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2013/09/30

『コミュニティが創造する繋がりの連鎖 ~欲しい未来はみんなでつくろう~ 』を聴きに行ってきました。

割と古風な価値観を持っていそうなJCが、こんなメンバーを呼ぶのかと、「JCやるなあ。」ちょっと意外な気がしました。『コミュニティが創造する繋がりの連鎖 ~欲しい未来はみんなでつくろう~』と題した名古屋青年会議所主催のフォーラムです。
コミュニティとは、協力し活動する人々。これまで地縁型のコミュニティが弱体化し、テーマ型のコミュニティが育ってきて、次なる都市型のコミュニティはどんなものになるのかを考えます。
集まったのは、山崎亮さん、木村真樹さん、兼松佳宏さん、湯浅誠さんの4人。話しを聞いていて、若さと感性の豊かさを感じました。以下は、そんな感覚的な部分も含んだ要約です。

山崎亮さんの基調講演

1919年にマッキーバーが「コミュニティ」という本を出した。1960年にはコミュニティの定義は96種類ほど、1990年には160種類ほどになった。日本では、戦後、働くところと住むところがバラバラになって地縁型コミュニティが壊れた。テーマ型にはFaceBook、Mixi、NPO、サークル、クラブなどが含まれるが、これらは「興味型」とも言え、会社もこの範疇になる。私は空間デザインを手掛けていたが、依頼された仕事をしているうちに、コミュニティがつながって何かが生まれるコトのデザインに興味を持つようになった。
手がけた例としては、兵庫県の有馬富士公園がある。ここは、遊具で人を呼ぶのではなく毎週の活動「コト」で人を呼ぶ公園。センターに行けばたくさんのグループがどんなアクティビティをやっているかがわかり、参加することにより人と人との関係性が生まれる。平成13年に40万人ほどだった利用者が24年には80万人以上になった。市民参加型パークマネジメントのはしりだ。
鹿児島の繁華街のデパートが撤退した後には「マルヤガーデンズ」を企画した。最近では郊外型の大型ショッピングセンターでさえ駅前でないと長続きしなくなってきた。衣料だって今では、アバターに試着させてネットショッピングすればよい。そこで、B1から9階までの全てのフロアにイベントや活動ができるスペースがあり、毎日どこかのグループが何らかの社会活動をしている商業ビルを企画した。お客はその活動に興味があって、ここを訪れたついでに買い物をしていく。
香川県観音寺市のシャッターが閉まった商店街の再生には失敗したが、今、少し良い兆しが生まれつつある。閑古鳥の鳴いている最先端の商店街は、まだ賑わっている商店街の未来の姿として学ぶべきものがある。観音寺を訪れたとき商店主の人たちが、ここはいかに面白くないかを確認しながら案内してくれたが、その時面白いことに気がついた。下着屋とケーキやとか、クリーニング屋と餃子屋とか、店の中に店があるパターンがたくさんある。もともと下着屋をやっていたところが、売り上げが減って、陳列棚を寄せて上げてスペースをつくってそこに娘が新たな業態を始めた。ターゲットは女性だし、甘いものを食べては下着を買い換える、絶妙な組み合わせとなりうる。
2コ1の店舗を創るにはおじさんと若者を結び付ければ良い。しかし、ワークショップをやってもおじさんたちは終わってから飲みに行くばかりで、つるんで飲みに行くのを禁止しても、個別に飲みに行くだけで若者との接点はまるでないことがわかった。そんな中、ひょんなことからおじさんの一人が、facebookに「今宵もはじまりました」という(個別の飲み会がネット上でつながる)サイトをつくった。これが核となって若者が集まり始めた。
みんなのボヤキを聴いていると「景気さえよければ」という人が多い。しかし、景気が悪いと何が悪い? →売り上げが下がる→車が買えない→旅行に行けない→みんなで楽しく過ごせない!というが、それならば、始めっからおいしい食べ物を持ち寄ってみんながつながればお金はかからない。景気やマネーを介さない遠回りしない幸福論が、今こそ必要なのではないだろうか。我々は失われた20年間に、お金を使わずに楽しめるアイディアをたくさん身に着けているはずだ。

続いて、「人・まち・社会を豊かにするには」をテーマにパネルトーク

木村: 愛知県のNPOの数は全国で9番目(2011年)だが、人口で割ると46位(最下位47位は茨城県)だ。仲間で取り組む、社会に拡げる、そして自治体の政策課題になる。志金循環のモデルが必要になる。

兼松: おもしろい社会活動を紹介するウェブマガジンhttp://greenz.jp/を運営している。モットーはASAP(As Santa As Possible)。読者への贈り物になるようなグッドアイディア(サプライズ、思いやり、一石何鳥になるか)を心がけている。欲しい未来をみんなでつくるためのSocial innovationのヒントを共有し、社会を動かす。その人が気付かなくても、誰かが「種」を持っている。
社会的な問題の解決と同時に新しい価値を生み出すソーシャルデザインの例としては、「八戸うわさプロジェクト」「いんつく」などがある。

湯浅: 生活困窮者対策のコンセプトはソーシャルインクルージョンだ。会社にたとえれば「2:6:2の法則」があるが、できないとされる「2」の人たちを活用することだ。走る向きが変わればドべを走る人が最先端になりうる。
日本国は、会社と違って日本国民をリストラできないのだから、何らかの担い手になってもらうことが必要。これは単なる弱者救済ではなく、社会を強くすることにつながる。
これまでは、どこも公共事業と企業誘致に頼りきってきたが、外部頼みではダメだ。今ここにある人、モノ、自然を活かしてやっていくしかない。

山崎: 自分は元々、建築すなわちモノのデザイナーだったが、人のつながりをデザインするようになった。変わるきっかけは阪神大震災だった。絶対に倒れない建物はない。復興には物理的な復興よりも心のつながりが大事だ。

兼松: いっしょに失敗できる仲間が欲しい。そして失敗をフィードバックする。アイデアとアイデアをつなげるイベント「green drinks」や、アイデアをカタチにする学校「green school」などのプロジェクトを展開している。

湯浅: 人への支援はハイリスク・ローリターンと思われているからinnovativeにならない。それを「いや違う」という社会にしたい。
人を支援するということは、自分が全人的に問われることになる。支援の窓口に相談に来た人が2回目に来なくなったとする。このとき、「来ないやつが悪い」と捉える人は進歩しない。自分の対応に問題があったのではと考える人は、本を読む、学ぶ、真似る、やってみる。10年経つと大きな差が出る。これは人間の豊かさの問題だ。

山崎: まちづくりのワークショップでも、人がなぜ来なくなったのかを分析する。アイディアを「与える」いわゆるコンサルティングはうまくいかない。地域の人のアイディアの組み合わせを投げ返してみる。「つまり、こういうことですね。」「我ながらスゴイ。」「そうか。やろか。」となれば成功。本人たちがどう答えを導き出すか、それをコミュニティでやる。
自分の気づきをオーガナイズすることが大事。オバマさんはコミュニティオーガナイザーをやっていたことがある。アメリカ原住民のことわざに「魚を与えるのではなくて、魚の捕り方を教える」というのがある。

湯浅: 有機農業は、耕作面積では1%もないが、価値の転換という社会的インパクトをもたらした。NPOや社会的企業も同じ。シェアはないが、問題提起としては大きい。

兼松: 自分もはじめは「気候変動を止められない」→「へこむ」→「うつ病」みたいな無力感を感じることがあったが、関係ある人を丁寧に応援することが大切だと思う。

山崎: 最後に。JCとは何か?はたして身近か?JC自体が「つながりたい」というメッセージを出しているか?活動が毎年のイベント化していないか?
コミュニティは腰をすえてやるべきだ。ぜひ名古屋から発信してもらいたい。JCのイベントはどこかのコピーが多いが、それなら全国を調べまくって元ネタがわからないくらいにパクれ!

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コメント

じぇじぇじぇ! 会場にいらっしゃったのですねっ!
知ってれば拉致してましたのに(笑)

私的には『今宵もはじまりました』に心奪われました。
是非、東浦町にも山崎亮さんお呼びしましょう!!
宜しくお願い申し上げます。 m(_ _)m 

投稿: 前列3列目中央におりました者 | 2013/10/02 19:02

けっこう、何人かの方が聴きに行かれていたようですね。
「今宵もはじまりました」くだらないけど、おもしろいですね。先日、東海市(+知多市+大府市)の議会の勉強会でも山崎亮さんを呼んだそうです。世の中変わってきましたね??
くだらないけど。おもしろいこと。いっぱい考えてみましょう。3列目さん、得意だったりして??

投稿: 神谷明彦 | 2013/10/03 20:35

くだらないことは得意ではございませんが、(笑)
で、
東浦町はいつ山崎さんをお呼びしましょうか・・?

投稿: 3列目の住民 | 2013/10/03 21:48

対象者はどうしましょう。
たぶん、もう本を読まれたかもしれませんが、
http://www.gakugei-pub.jp/cho_eve/1107yama/
http://kamiishi.hatenablog.com/entry/20120816/1345127917
http://www.gakugei-pub.jp/chosya/038yama-mota/
まず、この辺の、お勧めです。
ところで、「幸せの経済学」はどうなりましたか?(へへっ)

投稿: 神谷明彦 | 2013/10/05 17:32

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