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2014/05/20

住民投票条例案が町議会 総務委員会で否決されました。

5月19日の議会 総務委員会で、東浦町住民投票条例案が否決されました。行政としてどんな疑念にもお応えすべく万全の姿勢で臨んだのですが、質問が一つあっただけで採決となりました。採決では委員長を除く委員5人全員が反対の態度を表明しました。反対の理由は明確になっていないままです。

5月20日の中日新聞朝刊には「(新駅など自治体の計画が撤回された例もあり、)住民投票の恐ろしさがある。自治体の将来を住民投票で決めるのが正しいのか。首長が責任を持って決める体制づくりが必要では。」という趣旨の質問があったと書かれていました。

自治体の意思決定は通常①②のステップを踏みます。
 ①首長または議会(実際には大抵の場合、首長)が計画を発案する
 ②首長または議員が議案をつくり議会にかけ、議員の多数決で議会が意思決定する

首長は原案作りに大きな役割をはたしますが、最終的に「責任を持って決める」のは議会です。大論争が巻き起こった時に、住民の意思を確認せずに自分たちだけで決めてしまおうというのでは、主権者である住民を軽視しています。
地方自治法上、自治体の最終的な意思決定は議会がすることになっています。したがって、住民投票が行われる場合は、①と②の間に行われることになります。
住民投票の結果は有権者の意思なので尊重されるべきものです。しかしながら、住民投票の結果には法的拘束力はありません。あくまでも最終意思決定者は議会なので、議会に確固たる考えがあれば議会が住民の意思と異なる結論を出すこともあり得ます。その場合は、住民に対してどういう根拠に基づいて判断したのか納得のいく説明を求められることになると考えます。
また、住民投票制度があるために計画の撤回などの混乱が起きるのではなく、そもそも住民に理解されない計画を無理に推し進めたことに問題があるわけで、そういった事態を収拾し、歯止めをかけるためにも住民投票条例は必須のアイティムとなります。首長や議会は、住民投票を住民から発議されないように日頃から住民に対して情報を公開し、説明責任を果たすように努力しなければなりません。そういう意味でも住民投票条例の制定は、議会と首長が住民本位の施政を行うために必要な体制づくりと考えます。

「全国で住民投票条例を持つ市町村は圧倒的に少ない」という議員さんのコメントに至っては横並びの発想でしかありません。今後、自治基本条例などの整備が進めば、住民参加の趨勢の中で、住民投票の制度を備えることが当たり前になっていくものと思います。

また、「事前に議会との擦り合わせがない」と言いますが、この条例案は昨年12月に議会の全員協議会(非公式な意見交換会)で内容を説明し、今年の3月定例議会に提案予定であること、それまでに疑問点や意見があればお知らせ願いたいということをすでに申し上げています。その間、何のご意見も頂いていません。「事前の摺り合わせ」とは何を指すのかわかりません。

この議論の本質は実に簡単で、町の意思決定への住民参加の権利の拡充に、前向きか後向きかが問われているのだと思います。その点についての説明責任が求められていると思います。

※この住民投票条例案は6月4日(水)の6月定例議会初日の本会議で、全議員参加のもと最終的な賛否の採決が行われる予定です。

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コメント

 総務委員会で全員一致で否決とは・・・。6月4日の本会議の結果も決まった感じですね。

 全国で初めて議会基本条例を制定した栗山町議会基本条例の前文で「議会は討論の広場である」と記事しています。
 この弁分を何年も前に読んで感動いたしました。それに比較して東浦町議会は、議論もせず否決するとは・・・。悲しい現状ですね。

投稿: 堀 孝次 | 2014/05/28 20:55

堀さま
栗山町議会基本条例、私も最初に読んだとき熱く込み上げてくるものがありました。
特に、
「(前略)・・・議会は、その持てる権能を十分に駆使して、自治体事務の立案、決定、執行、評価における論点、争点を広く町民に明らかにする責務を有している。自由かっ達な討議をとおして、これら論点、争点を発見、公開することは討論の広場である議会の第一の使命である。・・・(中略)・・・町民に信頼され、存在感のある、豊かな議会を築きたいと思う。」
この最後の「・・・と思う」という単なるべき論ではなく、自らの意思の表明が素晴らしいと思います。

一方、論点も明らかにせず、「時期尚早」「根回しが足りない」「期間が足りない」「住民に侵透していない」「人気取りはいけない」では、まともな討議には程遠いと言わざるを得ません。

投稿: 神谷明彦 | 2014/05/31 21:57

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