昇秀樹教授のまちづくり講演会 ~右肩下がりの時代における持続可能なまちづくり~
6月12日(土)に、第5次東浦町総合計画審議会会長をされている名城大学都市情報学部 昇秀樹教授の講演会がありました。以下はその要約です。
●日本の人口はピークを過ぎて右肩下がりの時代に突入
江戸時代はゼロ成長(人口3千万人でほぼ一定)
明治維新以後、産業改革で人口急増
・1989年 株価のピーク(株価は未来を予測する)
・1990~1991年 地価のピーク
・2004年 人口のピーク(1億2千8百万人)→2100年には4千万人強に
右肩上がりの再来はありえない
・・・右肩下がりの時代に入っても最低守らなくてはならない仕組みづくりが必要!
●リーマンショックと大恐慌との違い
大恐慌当時は金本位制→勝手にお札を刷れない
→第二次大戦後にやっと経済は回復
現在は管理通貨制度→失業率低い、倒産は少ない
→しかし、民間のリスクが政府に移る
国家債務のGDP比・・・ギリシャ、ハンガリー 110%
日本 180%
●右肩下がりでも、持続可能なまちづくりを・・・補完性原理によるまちづくり
牧畜農業のイギリス、北欧→プロテスタントの価値観、「福祉国家」へ
牧羊は一人でできる(independent)→家族の結束薄い
→個人がコケても家族や地域は当てにできない→福祉国家へ
小麦農業のフランス、イタリア→カトリックの価値観、「補完性原理」へ
自分で問題を解決できないとき→家族で→地域社会で→公務員がサポート
※「ただし必要ないのに手を出すのは悪」ローマ法王ピオ11世
※人間の尊厳、自律(autonomy)が求められる
日本もどちらかと言うと
・・・稲作農業→家族、地域でできないことは、例外的に公で!に近いはず
※しかし、一部に「自立支援」など欧・米がゴチャゴチャになっている例も
●日本一の限界集落は、実は都会にある・・・新宿区戸山住宅、多摩ニュータウン
80歳の棟と70歳の棟・・・電球交換をはじめとして「自助・共助・公助」が必要
●1995年にすでに日本の生産年齢人口はピークに
製造業も小売・サービス業も資本も国境を越える時代
ハゲタカ嫌いの日本⇔外資に乗っ取られてもいいじゃないか?
資源なしで鎖国すると豊かになれない(江戸時代の再来)
税収はマイナス成長以上に減る
①行革、②消費税2ケタ、③住民と行政の協働は避けて通れない
見たくない物を見ないのも一つの選択ではあるが・・・、
避けて通るのは、未来の人に対して卑怯なのではないか!
●愛知県の人口ピークは2015年、東浦町は2025年あたりだろう
○東浦町の平成12年度予算(当時の人口4万5千人)
総額129億円
うち、介護保険・医療・児童福祉など「扶助費」は5億円
人件費29億円
○東浦町の平成22年度予算(人口5万人)
総額139億円(うち子ども手当分10億円)
うち、「扶助費」は21億円(子ども手当10億円を含む)へ
人件費28億円
ここから言えること・・・この10年で、扶助費は確実に増加。
しかし、一人当たりのサービスの総量は増えていない。
したがって、サービスが減る分を住民が担う方向性を考えねばならない。
第4次総合計画との大きな違いは「共生・協働」だ!
●子ども手当てについて(余談)
個人的には、子ども手当はバラマキだと思う。
高齢者への予算配分は多すぎると思うので、
子どもや子育て世代への配分を増やすことには賛成だが、やり方が短絡的。
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