クロスカップリング反応とは
先月、ノーベル化学賞の発表があり、リチャード・ヘック博士とともに根岸英一博士、鈴木章博士が受賞したことは記憶に新しい。
パラジウム触媒を用いたクロスカップリング反応により、炭素-炭素結合を生成する有機合成手法を確立したことが受賞理由になった。
クロスカップリング反応とは、互いに異なる有機化合物(炭素化合物)を結合させる反応のこと。一般式では次のように表すことができる。 R-X + R'-Y → R-R'
カップリング反応として様々な方法が開発されている。特に触媒量の遷移金属化合物の存在下で、有機金属化合物あるいは不飽和炭化水素化合物が有機ハロゲン化合物と縮合するカップリング反応がいろいろ知られており、天然物合成などに利用されている。
有機化合物中の炭素と炭素をつなげることは、高温高圧のような激しい反応条件を必要としたり、不要な副産物ができてしまったりするため、困難とされてきた。
パラジウムは少量で、反応しにくいものを反応させたり、反応を速くしたりする働きをもつ「触媒」として知られている。3人の受賞者は、このパラジウムをクロスカップリングに用いることで、従来困難であった2種の有機物中の炭素同士を効率よく結合させる反応を発見した。
以下、3人の受賞者が発見した反応をまとめた。
●ヘック反応
パラジウム触媒の存在下で、有機ハロゲン化物と末端アルケンから内部アルケンやスチレン誘導体を生成する反応。溝呂木・ヘック反応とも呼ばれる。
Ar-X + H2C=CHR + Pd触媒 → Ar-HC=CHR
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%98%E3%83%83%E3%82%AF%E5%8F%8D%E5%BF%9C
●根岸カップリング
パラジウム(またはニッケル)触媒の存在下で、有機亜鉛化合物と有機ハロゲン化合物を反応させる。
R-ZnX + R'-Y + Pd触媒 → R-R'
●鈴木・宮浦カップリング
パラジウム触媒の存在下で、有機ホウ素化合物と有機ハロゲン化合物を反応させる。
Ar-X + R-B(OH)2 + Pd触媒 + 塩基 → Ar-R
http://www.org-chem.org/yuuki/suzuki/suzuki.html
http://www.chem-station.com/odoos/data/x-ene-3.htm
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%88%B4%E6%9C%A8%E3%83%BB%E5%AE%AE%E6%B5%A6%E3%82%AB%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B0
鈴木博士のクロスカップリングに関する原著論文
http://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/feature/suzuki.jsp
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