「ウェルネスバレー構想」と「せっ立ちマップ」
平成23年11月18日(金曜日)に、あいち健康プラザ プラザホールにおいて、「ウェルネスバレー推進協議会設立記念フォーラム」が開催されました。フォーラムでは、『理想の長寿社会を目指して』をテーマに、大島伸一さん(国立長寿医療研究センター総長)による講演が行われました。
活動紹介では、大府市より『ウェルネスバレー構想の推進について』をテーマに、これまでのウェルネスバレーに関する取り組みなどを紹介しました。
パネルディスカッションでは、コーディネーターに津下一代さん(あいち健康の森健康科学総合センター長)、パネリストに飯本雄二さん(至学館大学 健康科学部 学部長・教授)、岡部篤男さん(株式会社 げんきの郷 代表取締役社長)、木村勝昭さん(大府商工会議所 会頭)、前田正信さん(あいち小児保健医療総合センター長)を迎え、久野孝保 大府市長、神谷明彦 東浦町長、とともに、『ウェルネスバレーで目指す幸齢社会のまちづくり』をテーマに、ディスカッションが行われました。
以下は、私がパネルディスカッションで触れたことです。
東浦町は、平成22年度に保健文化賞を受賞しています。それは、がん死亡率が低いこと、平均余命が長いこと、特定健診受診率が県内1位であることなどが評価されたものと考えています。実際、知多北部広域連合の中で比較しても、広域連合の平均が42.9%に対して、東浦町の高齢者人口に対する健康受診率は51.7%。高齢者人口に対する介護予防事業参加率は広域連合の平均が0.73%に対して、東浦町は1.36%。東浦町の特定検診の受診率は63.32%と知多郡5市5町の中でも突出しています。しかし、国民健康保険で見た医療費は、知多北部広域連合の平均が約27万円程度に対して、東浦町が28.4万円と決して低くはなっていません。医療サービスを受けやすい環境にあると言えなくもありませんが、もう少し予防や検診にかかるコストと医療費の関係を精査する必要があるだろう思います。
日頃の健康管理については、健康体操や太極拳に打ち込んでいる人たちがたくさんいます。健康不安を感じてからではなく、若く健康なうちから身体づくりをしておくことが大切だと聞いています。
自動車に頼るのではなく、歩いて暮らせるまち、自転車で暮らせるまち、コミュニティバスや鉄道など公共交通機関を使いやすいまち、また、自然環境に恵まれ、ソーシャルキャピタルや市民活動が盛んなことも、生き生きしたまちの条件になってくると思います。人が良く生きるためには遣り甲斐、生き甲斐が欠かせません。
ウェルネスバレー構想については、「ここで生まれてきてよかった」とか「幸齢社会」とか、抽象的な言葉が並んでいて今一つ具体的なものが見えてきませんが、まちづくりにおいては幸せなコミュニティづくりが必要なのは論を待たないし、産業分野で言えば、この地で自動車産業に次ぐ次世代の産業を創出することは誰もが重要視していることです。
バイオ、薬品、医療機器、介護用品などの新産業を誘致するにしても、ウェルネスバレー構想計画地内の東浦側にアクセス道路が未整備なことは問題なので引き続き県に働きかけをしていきます。
また、小さなことでも、具体的なアイディアや活動を積み重ねていくことが大切だと思います。小児医療総合センターには家族のための宿泊と自炊の設備がありますが、買い物が不便なため活用できていないそうです。げんきの郷から新鮮な野菜や温泉などのデリバリーがあれば格段に居心地がよくなるのではないでしょうか。また、小児医療総合センターは東浦町の森岡上割木地区と隣接しているにもかかわらず、アクセスが全くありません。ここを歩道や車道で結ぶことによって、まちと病院をつなぐ。もっと言えば、まち全体を総合病院化できないでしょうか。実際にそんなアイディアを温めていらっしゃる方たちがいるのだから、ぜひ実現させたいものです。
また、最近この地区に隣接する商店主の方たちが、通りに「たちこぎ坂」とか「イケメン通り」とか名前を付けて『せっかくだから立ち寄りたい お店マップ(略してせっ立ちマップ)』を創作、付近のお店や食べ物屋さんやウェルネスバレー内の健康施設などとの有機的な結びつきを利用者に視覚的に訴えるような活動も始めています。ぜひそう言った活動やアイディアが花開くような環境作りを応援したいと思います。
ここは大府とか、ここは東浦とかではなく、地図上の境界を越えて、各施設の敷地の境界を越えて、そして人同士の心の境界も越えて、アイディアを出し合い、他の地域にないものをつくっていきたいものです。技術も社会も高齢社会用になっていません。新しいものの考え方が必要です。長寿医療センターの大島総長が「国に頼るのではなく、地方ががんばらねば。」とおっしゃっていましたが、まさに我々の地方から情報発信をしていかなければならないと思います。
※ウェルネスバレー基本計画についてはこちら。
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素晴らしいご提案をありがとうございます。
子どもの入院中、付き添って小児センターで暮らしておりました。子どもの病状によって、付き添い家族も共に病室のみで過ごしたり、病棟や病院内のみに行動が制限されたりします。子どもには病院食が出されますが、付き添い食の提供はないため、菓子パンやカップ麺を食べ続けるしかないこともありました。
子どもがICUにいる間は付き添い家族用の滞在施設を利用できますが、立派な共同キッチンで調理する人はおらず、せいぜい冷蔵庫と電子レンジが使われているだけです。仮にげんきの郷の新鮮な食材がデリバリーされたら、付き添い者の食事を作れるだけでなく、ICUで過ごす病気の子どもに手料理を差し入れすることも可能になります。
病院では、患者と付き添い家族のみならず、多くのスタッフの方達が、昼夜を問わず過ごしています。どうか病院とそこで過ごす人たちを支えていただきたいのです。
医療、商業、産業、福祉等の点在する各施設をつないで、まち全体の絆を強くすることが、ウェルネスバレーの意義であってほしいと願っています。
投稿: 患者会役員S | 2012/02/27 13:44
患者役員S様
コメントありがとうございました。
このエリアにかかわりのある人から、もっともっと、経験に基づく地に足の着いたアイディアをいただいて構想を膨らめて行くことができたらと期待しております。
今後ともお力をお貸しください。
投稿: 神谷 | 2012/03/01 13:02