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2010/09/30

秘境駅の旅

9月23日(春分の日)に行ってきました。

飯田線秘境駅を訪ねる日帰り旅です。飯田線は、道無き天竜川の峡谷沿いの崖にへばりつくように山の中を縫って走る路線。トンネルと鉄橋とカーブの連続で、トンネルの数は大小あわせて136あるそうです。歴史は古いのですが、もともと私鉄だったので、駅間距離は短く、電化されています。
佐久間から天竜峡に至る天竜川の渓谷沿いはもともと人家が少なく道路がなかった上に、佐久間ダムの建設により集落が水没してしまったため、道なき駅や集落なき駅があちこちに点在しています。飯田線には、話題になった牛山隆信さんの秘境駅ランキング上位の駅がたくさんあって、さながら秘境駅銀座になっています。

Hikyouekibentou

それでは、豊橋駅から電車でGO!

弁当を買い込んで、10時43分発の上諏訪行き普通列車に乗って、天竜峡までの128kmを普通電車でトコトコ行く3時間半の旅です。
隣は名鉄電車のホームで、ミュースカイが発車するところ。一方、こちらの電車の先頭には懐かしい荷物室が。沿線各駅に文書やお通い袋を届けるのだそうです。豊川放水路を渡る前までは、飯田線は名鉄と線路を供用して東海道線と並走します。
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新城から山間部に入り、豊川を遡上、天竜川の支流の相川との分水嶺を過ぎると、程なく佐久間。鉄橋の上から佐久間発電所が大量の水を吐き出しているのを横目に見て、中部天竜駅を過ぎると峰トンネルに入ります。
飯田線には大原トンネル(5063m)と峰トンネル(3619m)の二大トンネルがあります。いずれも1950年代の佐久間ダム建設に伴って、飯田線が水没してしまうために造られた迂回路です。もともと飯田線は、佐久間から天竜川沿いに走っていましたが、現在では、天竜川本流と並行して走る水窪川沿いに付け替えられています。長いトンネルは天竜川と水窪川の2つの谷を結ぶために造られました。この迂回路で、飯田線はダムの高さ分に相当する約150mの高度差を稼ぎます。

峰トンネルを抜けると川を渡りますが、川の水量が少なくて澄んでいることに気が付きます。これはもう水窪川の谷なのです。
城西~向市場間には「川を渡らないS字橋」第6水窪川橋梁があります。地盤が脆くてトンネルを造れず、コース変更して川の上を迂回したらしいのです。橋は一旦、川の上に出るのですが、対岸には渡らずにカーブしてまた左岸に戻ってきます。飯田線沿いに水窪を通り、それから大鹿、高遠を通って茅野に至る谷には、中央構造線が通っていて地盤が脆いことは良く知られています。

水窪駅を出て飯田線で最長の大原トンネルを抜けると、大嵐(おおぞれ)駅。目の前は佐久間ダム湖。これで天竜川の谷に戻りました。ここから先は、変わった名前の駅が連続します。実は昔の日本の地名は、今よりもずっと(当て字も読みも)多様だったのではないかと思えてきます。

大嵐の次の小和田(こわだ)駅、これが全国秘境駅ランキング2位の駅です。周りには車道もなければ家もない。(古びた駅舎はありますが。)橋はないので対岸の愛知県豊根村富山地区には渡れません。山道を一時間以上歩かないと集落はないそうです。この駅名は雅子皇太子妃の旧姓と同じ(読みは違う)だったことでも話題になりました。ここは、静岡、愛知、長野の3県の境界近くにあるため、ホームには境界の看板が立っています。
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次は中井侍(なかいさむらい)駅。ここも秘境駅にランクされていて、駅のちょっと上に家が2件あるのみで、他に人家はありません。小和田も中井侍も待避線がないので、乗り降りのために瞬間停車するのみです。
次の伊那小沢(いなこざわ)駅では、すれ違いのため待ち時間があります。下車してしばらくあたりをウロチョロしました。
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鶯巣(うぐす)、為栗(してぐり)。温田(ぬくた)は読めるにしてもスゴイ地名です。
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豊橋~天竜峡間を3時間半かけて普通電車は進みます。一方、満員で切符をとれなかった豊橋9:51発の臨時急行飯田線秘境駅号は5時間かけて、(たぶん秘境駅にたっぷり停まって、)途中、温田(ぬくた)駅で普通電車に追い越されます。
門島で、泰阜発電所の巨大な4本の水圧鉄管をまたいでトンネルを抜けると、両岸に道路はなくなり、交通機関は鉄道のみ。このあたりの区間にも田本(たもと)、金野(きんの)、千代(ちよ)などの秘境駅があります。
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天竜川に架かる鉄橋を渡ると、まもなく天竜峡駅です。天竜峡に着いて、ちょっと肌寒いので足湯につかりました。きょうは雨模様で、つい昨日までの真夏の暑さがウソのようです。
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天竜峡から唐笠までの3駅分を舟で下る天竜ライン下りをしました。あいにくの雨で川は増水、でも洪水の時にはさらに15mも水位が上がったことがあるのだそうです。伊那盆地をゆったり流れてきた天竜川はここから狭くて急な峡谷に入ります。両岸は奇岩が聳えています。
舟は飯田線に沿って川を下り、さっき渡った鉄橋の下をくぐります。途中で船頭さんが投網で捕った魚を焼いてくれました。きょうは鮎1、ウグイ3で、まずまずの収穫だったようです。唐笠港に着くとアヒルたちが出迎えてくれます。
すぐ裏手は唐笠駅。人家は船着場にある1軒だけの無人駅ですが、車道や駐車場もあるしここは秘境駅ではありません。
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帰りは唐笠駅から、天竜峡で折り返した急行電車にのって、豊橋まで3時間の旅です。飯田線は本当にトンネルが多い路線です。トンネルの入口には豊橋方面から通し番号振られていて、これは56番です。ほとんどの駅はトンネルとトンネルの隙間にあります。
おっと、トンネルの手前で小鹿が飛び出してきました。慌ててシャッターを切ったら、辛うじてそれらしき影が写っていました。
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日帰り電車旅でしたが、しっかり旅行気分に浸れました。

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コメント

秘境駅弁当に乗車記念証明書♪ わが家の鉄が知ったら、さぞかし羨ましがることでしょう。普通だと急行より速くて3時間半で行けるというのも、珍しい現象ですね。

天竜峡にはりんご狩りのついでに立ち寄ったことがありますが、吊り橋から川を見ているだけでも怖くて、とてもライン下りをやってみようなどという気持ちにはなれませんでした。ましてや、雨で増水中のライン下りなんて、小心者にはとてもとても・・・。

実はこの日、鉄と一緒に鉄道旅の予定が、前夜からの雨の影響を心配して、急遽、先送り。一日中、鉄のブーイングが鳴り響いたわが家でした^^;

こちらは雨がたくさん降ったようですが、現地は雨がパラパラでした。

今年は、前日までは天竜川の水が少なくて、船下りに支障が出かねないほどだったそうで、雨が降ってちょうど良かった(もちろん増水ではありますが)と言っていました。したがって、欠航するほどの出水ではなかったようです。
魚も雨のおかげてよく捕れたと言っていました。

行きは普通電車で行ったのですが、秘境駅では瞬間停車で、あたりをうろつけなかったのが残念です。

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