宮城県内の津波の状況
11月に2回、仙台方面に視察に行った。
亘理町と山元町については以前レポートした。今回は、岩沼市~石巻市にかけての海岸沿いを見て回った様子を紹介する。
岩沼市には、町の職員を派遣、罹災証明発行などの相談業務のお手伝いをしている。
岩沼市庁舎は大丈夫。市街地中心部にはほとんど震災の跡を感じない。被害のほとんどは海岸部近くの津波によるもの。津波の浸水域は海岸線から5kmほど内陸に入ったところまで。仙台空港ターミナルビルは一時2000人もの人が孤立した。
地震で、500haもの土地が地盤沈下。沿岸部では80cmもの沈下が見られ、海抜ゼロメートル以下の土地が5km2も生まれた。津波で市域の49%にあたる29km2が浸水した。
死者は150人。市内で亡くなった市民134人、市外で亡くなった市民15人、行方不明1人、市内で亡くなった市外居住者47人。
全壊723棟、大規模半壊509棟、半壊1087棟、一部損壊2763棟、計5082棟。
瓦礫は52万t。うち50万tは収集済みで処分待ち。
仮設住宅も訪問させていただいて、住んでいる方々と懇談させていただいた。多くの方々が、どうしてもっとたくさんの家族を避難誘導できなかったのか今も悔やんでいらっしゃった。潮が引いて貞山堀の底が見えていたのに、多くの家族でお父さんが「大丈夫だから」と言って避難しなかったそうだ。残念なことに、「みんな逃げてるよ」と一言いえばかなりの家族が避難していたことに、あとで気が付いた。もっと早く気づいていればたくさんの人を救うことができたのにと悔やんでおられた。
塩水に浸かった田んぼにキャベツが。葉物は塩分に強いのだそうだ。
市役所の罹災相談コーナー。
壊れた建物や瓦礫はまだそのままになっている。
仙台市の蒲生海岸も壊滅的な被害にあった。少し遠くに目をやると高層ビルの立ち並ぶ市街地がよく見える。津波と無縁な平穏無事な市街地とは、正に対照的な世界がここにある。
塩釜市内の液状化。下水のマンホールが浮き上がってしまっている。
松島湾内にある松島町は、津波による高潮の浸水はあったものの、建物が破壊されたり、人的被害が出るような大きな津波は発生していない。これはひとえに湾内に点々と島を持つ特有の地形的が津波を減衰させたものと考えられる。隣の東松島市で大きな被害が出たのと対照的だ。
瑞巌寺では山門の近くまで水がヒタヒタと入ってきたらしい。遊覧船の船着き場は地盤沈下の影響で満潮時に浸水があるほかは、土産物店などのある観光地区は至って平穏な感じだ。松島町役場は、耐震対策済みだが、基礎の一部が断裂し建物に傾きができたそうだ。
東松島市野蒜海岸は砂浜の広がる遠浅の海水浴場で有名なところ。海岸から500~600m離れたJR仙石線野蒜駅は1階の天井まで津波が押し寄せて壊滅状態。ホームでは生々しく切れた架線が垂れ下がっている。
宮城県第2の人口を擁する石巻市では、旧北上川河口域の広範囲にわたり津波に被災し、宮城県内最大の3,832人もの死者行方不明者が出ている。海岸近くには大量の瓦礫や廃車が並べられている。津波と火事の両方の被害にあった小学校。廃墟となった市民病院と地盤沈下で水没した門前薬局。道路の真ん中には大きなタンクがまだ転がっていた。
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