下流から上流へのお返し・・・水源林を守るための水源基金
10月28日の朝日新聞夕刊にデカデカと載った。生物多様性条約市民ネットワークの大沼さんらが提唱してきた水源基金についての記事だ。
名古屋で開かれていたConvention on Biological Diversity・Conference of the Parties10(生物多様性条約・第10回締約国会議)が閉幕した。日本をはじめ先進国は、海外の発展途上国などから得られるの生物資源・生態系サービスを利用して莫大な利益を上げている。その公正な配分がCOP10の議題となった。
国内に目を転じると、都市部が一方的に上流の山間部などから得られる生態系サービスを受け取っている。しかし山間部はその利益を受け取れない。この一方通行の流れを変えて、山間地域の再生を図ることはできないのだろうか。
江戸時代、木曽の森林は尾張藩の領地で、地元民はヒノキを許可なく伐採できず、「檜一本、首一本」といわれるほど厳しく管理されていた。その反面、尾張藩は木曽に対して年間一万石(現在価値で約2億円)もの米を贈っていたという記録が残っているそうだ。
東京都は明治時代に奥多摩などに26,000haの水源林を購入して水源涵養をしている。横浜市は大正時代に相模川上流の山梨県道志村に2,800haの水源林を購入し、ゴルフ場立地問題が起きたときには水源基金を設立して道志村を応援している。
一方、名古屋市は大正3年に木曽川の(ダムに依らない)自流水利権をタダ同然で手に入れたのに水源林を持っていない。
名古屋市も、上流からの恵みを一方的に受け取るだけでなく、市民・企業からの水源税なり、水道料金から一定額を水源基金に回すなど、上流に対して応分の負担、一定の責任を果たすべきだというのが大沼さんらの考えだ。
木曽川水のお世話になっている自治体の中では、半田市が水道事業の余剰金から毎年60万円を王滝村へ寄付している。日進市など3市2町でつくる愛知中部水道企業団は、1㎥に付き1円を水道料金に加算して水道水源環境保全基金をつくり木曽川上流の6町村に毎年3千万円を払っている。県内では、蒲郡市や豊田市が水源を守る基金を導入している。
このブログの関連記事はこちらhttp://kamiya-a.cocolog-nifty.com/turezure/2010/07/in-ce43.html(生命流域シンポジウム in 王滝)をご覧下さい。
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