木曽川流域ひとり旅(ランプの宿編)
木曽川の支流、付知川の上流(中津川市加子母(旧加子母村))の林道のゲートを越え、渓谷沿いに奥へ10kmほど車で走ります。
途中、人家は一軒もなく、舗装も切れたその先に渡合温泉はあります。当然、電線も電話線も来ていない。携帯も通じない。ランプの一軒宿です。10時に自家発電が止まった後はランプの光で夜を過ごします。
お風呂は、鉱泉を沸かしたお湯。むかし、木材切り出しの作業所があったころ、まずくて飲めない湧水が見つかったのが鉱泉の由来だそうです。
料理は山で採れた新鮮な山菜、きのこや川魚などを素材にしたもので、素朴ながらとても美味しかったです。
食事の後には、ランプの使い方講習会があります。火打石を使って種火をつける経験もさせてもらいました。
火のついたランプは、各自が部屋に持ち帰って部屋の照明にします。灯心を出し過ぎなければ、灯油は朝まで余裕でもちます。
前日、宿に着いたらNHKの取材班が来ていました。電気の来ていないランプの宿で、原発問題に絡めてお客にインタビューをしたいのだそうです。せっかくのんびりしに来たつもりだったのですが、突然インタビューされて、少しお話しをしたら、夜、ランプの明かりの下で撮影をしたいとのこと。政治的な話にもなりそうなので一応、町長であることを断っておきました。
結局その晩、インタビューはありませんでした。あとで宿のご主人に聞いた話では、彼らはヤラセはいけないので、狙ったインタビューがとれるまで毎週宿に通っているのだそうで、「せっかく良さそうな人が見つかったと思ったら、町長だった。」とガッカリしていたそうです。
一夜明けた朝は雨が上がって良い天気になりました。ここの宿は、近くの沢水を引いた小水力で自家発電をしています。しかし、2ヵ所の発電でそれぞれ白熱電球2個分の150~200ワット程度。それも水まかせなので出力が不安定なことも・・・。
メインの電源は脇の小屋の中にあるディーゼル発電機です。水力発電の電気はもっぱら衛星電話の充電などに使っているそうです。
林道の途中にある高樽の滝です。付知川の源流一帯は裏木曽と呼ばれていて、ヒノキの天然林が残っています。伊勢神宮の式年遷宮やいま復元中の名古屋城本丸御殿に使われる桧材を切り出したのはこの近くの山だそうです。往復2時間ほどで行けるそうですが、誰もいないし、あちこちに「熊注意」の看板が出ていたので心細くなって行かずじまいでした。
里まで下りてくると、付知峡のキャンプ場で家族連れが水遊びをする歓声が聞こえてきました。
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