片山善博さんの講演を聴いて
片山善博さんと言えば、元鳥取県知事、前総務大臣、現慶応大教授。名古屋で講演があった。氏のお話しを聴くのはこれが初めて。以下は、その要約(少し記憶が曖昧なことをお断わりしておく。)。
餓え攻め
名古屋と鳥取は無縁ではない。戦国末期、中国攻めの際に秀吉が鳥取城を兵糧攻めにした。米を買い占めて城の兵士に食料が届かなくした。餓死者が出て人肉を食べたという話も残っているほどだった。米をいくら高く買ってくれると言っても、売った方も悪いと思う。
TPP
TPPには当初から加盟することを経産官僚などは決め込んでいた。
TPPというと農業問題がしばしば大きく取り上げられるが、コメ問題に関してはウルグアイラウンドで米の輸入義務付けがなされており既に風穴があいている。中国米も安くておいしいと結構人気がある。これからは生産者のみでなく、消費者の視点も重要になってくる。
農業問題以外には中小企業問題もある。
競争力のあるグローバル企業は対米重視の姿勢だろう。
TPPの問題点は、ISD条項
問題は、ISD条項(Investor State Dispute Settlement「投資家対国家間の紛争解決条項」)だ。韓国では大型店に対して営業時間制限などの規制があるが、これが投資家の利益を毀損しているとして問題になっている。
日本の地方自治体では、たとえば、地産地消の観点から、また地場産業優遇策として、地元食材をベースにした学校給食メニューを作っているが、TPPはこう言った地方自治体の努力に水をさして、独自施策の実践ができなくなる恐れがある。
ISD条項について国民に知らせないのは官僚の不誠実だと思う。政府の後ろ盾のある日本郵政の簡易保険も問題視される可能性がある。
自分としては、今の状態でTPP参加はやめたほうが良いと考える。
官僚は地域主権改革に消極的
官僚の意向もあって、野田さんは地域主権改革には消極的だ。補助金の一括交付金化もなかなか進まない。
官僚は部下だ。敵だと思って追い払ってはいけない。大組織を使った経験のない人たちは慣れるまで時間を要する。アメリカでは、スタッフを10人くらいしか使わない上院議員、弁護士、大学教授は、州知事、NY市長、社長などと比較して大統領には向かないという考えがある。
消費税は国の税全体をまかなうべきもの
社会保障のためというと、人々の心がなごむ。そして地方交付税(国から地方への仕送り)への使途を遮断できる。そんな意図があって「社会保障目的」と言っているのだろうが、本当は財政再建にしか使えないお金だ。消費税を上げないと財政は危機的だ。
質問に答えて
国から県への権限移譲は手上げ方式だ。市町村も県に対して土地利用の許可権限など、欲しいものは欲しいと言えば良いと思う。
PTTについても、国に対して地方自治の立場から条件をつければよいと思う。
橋下大阪市長については、現業職員の給料を下げたり、予算編成過程をコメントつきで公表したり、スタンスを評価しているが、政治家として言葉が軽いと(変節もある)と感じる。
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