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2011/11/04

地方議会の委員会視察のあり方についての考察

議会の委員会の視察については、物見遊山、懇親旅行は論外ですが、視察の目的がメンバーの中で十分議論されていない、共有化されていない、事前勉強が不十分、視察に行った成果が見えない、政策に生かされていないなどの問題を感じている議員は少なくないと思います。これらの視察では、予算消化のため、まず視察ありきで、視察の目的や成果が軽視される傾向があります。政務調査費の対象となる会派の視察についても、同じことが言えるのではないかと思います。
私も、議員だった時、これらの点を問題視していたので、その時の政策課題を意識して、参考にしたいところがあれば視察に行くし、行きたいところがなければ行かないようにしていました。また、割引制度などを活用し旅費をできるだけ節約することに努めていました。

神奈川県議会議員の菅原直敏さんは、ご自身のメルマガ(私はこのメルマガを彼が大和市議会議員の頃から拝読しています。)で、地方議会の委員会視察のあり方について考察されています。
以下、菅原さんのメルマガから引用させていただきました。

 

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  ■1.議会の視察の費用対効果と運用方法の改善 その1

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●ひょんな名言

TwitterFacebook等のソーシャルメディアの発達により、全国各地の議員の活動状況がオンタイムで入ってきます。特に秋に入ってから格段に増えたのが、議会の委員会単位で行われるいわゆる「行政視察」の報告です。

都道府県議会・市町村議会問わず大半の議会では、各委員会に県外視察の為の予算がついていて、大体9月議会が終了する秋口に多くの行政視察が実施される傾向があります。中には横浜市会のように年2回実施する議会もあります。

この視察について、9年前に市議会議員になってから非常に多くの問題意識を持ってきました。視察を実施することが悪いと言うのではないのですが、いやむしろ有益なものであれば実施すべきなのですが、実際の現場における運用の仕方を目の当たりにすると、やらない方が住民にとっても有益なのではないかと感ずることが少なくありませんでした。

なんとも奥歯に物の詰まった表現になってしまうのですが、先日私のツイッターのタイムラインに、あるタウン紙の記者の行政視察に関する端的で的を射た発言が入ってきました。

「議員の視察旅行。行くたびににわか知識は増えるが、ほとんどが政策に落とし込めない。いいもの見ても感心して終わり…。新しい議員さんたちは、そんな悪しき慣例を打開できるのだろうか。視察の費用対効果は?」

議員の立場からは「無駄な視察はない」との主張がなされるのですが、費用対効果又はいかなる成果に繋がっているのかという点について説明できない視察が多過ぎるような印象を受けています。その意味で、このつぶやきを私は名言として紹介しました。

 

●行政視察の実際

 

・定例行事化

第一の視察の問題点は、視察が定例行事化していることでしょう。毎年予算が付いているから、なんとなく行かなければみたいな雰囲気が議会に蔓延しています。もちろん、必要性が低ければやらなくてよいのではという議員がいないわけではないのですが、そのようなことを主張すると「議会の調和を乱した者」というレッテルを議会内では貼られるので、このような主張はなりを潜めます。ヴェテラン議員相手に異を唱えることは、議会内における村八分に等しい場合もあります。

中には、実施しないと来年度の予算が確保できないなどと、役人みたいなことを言いだす議員もいます。所詮は人の金(税金)、自分の財布が痛まなければ、あるお金は使ってしまえという意識が勝ってしまうのでしょう。

 

・目的意識の欠如

定例行事化しているため、夏前の委員会で視察を実施することが確認されますが、たいていは正副委員長一任になります。正副委員長の意識が高ければまだ救われるのですが、その後正副委員長が議会事務局に丸投げし、議会事務局が当局に場所探しを依頼する流れになることも少なくありません。

また、委員会として視察先に行く前の事前勉強が行われることもまずありません。意識の高い議員は個人的に事前勉強をしていますが、多くの議員が事前勉強もせず、ひどい場合は出発日に調査内容を初めて知る議員も少なからずいます。

 

・成果意識の欠如

以上のような過程を経て実施された視察において、身のある成果を期待することはできません。視察報告書の作成も事務局職員任せであり、事務局の作った報告書は委員の感じたことや問題意識も記載されず、調査先で得られた資料と質疑内容を貼り付けた、形式的で役に立たないものであることが大半です。

また、委員会で実施された視察であるにもかかわらず、委員会で調査内容を議論することもなく、多少各議員の質疑で触れられれば良い方で、中には視察の内容がまったく触れられないことも珍しくありません。

議会によって多少の違いはあるかもしれませんが、おおよそこのような「傾向」があるのではないでしょうか。費用対効果という点では、委員会の行政視察程悪いものはないのではないかと思います。

ただ、このような事を言うと必ず突っかかってくる議員がいます。「百聞は一見に如かず」、「色々と勉強になった」、「無駄とは失礼だ」等、様々な事を言います。確かにその通りだと思います。議員の視点からは100%無駄な視察はありません。しかし、それが如何に政策に落とし込めたのかと問われたら、答えられない議員も多いのではないでしょうか。その意味で、記者の方のつぶやきを言い得て妙な名言であると私は感じたのです。

ただ、私は必ずしも視察を実施すること自体が悪であると主張しているわけではありません。要するに運用の仕方を改善するべきであると考えています。

 

次回に続く

 

 

 

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  ■1.議会の視察の費用対効果と運用方法の改善 その2

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前回は、地方議会で実施されている行政視察の現状と課題についてご紹介しました。今回は、運用の改善策について触れます。

前回の内容はこちら
 → http://sugawaranaotoshi.seesaa.net/article/231589007.html

 

1.目的と必要性を委員全員で共有する

現在の行政視察の多くは、予算が付いているため「実施ありき」で組まれます。しかし、本来は委員会審議の過程で調査の必要性を議論し、その目的を明確にすべきであると考えます。この点が、不明確であるからこそ、多くの視察は「にわか知識」を増やすためだけの物見遊山的な色彩を帯びてくるのです。

残念ながら、目的や必要性以前の「行きたい場所」、「食べたい物」、「見たい観光地」といった目的外の目的で、調査先をそれに後付けて行われる視察も程度の差こそあれ存在します。これらを抑制するためには、必要性と目的の徹底は不可欠であると考えます。

私が調査した地方議会の中には、視察実施に至るまでの過程を議事録に残る委員会の場で議論している議会もありました。本来は視察の提案や企画過程も含めて、「何故、視察をおこなうのか?」ということを住民に公開していくことが必要でしょう。

 

2.手法の妥当性について検討する

委員会で調査をする場合、全委員が参加します。確かに、委員全員で現地を調査した方が情報共有できて良い場合もあります。しかし、例えば、全員が行かなくても、数名の委員が調査して、その経過を委員会で報告することで目的を達成できる調査もあるはずです。他にも、宿泊先や交通手段のあり方等、改善すべき点は多くあります。

調査の目的を達成するために、最大限効率的かつ効果的な手法を選択することが、財政の厳しい折、議会に求められることであると考えます。

 

3.事前勉強及び事後報告を徹底する

多大な費用をかけていく割には、参加者の調査先に対する認識が低いです。当日に調査先を知る議員も少なくありません。また、調査先に行って、現地で聞く必要がない質問や、逆に質問がなくて委員長が委員に質問を促すような場面も見られることがあります。これは、事前に調査先に関する勉強をしないことに起因します。

当然のことですが、大抵の場合、調査先の方々は無償で貴重な時間を割いて対応して下さいます。事前勉強も満足にせず調査先に伺うこと自体が大変失礼にあたるのではないかと思うと同時に、やはり調査の充実という点では大きな問題があります。

また、事後報告も十分ではありません。大抵の場合、事務局職員が調査先で頂いた資料を貼りつけ多少の質疑の内容を記した調査報告書のみです。本来であれば、各議員が調査先でどのような知見を得たか、そして如何に政策に活かせるかを自分達の言葉で報告すべきです。

私が調査した地方議会の中には、事前勉強を実施したり、各議員の調査報告書の提出を義務付けている議会もありましたが、少数派です。

委員会として調査をするのですから、委員会として事前勉強し、委員会の中で調査結果について議論をすることが不可欠であると考えます。私の所属する会派では、調査報告書の作成を義務付けており、調査に参加しなかった議員もその知見が共有できるようになっています。

 

4.運用における改善

より根源的に考えると、委員会単位の行政視察に関する予算を事前につけることが必要かという疑問にぶつかります。大半の地方議会では政務調査費という制度があり、その費用を用いて視察を行うことができます。

仮に、委員会で調査を実施することになっても、各議員が政務調査費を用いることで参加するように仕向ければよいのではないかと私は考えています。政務調査費は各議員の裁量によって使えるお金なので、節約すれば他の自分の調査に用いることができます。従って、このような運用方法にした場合は、視察の実施についてもより真剣な議論がなされると考えます。

結局、議会費の予算において行政視察が行われる場合は、「使わなければ一般会計に戻ってしまう」→「使わなければ損である」という意識も働き、意義の薄い行政調査が実施される結果となります。

しかし、政務調査費で実施される視察の場合は、その割合が多少低下すると考えられます。意識の高い議員は効率的かつ効果的に有意義な調査を行おうと、上記に記したような必要性・目的・費用対効果も含めて検討するからです。

なお、地方議会の中には政務調査費が少ないために、このような行政視察が必要であると主張される議員もいますが、私はその「行政視察の予算」を「政務調査費の予算」として、各議員に割り振ればよいと思います。同じ費用の予算が付きながらも、このような運用の変更で、視察のあり方も相当変化すると考えられます。議員の中には、行政視察で事務局が全てをサポートしてくれるために参加しているという者も少なからずいるからです。

 

以上、諸々申し上げてきましたが、議会内での人間関係や慣習などにより、私も全ての事に対して満足のいくことができているわけではありません。しかし、一委員としている場合は別にして、自分が委員長なりの立場に立った場合は、かなり以上のような視点を意識して、運用を行おうと努めています。

大和市議会議員時代に副委員長になった際、議員1人当たり10万円の予算を使い切り、23日で県外に行くような調査から、目的を重視した上で、市保有のバスを利用し12日で1人当たり1万円程度で調査を行ったことはその表れです。もちろん、泊数が少ないことや費用が低かったことが偉いと言っているわけではありません。必要性・目的及び費用対効果を意識した調査を行ったことが重要な点です。

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最近、議員の意識が住民のそれとずれていると感じることが再び多くなってきました。自分の議員としての存在意義でもありますので、このようなことはできうる限り問題意識を持って改善できる方向で進めていきます。

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