デフレの正体と東海市のまちづくり・・・藻谷浩介さんの講演会
先月、東海市で日本総合研究所主席研究員の藻谷浩介さんの講演がありました。
藻谷さんは、東海市の人口動態を例に取り、グラフを使ってわかりやすく解説。地域へのリップサービスもあってか、この地域の豊かさや東海市のまちづくりを絶賛。以下、私なりの要約です。
東海市では、1995~97年辺りに社会減(転出)が多く人口が減っていたが21世紀に入って社会増(転入超過)に転じた。それで人口が増えてきているが、特筆すべきは、自然増(死亡に対する出産の超過)が毎年コンスタントに500人ほどあることだ。これは日本でも沖縄くらいで、いまどきアジアでも珍しいパターンだ。
それに引き換え、一見元気に見える東京都立川市は、人口こそ増加しているが、中身は社会増(周辺からの流入)が多く、自然増がどんどん減ってきている。
なぜ、最近になって東海市の人口が増えているのか? 逆に、なぜ以前は増えなかったのか? 良い場所なのに宅地の供給がなかったので、家を買えない借りられない状況だったと考えられる。最近になって区画整理の影響が前面に出てきたと考えている。
店もゆっくりだがじわじわ増えてきている。しかし、商業の売り上げは増えていない。これを店舗の床面積で割ると、店舗売り上げの床効率は15年間に2割ほど低下していることがわかる。
一方、立川市では、乱開発のために、15年間に店舗が8割増加し、そのために床効率が4割ダウンしてしまった。東海市では無駄な投資をしていないだけ賢いといえる。
名古屋市では、JR高島屋ができてから値下げ競争に突入、売り場面積は25%増えたが、売り上げは7%減少。すなわち床効率は3/4になってしまったことになる。
東京は虚業の街。東京が名古屋に勝てると思ったら大間違いだ。東京の売り上げは、東京に集中する通信販売を含めても10%ダウンしている。
以上のように比較的良いと考えられるところでもこんな状況の中で、東海市はうまくやっていると言って良いと思う。
1990年~2006年にかけて、東海市では市民の年収が増えている。この間、店の売り上げは増えていないので、新日鉄などの企業の持ち株会の配当を(畑や釣くらいしか行かない)高齢者が溜め込んでいる構図が見て取れる。
1990年 2003年 2006年
東海市(所得) 1467億円 1557億円 1806億円
(店舗売上) 1119億円 964億円 1094億円
東京都(所得) 18.4兆円 16.9兆円 19.9兆円
(店舗売上) 14.8兆円 12.9兆円 13.3兆円
東海市の年齢別人口予想
2005年 → 2015年 増減 増減率
0~14歳 16万人 15万人 -1200人 -7%
15~64歳 7.2万人 6.8万人 -3800人 -5%
65歳以上 1.6万人 2.3万人 +6700人 +41%
75歳以上 0.6万人 1.0万人 +4200人 +70%
これから、老齢人口がどんどん増える。昭和37年前後に製鉄関連の人が流入した影響が出てくる。日本の医療費は75歳以上の医療に連動する。うまくやっていけるのは、東京都心部と芦屋と東海市くらいだろう。
金を使わないデフレ病は、「貯金道」のせいだ。貯金道では死ぬときの貯金額が多いほど良い。「道」だから貯める理由はない。日本の被相続の平均年齢は67歳。日本の高齢富裕層は、アメリカ人のように老後に消費はしない。
このお金をどうやって地域に還元するかが問題だ。大田川駅前に、病院と日本福祉大学は必要だ。東京では土地がない。畑も釣もできない。コミュニティーもない。みんなが緑の中で元気に暮らしている状態を大切にすべきだ。
東海市の出生率を1.7とすると2035年の高齢化率は26%、15~64歳人口は63%。これをキープできれば、あそこは大丈夫と考えてもっと若い人が入ってくるようになる。まだ若い地域ほど、将来、高齢者が激増する傾向にあるが、東海市は石油ショック以降の低迷で、高齢者予備軍が例外的に少ない。
みんなに元気に歩いて暮らしてもらう。日本福祉大学が太田川を実験場として高齢者の健康のまちづくりを進めるとよい。日本の出生率は1.37で、台湾、シンガポールはそれ以下。中国は1.4とも言われる。今後10年で3億人の高齢者を抱えることになるのは深刻な事態だ。加えて年金も医療も充実していない。日本を真似る動きが出てくるだろう。空港に隣接する東海市の福祉ビジネスのチャンスだ。
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