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2013/01/20

指紋検出に使われる ニンヒドリン反応とは?

指紋の検出といえば、ニンヒドリンという試薬が昔から使われてきました。ガラスや金属に付着した指紋は、アルミニウムの粉をまぶして可視化する方法などもありますが、紙や布に付着している指紋は、ニンヒドリンという化合物の水溶液を噴霧器で吹きかけて、ドライヤーで加熱すると、指紋の部分だけが赤紫色に染まるので容易に検出することができます。

ニンヒドリンは、指紋に含まれるタンパク質やアミノ酸のアミノ基(-NH2)と反応して、Ruhemann's purple と呼ばれる紫色の色素に変わることが知られています。
アミノ酸は、生物のたんぱく質の構成要素で、分子内にアミノ基(-NH2)とカルボキシル基(-COOH)を持つ化合物です。「R」はそれぞれのアミノ酸によって異なります。「R」=「H」の場合は、グリシンと呼ばれるもっとも単純なアミノ酸です。ニンヒドリン2分子とアミノ酸が反応して、色素とアルデヒド、二酸化炭素と水が生じます。

Ninhydrin_reaction_000_900x139

この反応のメカニズムを考えてみましょう。
ニンヒドリンは、芳香族の環状ケトンで、ジオール型とトリケトン型の平衡状態にあると考えられます。

Ninhydrin_reaction_equilibrium_900x

カルボニル基(-CO-)に挟まれて一番電子密度が低くなっているトリケトンの真ん中のカルボニル基の炭素を、アミノ酸のアミノ基(-NH2)が攻撃して、脱水、脱炭酸、加水分解することによって、ニンヒドリンの2つの水酸基(-OH)が水素(H)とアミノ基(-NH2)に置き換わったものが生成すると考えられます。下図の青い矢印は共有結合に関与している電子対が移る様子を表しています。

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ニンヒドリンの2つの水酸基(-OH)が水素(H)とアミノ基(-NH2)に置き換わったものがもう1つのニンヒドリンと反応して、脱水することにより、分子全体に交互に二重結合(共役系)を持つ色素が生成します。

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頭の体操のつもりで、本当に久しぶりに、有機化学反応の反応機構を考えてみました。

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