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2012/02/20

衣浦定住自立圏関係市町長会議

1月19日、刈谷市で衣浦定住自立圏関係市町長会議がありました。

これまで、衣浦定住自立圏共生ビジョン(案)を作成し、パブリックコメントを募集。これらの結果を踏まえて、3月1日付で衣浦定住自立圏共生ビジョンを策定することを確認しました。

具体的には、中心市である刈谷市と周辺の知立市、高浜市、東浦町が、共生ビジョンに基づき、下記のような公共施設や公共サービスの連携を強化していきます。

●病診連携の推進
刈谷豊田総合病院と圏域内の診療所等との医療情報のオンラインネットワークを構築することにより連携を強化し、医療環境等の充実を図る。

●公共施設やサービスの相互利用
図書館、スポーツ施設などの公共施設や市民講座等の相互利用を進め、圏域住民の生涯学習、スポーツ及び文化の振興を図る。

●特別支援学校の誘致
圏域内に特別支援学校を誘致し、障害がある児童生徒の教育環境の充実を図る。

●行政バスの広域利用の促進
公共交通機関も含め行政バスの乗換拠点等を整備し、マップを共通化。圏域内の移動しやすい路線網を構築する。

●広域観光事業の推進
各観光協会等が連携し、観光関連事業を実施。また、圏域の観光案内及び地元物産品等のPRを行う。

●幹線道路の整備促進
圏域の幹線道路の整備に関する協議を行い、圏域生活の利便性及び防災機能の向上を図る。

●ボランティア活動等の支援体制の構築
情報の一元化、団体交流会等を通し、ボランティア活動等の活性化を図る。

●職員合同研修会の開催
地方自治などの課題に対する合同研修会を開催し、圏域のマネジメント能力を有する人材の育成を図る。

防災計画については共生ビジョンに盛り込んでいませんが、衣浦湾を挟んで地理、地層、歴史を共有する地域です。今後の展開には様々な可能性が考えられます。

定住自立圏構想の概要とこれまでの経緯についてはこちらを参照ください。

会議終了後に昇秀樹名城大学教授を招いて衣浦定住自立圏共生ビジョン推進講演会を開催しました。講演は以下のような内容でした。
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 衣浦定住自立圏共生ビジョン推進講演会
           ~「都市間競争時代」の中でどう生き残るか~

                   名城大学都市情報学部教授 昇英樹氏

私はライオンズファン。
松坂やダルビッシュは、メジャーリーグに移籍すると数十億円のペイを手にするが、日本ではせいぜい数億円だ。グローバル経済では、有能な人のペイはどんどん上がっていく。

1990年までは東西冷戦のおかげで経済も東西に分かれていた。冷戦構造の崩壊で、軍事技術が学術そしてビジネスに解放されインターネット(センターを持たないネットワーク)をはじめとするIT技術が発展した。
自力で成し遂げた明治維新と違って、中国は土地と安い労働力を提供、外資を呼んで産業革命を進めた。一方、この20年間、日本は世界で一番下手な対応をした。いまや上海のほうがよほどダイナミックになっている。
冷戦が終わって日本の大都市は世界の都市と競争しなければならなくなった。

今まで給料の下がっていた人はこれからも下がり続ける。格差は広がる。中流層がなくなると国内の経済も細る。グローバル経済とはそういうものだ。

中国人は名鉄百貨店で一人平均8万円の買い物をする。日本車両は北米で組み立て、新幹線を海外で売る。パナソニックなどはシンガポールに本社機能を移し、現地採用を主体にし、日本人は1割ほどしか要らないと言っている。他の製造業も生産拠点や本社機能を海外に移そうとしている。

明治の初めの人口は3千万人強。このころ農村部ではまだ間引きや姥捨てが行われていた。その後、日本は産業革命を経験する。2010年の国勢調査で人口がピークを迎え、2015年には65歳以上が人口の1/4に、2025年には65歳以上が40%、75歳以上が1/4になる。年金は国の仕事だし、介護は自治事務だ。日本は人口ボーナスの時代から人口オーナスの時代に突入した。どうやって持続可能なシステムを作るか。これをヌキにした議論は時間の無駄だ。
都市圏のニュータウンや住宅団地で「限界集落」が発生する。都市圏のベッドタウンが純粋オールドタウンになる。
総合計画で人口問題を地区ごとに議論しないまちは怠慢だ。

定住自立圏では、中心と後背地をはっきりさせる。衣浦定住自立圏では、事実として刈谷市が中心になる。広域連合のように構成市町のすべての合意ではなく、中心市と周辺市町村が1対1で協定を結ぶことにより関係が成立する。
刈谷豊田総合病院などを応援して民間の力を引き出す。意欲がないところは放っておく。治安の向上など、住民自らが自分のまちの資産価値を上げる。

牧畜は一人でできる。「自立」が英米的プロテスタントの思想。神と個人が対峙し、牧師が助言する。
小麦栽培は家族の協力が必要。「自律」がヨーロッパ大陸的カトリックの思想。教会があって教区がある。
寝たきり高齢者は「自律」は可能だが「自立」は困難だ。日本はどちらかと言えばヨーロッパ大陸的な社会だと考えている。

世界はリジョン(圏域)でグローバル競争を戦っている。G8諸国で州がないのは日本だけ。外国から人が訪ねてくるのは、例えば大分ではない。日本か九州にやってくるのだ。
日本も将来、大阪都、中京都、さらに東海州や中部州に移行した時に、基礎的自治体は中核市や特別区に(合併までしないにしても)再編される可能性を意識して準備しておくことが賢明だろう。
これまでのように各県に空港を造るようなアホなことをしている場合ではない。定住自立圏が機能分担して選択と集中を実現する。たとえば、高浜の福祉介護機能を4市町に拡げる。東浦(・大府)の医療福祉機能を4市町に拡げる。知立と刈谷のかきつばたを連携させ観光交流機能をレベルアップする。刈谷市の医療機能、商業・雇用機能を4市町に拡げる。そして、あたかも一つの都市のような(岡崎、豊田に負けない)機能を発揮する。これは、豊田、名古屋とのトライアングル都市圏や「グレーター名古屋」の発想につながっていくかもしれない。

1400兆円の国民資産がほとんど国債に回ってしまい、預金残高はほとんどゼロに近い。この20年で我々はこの日本をダメにしてしまった。次世代に責任を持つのが最低限のエチケットではないだろうか。立て直しのタイムリミットは刻一刻と迫っている。

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