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2010/12/03

会津若松市議会 視察報告

先月、会津若松に行ってきました。目当てはもちろん、議会改革。

午後、会津若松に着いて、議会改革の概要説明を受けて、夜、公民館で開かれる市民との意見交換会を傍聴した。議会への市民参加(あるいは市民への議会参加といった方が良いかも知れない)を進めるに当たっては、議会として地域に出て行って、市民に説明し、意見交換をする場を設けるのが第一歩だ。栗山町議会をはじめ、会津若松など、いくつかの議会で実践的な取り組みが始まっているが、意見交換会をライブで聴くのは初めてだ。

以下、視察報告書report221129aidzuwakamatsu.pdf」から。

 【目次】
 1.会津市議会の概要
 2.会津若松市議会基本条例および議員政治倫理条例の特徴
 3.市民との意見交換会をもとに政策課題を設定し、政策形成サイクルを回す
 4.常任委員会における議員間討議
 5.正副議長選挙に係る所信表明会
 6.市民との意見交換会
 7.地区別意見交換会(18:30~ 東山地区・東公民館にて)を体験
 8.所感

1110日 16:0017:00 会津若松市議会  18:3020:30 東公民館

福島県会津若松市

人口12.7万人(第1次産業7%、第227%、第366%) 面積383㎢  高齢化率24

(古くは、葦名、蒲生、上杉など戦国大名が居を構え、幕末の動乱で有名な歴史のある街。明治32年に福島県内初の市制施行。H16年に北会津村、H17年に河東町と合併。)

H20決算 一般会計426億円 特別会計310億円(国保、下水、区画整理、介護保険、後期高齢者など) 企業会計32億円(上水道)

経常収支比率91%、財政力指数0.68、地方債残高477億円、財調基金6.6億円

小林作一 市議会文教厚生委員長広報公聴委員   原進 議会事務局調査グループ 主幹 が対応。

 

1.会津市議会の概要

 ・平成10年から議員定数30名
 ・平成16年に北会津村から15名、平成17年に河東町から18人の議員が加わる。
 ・平成19年統一地方選で新たに30名(同一選挙区)が選出された。うち、旧河東から3名、旧北会津から4名。
 ・議会改革のきっかけは、合併で大きくメンバーが代わってはじめての正副議長選挙のときに、現田澤議長が議会改革を公約にして当選したこと。合併前に倫理条例は各論反対で一度つぶれているが、市民と学者を入れて制定にこぎつけた。田澤議長は、その後僅差で再選され現在4年目。
 ・広報編集委員会を、議会の広報公聴機能を拡充するために広報公聴委員会と改称し、議会広報誌の編集、議会ホームページ、市民との意見交換会の企画立案を所管することを議会基本条例および規定に明記。重要なポジションとして、新人議員に押し付けたりしない。
 ・年間視察件数140議会(この日は3組)。視察のときには議員13人が手分けして対応している。

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← 堂々たる会津若松市役所と議場↓
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昭和初期の建物だそうだ。議長席の後には御真影を入れる扉つきのキャビネットがある。議員席の机は会津塗り。市の鳥カッコウの装飾があしらわれている。
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2.会津若松市議会基本条例および議員政治倫理条例の特徴

●検討体制・検討方法の特徴
・議会基本条例と議員政治倫理条例の関連性を明確にし、両者を一体的に検討した。
・検討組織には、議員だけでなく、公募市民および学識経験者に参画いただいた。
・調査研究にあたり、先進事例研究だけでなく、理論研修および実践例研修を行った。
・条例検討プロセスにおいて、市民との意見交換会を試行的に実施した。
・議会改革・条例検討プロセスをホームページ上で公開した。
・議会改革の基本方向の前提として、市議会の組織能力および環境分析を行った。

●内容面の特徴
・市民参加を基軸に位置付け、基本的方向性を明確に打ち出したこと
・市民との意見交換会を多様に設けること
・広報公聴委員会の設置
・議会運営に関する市民への説明責任の遂行
・政策立案主体の整理と位置付け
・市長等との関係の基本原則
・議員間討議による合意形成
・政策討論会
・政治倫理条例に、パワハラ、セクハラ等の人権侵害行為、議員の依頼等に対する記録の要請(口利きの防止)、議員の説明責任の明記、政治倫理審査会の設置を盛り込んだこと  など

 

3.市民との意見交換会をもとに政策課題を設定し、政策形成サイクルを回す

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※第1分科会(総務委員会)、第2分科会(文教厚生委員会)、第3分科会(産業経済委員会)、第4分科会(建設委員会)

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4.常任委員会における議員間討議

 議案質疑や一般質問にしても、個々の議員が行う限り、提言した政策の取捨選択は首長に委ねられてしまう。しかし、①議会の中で多様な意見が出され、相互に反論することにより争点が明確になる。②その討論を通して関心を持つようになった市民からの意見が寄せられる。③議会の中での討議と市民意見を聞いた議員が個々に出した結論を踏まえて議決が行われれば、議員間討議により議会の意思が形成されることになる。
 実際に議員間討議をするには、事前に委員全員で議案についての課題の洗い出しや論点整理を行い、議案ごとに論点を資料としてまとめる。委員会の審査では、論点整理を踏まえた質疑を行い、必要に応じて執行部側が退席し委員間討議を行う。必要があれば執行部に再度の質疑をしても良い。以上を経た後に討論、採決をする。
 議員間討議をすることによって、議会としての共通認識が作られ、行政の相手は個々の議員ではなく「議会」になった。

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5.正副議長選挙に係る所信表明会

・正副議長を志す者が、議会運営にかかわる所信と抱負を表明し、議会基本条例が目指す市民参加を礎とした議会づくりと公平・公正・透明な議会運営に資することを目的とする。
・正副議長選挙を行う臨時議会の招集日の9時までに、申出書を議会事務局宛に提出する。
・所信表明会は臨時議会の選挙前に一旦休憩をとって、本会議場で行う。
・所信表明会は、公開で行う。
・所信表明の内容に関する疑問点を解消するために質疑をすることができる。

 

6.市民との意見交換会

<開催趣旨>
会津若松市議会が、市民の多様な意見を把握し、反映しうる合議体としての特色を最大限に生かし、市民参加の推進に努めるとともに、市民との活発な意見交換を図る具体的な場として「市民との意見交換会」を開催する。

<市民との意見交換会の種類>
行政区を基本単位として行う「地区別意見交換会」と、行政分野別に関連団体と行う「分野別意見交換会」がある。

<地区別意見交換会>
・年2回開催。時期の設定は、前期は予算の報告、後期は予算編成にギリギリ間に合う時期を考慮。
・議員を5班(各班6人、うち責任者として広報委員1名、議員の期数、出身地域、会派、委員会を満遍なく考慮)に分けて、15地域をローテーションで(各班3地区)担当する。
・意見交換会説の次第、配布資料は、広報公聴委員会で協議・決定する。
・会場、時刻は区長に相談。現地との交渉は議員が当たる。
・会場利用申請、各区長を通じてチラシによる組回覧、「広報議会」「市政だより」および「議会ホームページ」への掲載、配布資料の印刷、会場備品は議会事務局が担当する。

●意見交換会の進め方
・各班は説明資料を踏まえて事前の打ち合わせをする。
・意見交換会の趣旨は、市民意見を後ろ盾に、議会内での議論・政策形成につなげていくことにあるから、「市民の意見・要望の意図・真意をお聞きする」姿勢で臨む。
・議会としての考え方や議論の経過などについて説明責任を果たすよう務め、執行機関の立場での説得的な説明・答弁は行わない。
・議会が合議機関として決定した事項に基づき主催するもので、会派や議員個人の意見を述べる場ではない。ただし、議員個人の意見を求められた場合や議会における議論の経過を説明する場合には、容認されることも想定する。その場合には議会の構成員として良識ある言動に務める。
・各班は事後の評価・総括を行う。

●報告書の作成と公表
・各班は、市民の意見、提言、意見交換内容を要点記録する。
・議長への報告書を電子データで提出する。
・報告書は議会ホームページに掲載する。

●意見等の整理・検討
・議長は各班から報告された意見等への対応検討を広報公聴委員会に依頼する。
・各班代表者出席のもと議会広報公聴委員会で議会における対応方針(常任委員会、政策討論会等へ送付する。市長等へ伝達する。)を協議し、結果を議長に報告する。
・議長は対応方針を踏まえて対処する。

<分野別意見交換会>
・教育、文化、福祉、産業等の分野ごとに行う意見交換会で、常任委員会、政策討論会など議会内における政策立案等の必要に応じて、また、各種団体等の要請に応じて開催する。
・分野別意見交換会は、各種団体のみでなく単発の市民グループでも対応する。
・分野別意見交換会の担当主体は、広報公聴委員会で調整・決定し、議長に報告する。
・その他の要領は、地区別意見交換会に準ずる。
・議会として実地で地区実態点検のようなこともしている。

<地区別意見交換会の実績>

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 参加人数は、1~3回目に比べて4回目は減った。通知の問題もあると考えて議員が広報車を出した。それで、5回目は持ち直したと考えている。
 20人くらいが発言しやすいと考えている。市民からはもっと小単位でやって欲しいという要望がある。

 

7.地区別意見交換会(18:30~ 東山地区・東公民館にて)を体験

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●担当議員(第4班):
目黒議員(司会)、田澤議長、相田議員(主に説明)、近藤議員、長谷川議員、小林議員(会場責任者)
●参加メンバー:
住民(町内会長を含む)11人、議員6人。他市町の傍聴議員5人、新聞記者1人、研究者1人(法政大学廣瀬教授)。議会事務局員もいるが、議本的にはすべて準備から後片付けまで議員で行う。

<次第 ~「おばんでございます。」で開始>
●自己紹介、代表者あいさつ、配布資料の確認
●議会活動報告
・9月定例会から主な議案と結果の報告、それに対する質問、意見
●テーマ別意見交換
・議会活動と議員定数等との関連性及びそれらのあり方 → 市民意見を踏まえて最終報告案を調整
・政策討論会分科会の取り組み状況の報告

<報告事例:「議員活動と議員定数等との関連性及びそれらのあり方」最終報告(案)から>
●検討経過

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●基本的な考え方
行政改革の論理は効率性の追求だが、議会改革の論理は地域民主主義の充実・実現。住民の意見を聞き、議員間で議論し、議会として意思を決定・提示することを通じて、行政改革、さらには市政発展を実現することにある。
夕張市が破綻したのは、議会の監視機能が働かず、市長提案をそのまま議決していたためと言われる。長の提案に対する議会の監視機能の発揮は大変重要だ。
議員一人に掛かる経費は約1千万円で、市の一般会計の0.02%に過ぎない。議員定数や議員報酬は、長に対する監視機能や政策提案機能、将来の議員になる市民を支えるにも、大変重要なもので、慎重に検討してきた。

●最終報告(案)の内容
①議会活動の範囲と定義
・基本的な議会像の確認
協働型議会=民意吸収機能+監視機能+政策立案機能
・具体的な議会活動の範囲
A:「会議・委員会」(自治法96条~102条の2)
本会議、常任委員会、特別委員会、議会運営委員会、議員の派遣
B:「協議または調整の場」(自治法100条12項、議会基本条例、会議規則)
全員協議会、各派代表者会議、広報公聴委員会、常任委員会協議会、政策討論会(全体会、分科会、議会制度検討委員会)、市民との意見交換会(地区別、分野別)、正副議長選挙に係る所信表明会

②議員活動の範囲と定義

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領域A:会議・委員会における議員活動(本会議・委員会など)
領域B:協議・調整の場のおける議員活動(全協・各派代表者会議・広報公聴委員会など)
領域C:領域Aと領域Bに付随する議員活動(調査・質問作成など。政党活動・政治活動は除く。)
領域X-1:市民からの相談、各種団体に出席する活動
領域X-2:市主催行事への出席
※領域X-1の中で、議会に報告し、政策情報として蓄積され、政策形成サイクルにのせられていくものに限り、公務性を認める。市民要望を単に行政に取り次ぐ行為は、議員の職務としない。「口利き」は政治倫理条例で禁止。

③議員活動換算日数モデル
1日8時間として、169日 ≒ 1354時間と算定

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④議員報酬モデル
1,008,000円(市長給料月額)×(169日/345日)≒494,000円
494,000円×12+1,778,400円(試算期末手当)=7,706,400円
よって、上限770万円と算定。現行の議員報酬額750万円を妥当とする。

⑤政務調査費
 調査研究活動自体は、議員報酬の対象となる。一方、交通手段の確保や資料購入は調査研究の手段として必要な行為なので、政務調査費の対象になる。
 よって、第二報酬でないことを確認し、財政事情や社会経済情勢を考慮して対応すべき。予算ワクとして現行の月額3万5千円とする。今後とも、裁判例や他自治体の監査報告を参考により適正かつ効率的な使い方を検討する。

⑥議員定数
 委員会で議員間の討議ができることが重要。委員会での議員間討議には、委員長を含めて8人程必要との考え。政策討論会・全体会で採決に付し、29人(賛成5)、30人(賛成19)、33人(賛成0)の中から30人とした。

<市民からの質問・意見交換等>
・住民のうち発言したのは7人。
・主な内容は、定数・報酬に対する質疑と意見、共有地の除雪、避難所への通路・トイレ整備の要望など。
・基本的にそれぞれの議事の担当議員が説明し、他の議員がフォローする形。ほかに司会役あり。
・議会に関する話題としては、「民間企業と同じく報酬以上に働かないといけないはず。平均報酬を定めて議員によってバラつきを持たせる考えは。」「議長公約にインターネット中継があり、市長にも頼んでいる。県内ではすでに半分が実施。設備300万円+運営100万円/年で可能だろう。」など  があった。

8.所感

・現議長が議長選挙の際に示した議長マニフェストが、改革のきっかけになったことから、合議体の長としての議長のリーダーシップの重要さを感じた。
・議会として各公民館で小集会を持ったり、議長選で所信表明会を開いたり、委員会で議員間討議をすることは、決して難しいことではない。こういう改善を積み重ね、結果の集大成として自分達のまちの議会基本条例を創り上げることが大切だ。
・一般に、行政への住民参加は進んできているが、肝心の議会への住民参加が遅れている。議会の独善ではなく、住民参加の視点が不可欠。
・市民との意見交換会では、町内会長など、いわゆる一部の住民の参加が目立ったが、まず参加してもらうのが第一歩との考え方で、回を重ねることによって、より多様な住民の参加や意見交換の熟度を高めようとする姿勢が感じられた。
・議員は威圧的な態度を一切とらず、まずは真摯に住民の言葉を聞いて、丁寧に答えようとの姿勢が感じられた。
・すべての議員が意見交換会で地域を回ることによって、地域のことが満遍なくわかるようになる。住民も議員の名前と人柄がわかるようになる。同時に、地域代表から市政全体を考える議員へ脱却を図れるのでは。
・会津若松市議会は、全国から注目されるほど頑張っているが、それでも、多くの市民は議員の定数・報酬はまだ多いと考えている。もちろん、「一概に比較できない」「もっと高くしても良い」と考える市民もいるが、矢祭町と名古屋市のインパクトは全国的に大きいようだ。矢祭が日当を3万円としているのに対して、会津若松が4万6千円としていることへの疑問の声があった。
・議会広報誌の内容がとても充実している。(簡略化よりも説明重視)
このレポートに使われている図表は主に議会広報誌からのもの。毎回、議員の賛否がわかる表もある。(以下参照)

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