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2011/07/05

長良川河口堰検証第2回公開ヒアリングに出席して

6月23日に開かれた愛知県の「長良川河口堰検証 第2回公開ヒアリング」に出席し、意見陳述しました。約15分間でプレゼンテーションをして、そのあとプロジェクトチーム委員から質問を受けました。

長良川河口堰検証プロジェクトチームは知事が任命した5人の委員で運営されています。

  長良川河口堰検証プロジェクトチーム委員
 ・小島 敏郎  青山学院大学国際政治経済学部教授 愛知県政策顧問
 ・蔵治 光一郎 東京大学生態水文学研究所長・准教授
 ・辻本 哲郎  名古屋大学大学院工学研究科教授
 ・松尾 直規  中部大学工学部長
 ・村上 哲生  名古屋女子大学家政学部教授

第2回公開ヒアリングの意見陳述者は、以下の4名。

   ~ 長良川河口堰に関わる生活実感からの関係者意見陳述 ~
 ・秋田 清音 赤須賀漁業共同組合代表理事組合長
(長良川を含む木曽三川下流における漁業者の立場から、堰運用後から現在に至るまでの漁業の実態と現場の状況、さらにはそれらを踏まえた生活実感を語ることができる方)
 ・大橋 亮一 サツキマス漁師
(大橋さんは長良川下流部で漁業を営む川漁師。特にサツキマス漁に関しては、水資源機構側もそうでない方も大橋さんの漁獲高などを根拠に影響の有無を考察している。運用前後の川の変化、特に魚に及ぼした堰の影響について、漁師の目から見たお話しを頂ける方)
 ・神谷 明彦 東浦町議会議員
(知多半島で水道水の切替を体験。知多半島の人の飲料水の不足や水質に関する思いを生活実感に基づいてお話しを頂ける方)
 ・平野 久克 NPO法人木曽三川環境保全機構理事長
(元長島町の町長で、河口堰の建設から運用開始、その後、現在に至るまで様々な苦労をされながら地元のために働いてこられた方で、治水、農業、漁業など多方面から総合的に河口堰の功罪を語れる方)

80席ほどの傍聴席は満席でした。

以下は、私のプレゼンテーションの中身です。

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 長良川河口堰が平成6年に完成して、平成10年から長良川河口堰の水が知多半島の上水道として供給されるようになりました。それまで私たちは木曽川の水を飲んでいましたが、その時点から長良川河口堰の水を飲むことになりました。
 平成11年に私が初めて町議会議員になりましたので、それ以来、折りにふれて、この水源の問題について議会等で発言をしてまいりました。私はいわゆる無党派でどこの政党にも属していません。一住民、納税者の立場として、自分の意見として、日頃の議会活動をさせていただいています。

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 長良川河口堰が完成してから、私たちの水道水の水源が木曽川から長良川の河口の水に切り替えられました。それで、何とかして元の木曽川の水に戻したいというのが、私たちの願いです。
 どうして木曽川の水が良いかと言うと、木曽川の水はおいしかったのです。名古屋、愛知県の水がおいしいことは一般的にも言われることです。これは感覚的なことなので、なかなか定量化できないんですけど、私自身もおいしいと思います。私は十数年愛知県から離れて他のまちで住んでいました。決してそこは水の悪いまちではありませんでしたが、やはりうちに帰ってきて、水道の蛇口をきゅっとひねってコップに水を注いで、ごくっと飲むと、ああ帰ってきたな、ここの水はおいしいなと、日頃感じていたわけです。
 もうひとつは、そういうおいしいとかまずいとかいう感覚的な問題ではなくて、河口の水よりは、木曽川の中流域の水の方が当然きれいでしょう。だからその水を飲みたいんだという自然な欲求があると思います。どうしてそれなのに長良川河口堰の水を飲まなきゃいけないのかという疑問があるわけです。

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 平成6年、環境破壊につながるのではないかとか、税金の無駄遣いではないかとか、いろんな問題を抱えながら河口堰は完成したわけです。

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 長良川河口堰が完成する前の知多半島の上水道の水源は、もともとは、愛知用水の兼山取水口でした。木曽川中流部、岐阜県にあります。ここから取水して、瀬戸を通って知多半島の方に、木曽川の水が供給されて、その水を私たちが飲んでいたわけですけれど、昭和50年代に、私がいる東浦町以南、あと東海市の一部は、木曽川の下流の馬飼にある木曽川大堰から水を取って、知多浄水場で浄化して木曽川の下流部の水を飲む形に変わりました。この状態が昭和50年代から平成10年まで続いていました。

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 河口堰の供用後、平成10年からは河口堰から取水して、名古屋港の下をトンネルで通り知多半島に水を送りこんで、知多浄水場で浄化して、長良川河口堰の水を上水道として供給するようになりました。
 一方、上野浄水場が東海市にありますが、ここの供給域である大府以北と東海市の一部は、以前と同じ、愛知用水の木曽川中流部の水を使っています。

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 木曽川と長良川の取水口で取った原水の水質比較です。それぞれ、単位も違いますし、値も違いますので、兼山の木曽川中流部の水を100として比較しやすいように加工したのがこのグラフです。これで比較しますと、例えばアンモニア性窒素。赤いのが長良川河口堰、青いのが木曽川の兼山、それから緑が木曽川下流部の馬飼です。見ると、リン酸イオン、アンモニア性窒素、硝酸性窒素、こういったものが、長良川河口堰が一番多のがわかります。その次が馬飼、兼山が一番きれいです。川の中流でとった水の方がきれいで、川の河口でとった水が一番汚い。これは当たり前のことです。これが平成10年です。平成19年がこちらのデータですけど、やはり、木曽川の水よりも長良川の水の方が汚いことがわかります。
 これがただちに人体に害があるというレベルの話ではありませんが、とにかく相対的により汚い、よりきれいということを表していることを理解してください。

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 活性炭がこの中で特に顕著なので、この表にのせました。まず平成9年までは、上野浄水場、知多浄水場、両方とも木曽川の水です。値としてはこの程度ですが、平成10年から知多浄水場に長良川河口の水が入ってきます。そうすると、この値が跳ね上がるんです。以後は高い値が続いています。使用日数というのは年間の使用日数で、例えば夏場、水が臭いときとかに特に入れるということです。入れない日もあるということですが、これも増えています。一方、上野浄水場はずっと木曽川の水ですので、値としては、ばらつきはありますけど、一桁少ないのがわかると思います。ただ注意しておかないといけないことは、浄水場の規模が若干違いますので、年間の処理水量としては、上野浄水場が約4000万m3,知多浄水場が約5600万m3で、3割くらい違うので、この値も3割くらい違ってきて当然なのですが、実際の違いはそれよりもはるかに大きいということを理解していただきたいと思います。つまり、わざわざ汚い水を、たくさんの薬剤を使って処理しているということです。
 知多浄水場には、河口堰の完成後に活性炭の自動連続投入設備が造られました。

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 やっぱりきれいでおいしい木曽川の水のほうが良いと思うのですが、県の方の見解としては、水の安定供給のためには河口堰の水は必要、そして水道水の基準を満たしているのだから、どこにも問題はない。もうひとつは、水利権の整理が非常に難しいということで、木曽川に戻して欲しいと町議会で発言しても、県はこう言ってますという答弁で終わってしまうわけです。

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 農業用水と工業用水には昔どおり木曽川の兼山の水が使われています。飲み水だけ長良川河口堰の水に切り替わっているのはおかしいじゃないか。浄水場で浄化するにも、まずよりきれいな水、より美味しい水を浄化したほうがいいでしょう。人が飲む水と産業に使う水とどちらが大事かということだと思います。
 当然、よりきれいな木曽川の水を上水道に供給し、農業、工業に使う、例えば土にまく水、冷却水に使う水は、長良川河口の水でいいんじゃないでしょうかというのが、私の言いたいところです。
 少し考えただけでもわかりますが、長良川河口の流域人口は、岐阜市を抱えているので、ざっと自治体の人口を足しただけでも80万人は簡単に越えてきます。当然たくさんの生活排水、工業排水、農業排水、農薬なんかも撒きます。そういうものが入ってくるのは当たり前のことです。それがただちに有害だということは証明できないですが、予防原則として飲み水にはよりきれいな水を使うのが当然ではないかと思います。

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 水利権の調整や水の融通はできないのか。もっと簡単なやり方があるんじゃないかというのが、水源スワップのアイディアです。
実は知多浄水場の入口までは、木曽川の水と長良川の水が実際に来ています。長良川河口堰の水利権2.86m3/s。これがそのまま上水道に供給されています。一方、兼山の木曽川の水3.36m3/s が工業用水にそのまま使われている状態になっていますが、これを交換してしまったらどうなのかということです。長良川河口堰の水を工業用水の方に入れ、工業用水3.36m3/s の内の2.86m3/s を上水道の方にもってきても、出口と入口のみかけの水量はかわっていないわけですから、どこにも過不足は生じていません。こういう提案をしているのですが、なかなか、受け入れていただけない状況です。
 ただ、考えてみたら、例えば、川の水利権などでも、王滝川の牧尾ダムで30m3/s 流すと、そこには阿寺川の水も入って来るし、落合川や付知川の水も入ってくるわけです。その下流で、東濃用水が取水したりしているわけです。結局、水には色がなくて、帳尻があっていればいいという発想になります。これもそういうふうに考えれば同じではないかというのが私の言いたいところです。

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 こういう提案をしたのですが、実はこれがすでに可能な状態になっているのです。知多浄水場では実際にバルブがあって、緊急時には切り替えができるようになっています。
 例えば平成H12年の9月、長良川の上流で化学薬品を積んだ車両が倒れて、積載している薬品が流れ出してしまったという事故がありました。平成16年の7月にも長良川河口で塩水が遡上したということがあって、この時には長良川河口堰の水の供給をストップして、木曽川の水を供給しています。だったら毎日やればいいじゃないかと思うわけです。

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 平成18年ですけど、中日新聞の知多版にこの問題が取り上げられまして、先ほど言ったような、私の言い分、それから県の言い分が、フェアな形で書かれています。

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 町議会で、上水道の水源を木曽川に戻すことを求める意見書も提案しました。他の2人の議員の賛同を得て、3人で意見書案を提出したのですが、平成18年に出した時には6:13、平成21年の3月には6:10で否決されました。自民党系の議員や公明党の議員は、国策でやっているということを尊重するということで、反対にまわったのだと思います。ただ、雑談で本人たちと話すと、やっぱり木曽川の水の方がいいよなと言うわけです。

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 最後になりましたが、水源の問題というのは、ハードではなく、かなりの部分をソフトで解決できるのではないか。水の融通など柔軟な対応でやっていけるのではないかと私は思います。
 もうひとつは、国策とか言いましたけど、人任せじゃなく、自分たち、例えば国民、住民、納税者、サービスの利用者も含めて、自分たちで解決策をこれから選択していく時代ではないのかなと思います。干ばつや洪水というのは、本質的には防げないと思います。例えば、1000年に1回とか100年に1回とか、そんなのは対応できっこありません。それに対応しようと思ったら、そこにかかるコストはキリがないと思います。結局、止めどもなく、コストをつぎ込まなきゃならなくなるし、止めどなく環境破壊は進んでいくことになるでしょう。だから、私たちも多少、節水してみましょうという、自分たちの多少の不便も我慢する姿勢が必要なのかなと私は思います。そうすることによって、より自然な、運用ができるのではないかと思うのです。
 それから、きれいな水をいただいているのも、上流の豊かな森なり山村なりがあるおかげだということを忘れてはいけないのかなと思います。だからハードではなく、感謝するハートも必要なのかなというふうに思います。以上です。

  上記スライド「hearing20110623kamiya.pdf」をダウンロード

 

 

第2回公開ヒアリングの様子は、動画(http://www.ustream.tv/recorded/16192281)で見ることができます。

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コメント

もはや「ハード」ではなく「ハート」が必要とのご指摘、感じ入りました。

余談ですが、<できない理由>として掲げられた県側の見解は、奇しくも "原発が必要な理由" として掲げられるものと共通していますね。

既成のものをすべてハートでとらえ直したら、変えるべきこと、変えられることはたくさんあるように思います。

非常にわかりやすいプレゼンを有難うございました。

投稿: 某傍聴マニア | 2011/07/09 00:18

「水が足らない。」「電気が足らない。」
の脅し文句も同じです。
美しい海岸線や渓谷美以外、これといった産業のない山村漁村に莫大な金が落ちる誘致の構図も同じです。

原発がなくても電気は足りているという試算もあります。
水も余っていると言われています。

もちろん、使い方次第でしょうけど。

わたしは、地震を経験したこの機会に、ライフスタイルをちょっと変えてみることを提案したいと思います。
暮らしの基本は、ストック(再生不可能な資源や自然、先人が築いてきた資産や貯金)を食いつぶすことではなく、フロー(太陽からの恵みや、毎日の収入)によって立つ、身の丈に応じた生き方だと思います。

今年は空梅雨のようなので、全国的に水がタイトになるかもしれません。確かに不安はありますが、ソフトで対応できることもたくさんあると思います。

投稿: 神谷 | 2011/07/10 13:53

議会レポート」をのぞいてみようと、たまたま最後2011/7を見ていてわたしのウカツさを恥じています。http://kamiya-a.cocolog-nifty.com/turezure/2011/07/index.html
町の借金指摘も含め われわれの飲み水以外に長年環境対策に多く活動されている!!!!!!!!!!!!!
⻑良川河⼝堰からの飲み水については何年も前から町水道課に不満をいってきましたし、緒川の町会議員にも話したことがあります。また、木曽川の水に変える案が何回も否決されてきた町の議会報告をwebで承知していて周りの人にはなんという町議会かと不満をぶちまけてきました。
何年も前にこのwebを見たときは議案の上程者は意識していませんでした。

>よりきれいな⽊曽川の⽔を上⽔道に供給し、農業、⼯業に使う、例えば⼟にまく⽔、
>冷却⽔に使う⽔は、⻑良川河⼝の⽔でいいんじゃないでしょうかというのが、私の⾔いたいところです
農業優先の水利権があるかもしれないが 農業をしている人もいのちの水を飲んでいるのではないのか。水質検査項目もわかっているレベルの限られた項目に限られているはずだ。川の最後の水にはどんな化学物質が混ざっているのかわからない。植物は自身に浄化作用があるのだから 飲む水は木曽川に変えるべきだと水道課にもいってきました。

2011/6/23 「⻑良川河⼝堰検証 第2回公開ヒアリング」に出席し、意⾒陳述。
プレゼンテーション資料をしっかりつくられて 関連部署に何回も説得してきている
わたしにはとても及ばないパワーに敬服しています。

投稿: とだ-k | 2013/08/01 12:52

東浦町に住んでいる人、東浦以南の人たち 自身が日々生活している生活用水が長良川「河口堰のため水」だという認識がされていない、意識が弱い感じを持っています。工場から間違った排水は飲まされてからでは遅いのです。すでにわれわれの体に蓄積されていると思います。阿賀野川のイタイイタイ病、富山県神通川流域のイタイイタイ病等々

投稿: とだ-k | 2013/08/01 13:19

魚、肉に抗生物質や農薬がすでに循環蓄積されていると思います。それらと長良川河口堰のため水にも不明の化学物質があれば、反応して人体に有害なものになるかもしれません。そういった可能性を否定できません。すでに世界中の化学会社他の製品、製造過程でいろいろな化学物質が地球上にばらまかれています。レイチェルカーソンの「沈黙の春」有吉佐和子の「複合汚染」から長い期間がたっています。自分の体が意味不明の病気にならないのが不思議に思うことがあります。阿賀野川、神通川だけではないと思います。

投稿: とだ-k | 2013/08/01 22:34

ただちに問題ありとは言えないまでも、予防原則と言う言葉があります。
長良川の本当に河口の水をわざわざ活性炭を入れて浄化して飲む。かたや、木曽川の中流域の水を工場の冷却水や田畑に撒く水として使う。理想的な使い方とは思えません。
せっかくの天と森の恵みをもっと大切に使いたいと思います。

投稿: 神谷明彦 | 2013/08/03 10:23

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