回を重ねるごとに議会と執行部との違いがわかってきて、住民の建設的な意見が多くなった。政策形成過程の報告が欲しいと言う意見もある。
・議員の側も、どんな議論をしたのか、それに基づいて誰がどういう態度を示したのか、説明する責任がある。
・議員は、地域、職域の代表者ではない。町民全体の福祉の向上を目指す。
・陳情・請願は住民からの政策提言と位置付け、参考人を招致。
・自由討議は、論点を明確にして十分議論する。執行部に退出してもらい、本会議では数回、委員会では徹底的にやっている。
・栗山町の議会基本条例は、調査機関、行革推進会議、議会発議の住民投票、住民による議会モニター、有識者による議会サポーターの設置など、すでに3度改正している。
・近々、「総合計画の策定と運用に関わる条例」を制定する予定。
・総合計画はいまだに、総花的で発展主義の傾向がある。議会の中長期財政検討委員会との整合性をとり、財政規律を重んずる。多治見市の総合計画を参考に、議会の一般会議を活用して総合計画の議会案を作った。
・個々の議員だけでは議会力は発揮できない。重要な議案については議会として共通認識を持つ必要がある。
・議会事務局員が執行部から派遣されていて、いずれは執行部に帰るのが問題。また、議会が闘わなければ、事務局も頑張れない。
・議会がわざと行政と対立する必要はないが、少なくとも、行政案よりも良いものはないか探す意識は必要だ。
・行政の審議会(諮問機関)での議論を議会は知っておく必要があるが、、審議会に議員を送り込むと追認機関になりかねない。審議会と議会との意見交換をすればよい。

栗山町の議会基本所例の「前文」は、当たり前の本質が自分たちの言葉で書かれていて、感動的だ。また「第2条2項」には、議会は、「議員、町長、町民等の交流と自由な討論の広場」との認識が明記されおり、この認識を踏まえて会議のルールを定めることとされている。

                   栗山町議会基本条例の前文

 栗山町民(以下「町民」という。)から選挙で選ばれた議員により構成される栗山町議会(以下「議会」という。)は、同じく町民から選挙で選ばれた栗山町長(以下「町長」という。)とともに、栗山町の代表機関を構成する。この2つの代表機関は、ともに町民の信託を受けて活動し、議会は多人数による合議制の機関として、また町長は独任制の機関として、それぞれの異なる特性をいかして、町民の意思を町政に的確に反映させるために競い合い、協力し合いながら、栗山町としての最良の意思決定を導く共通の使命が課せられている。
 議会が町民の代表機関として、地域における民主主義の発展と町民福祉の向上のために果たすべき役割は、将来にかけてますます大きくなる。特に地方分権の時代を迎えて、自治体の自主的な決定と責任の範囲が拡大した今日、議会は、その持てる権能を十分に駆使して、自治体事務の立案、決定、執行、評価における論点、争点を広く町民に明らかにする責務を有している。自由かっ達な討議をとおして、これら論点、争点を発見、公開することは討論の広場である議会の第一の使命である。
 このような使命を達成するために本条例を制定する。われわれは、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法律」という。)が定める概括的な規定の遵守とともに、積極的な情報の創造と公開、政策活動への多様な町民参加の推進、議員間の自由な討議の展開、町長等の行政機関との持続的な緊張の保持、議員の自己研さんと資質の向上、公正性と透明性の確保、議会活動を支える体制の整備等について、この条例に定める議会としての独自の議会運営のルールを遵守し、実践することにより、町民に信頼され、存在感のある、豊かな議会を築きたいと思う。

 

栗山町の議会改革については、これまでも視察や講演会のレポートをこのブログに載せてきました。
・2006年10月 栗山町議会を視察http://kamiya-a.cocolog-nifty.com/turezure/2006/10/101113_7689.html
・2007年2月 栗山町議会議長を招いて公開講座http://kamiya-a.cocolog-nifty.com/turezure/2007/02/post_c140.html

その他、参考になりそうな外部リンクです。
http://ogose.air-nifty.com/blog/files/kuriyamagaku4.pdf
http://www.senkyo.janjan.jp/senkyo_news/0902/0902170669/1.php

 

|

« 『6人の生態学者による毎月一回の講演と観察会』のご案内 | トップページ | 東京財団「地方議会の改革」シンポジウムに参加して »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/80448/48162619

この記事へのトラックバック一覧です: JIAMの市町村議会議員セミナーに参加:

« 『6人の生態学者による毎月一回の講演と観察会』のご案内 | トップページ | 東京財団「地方議会の改革」シンポジウムに参加して »