PISAの読解力、新聞記者の読解力、読者の読解力
久しぶりに新聞をゆっくり読みました。
池上彰さんがコラムで、PISAのテスト結果の報道についての以下のような指摘をしていました。
PISAとはOECD(経済協力開発機構)が3年に1度実施する国際学習到達度テストのことだ。世界の15歳の生徒を対象に、数学的リテラシー(数学)、科学的リテラシー(理科)、読解力(国語)について調査する。
新聞各紙は、2000年に8位だった日本の読解力が、2003年に14位、2006年には15位に低下して問題になったが、今回の調査で、2000年と同じ8位に回復したと報じた。
しかし、2000年に参加したのは32ヶ国、今回(2009年)に参加したのは65の国と地域だ。今回日本より上位になった上海、香港、シンガポールは2000年には参加していない。参加国が増えて順位が下がったのを学力低下と呼ぶのは疑問だ。
そこで、2000年にも参加した国同士で今回の順位を比較してみると、日本は8位(2000年)から5位(2009年)に上昇しているのがわかる。
今回、中国が国としての参加を断って上海市のみの参加となったが、PISAはもともと国同士の学力を比較して政策評価をするためのものだ。受験戦争が激しい都市と他国とを比較しても意味がないだろう。
分析記事を書く新聞記者こそ、読解力を問われます。もちろんわれわれ読者も、そうした記事を鵜呑みにしない読解力が必要になります。
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