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2014/06/30

安城の未来をつくる図書館フォーラム

安城の未来をつくる図書館フォーラムに行ってきました。
事前申し込みをしていませんでしたが、開会時に空いてる席があれば自由に座ってくださいとのこと。ホールの約200席はほぼ満員でした。

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基調講演の講師は菅谷明子さん。ボストン在住のジャーナリストで「メディアリテラシー」「未来をつくる図書館」などの著書があります。今回1ヶ月間の帰国のうち、北海道への帰省もほどほどに全国で12回もの講演を予定しているそうです。
基調講演では、冒頭、菅谷さんから会場に向けて「色に例えると図書館は何いろでしょうか?」との質問がありました。聞いてみると茶色や灰色という答えが多いようですが、菅谷さんは黄色だと嬉しいとのこと。また、安城市の図書情報館建設のために、アメリカの図書館を視察した安城市長の報告書http://www.city.anjo.aichi.jp/mayor/message/2012/2.htmlがとても参考になるそうです。
以下は基調講演の要約です。

この基調講演では、アメリカの図書館の全体像を話すのではなくて、図書館でこういうことができるんだというお話しをするつもり。
日本の図書館は、先進8ヶ国(G8)の中で人口当たりの数が最も少なくて、7位のイタリアの半分しかない。貸出し数は東京とニューヨークでさして変わらないが、来館者数が大きく違う。アメリカでは過去10年に利用者が増えている。とくにデジタルサービスは倍増、94%の市民が図書館は地域に不可欠と考えている。
ニューヨーク公共図書館
http://www.nypl.org/は独立した法人の経営で、Publicの意味は、公立ということではなくて、公共(みんなのため)という意味。トーマス・ジェファーソンは「情報は民主主義の通貨である」と言っている。
いわゆる書籍だけでなく、コミュニティの情報や医療の情報も持っているから、引っ越したらまず図書館に行くように、コミュニティのハブのような存在だ。9.11のテロの時には、献血の情報や友人の安否確認など、マスメディアの報道に欠けた部分を補う役目をしていた。

図書館には、調べるための資料・情報が充実している。
・図書館にある健康情報センター(がん患者などが科学的根拠を持った情報に触れられる。)
・自治体の医療情報・医療データベース
・地域のパンフレットなど
・職業情報・求人情報(履歴書の書き方や面接対策なども講習。パソコン格差を埋める。)
・子ども向けサービス(PCでゲームも可。まずは来てもらう。)
・学校の教師への支援(NYティーチャーコレクションなど、教師が互いに講座を開く。)
・舞台芸術図書館には、方言テープなどもある
・シニアスタッフ(シニア向け企画。本を届けるボランティアなど。シニア層に肩書とやりがいを提供。)
・ビジネス支援(無料起業カウンセリング、人的ネットワークなどを提供。)

図書館の役割は、個人の自律・自立をたすけること、民主主義に必要な情報を提供することだ。

ソーシャルメディアの発達で、私たちが情報に対してどう対応するかが問われている。
日本は学校や自宅でPCを活用する能力が低いのでは?
・9歳の子がブログで世界を動かす(イギリスのマーサちゃんが、おいしさ、ヘルシーさ、混入した髪の毛の数などで給食を評価。)
・Code for America(ITCに詳しい人を一年休職させて自治体に送り込む取組がある。市民に消火栓を調べてアップしてもらう。地域の雪掻きの済んだところを表示する。)
・Citizen Connect(用修繕箇所の通報。)
・Boston About Result(市の目標値の達成率を評価。)
・ホワイトハウス陳情サイト(1案件に2500人以上の賛同者がいると必ず回答。※オープンガバメントは2009年にオバマ大統領が始めた。)

どんな情報が社会に価値や信頼を生み出すか? メディアリテラシーが重要。あえて広告を載せない商品紹介雑誌もある。

ジュリアーニ元市長は、図書館への投資は1ドルのコストに対して7ドルの効果がある?と試算している。
学べる環境を整え、賢い市民が育つことが大切だ。
19世紀が帝国の時代、20世紀が国家の時代とすれば、21世紀は都市の時代。新興都市が文化都市になることもできる。

 

神谷学市長からは、平成29年6月オープン予定の新しい図書情報館の準備状況の報告がありました。

敷地は、JR安城駅近くの更生病院の跡地を区画整理で整形化したもの。
平成14年に病院が移転し、18年までかけて跡地利用の意見集約に努めたが収拾がつかなかった。
19年に市に一任され、図書情報館をつくることになった。
しかし、20~21年にリーマンショック、23年に東日本大震災が起きた。また、21~22にかけてアメリカで電子書籍ブームが起こった。紙ベースの書籍が要らなくなるのではといった危機感もあった。
アメリカの市民図書館を視察しようと、ニューヨーク、フィラデルフィア、ピッツバーグを訪ねた。図書館におけるITC環境を探る目的で韓国の国立デジタル図書館にも行った。シアトルへは、教育長や議員が視察に行った。

ITCはソフト次第だ。より付加価値がつけられる。
一方、紙ベースも不滅で、さらに蔵書は増えるだろう。
図書館は、調べる場所から、創造する場所へ。
韓国では、図書館のITC環境を整備し、職員は相談や案内に注力。学校図書館もネットワーク化、多文化多言語サービスに取り組んでいる。

新しい図書情報館の開架閲覧スペースは現在の1250㎡から3100㎡になる。
図書は15万冊?から、36万冊?となる。
重点を置くのは、①健康と子育て支援②ビジネス支援③まちの魅力発見支援(新美南吉などの地域資源のアピール)。
でんでんむしをモチーフにした読み聞かせスペースやタブレット端末の利用に対応したフロアや、出窓やベランダのある読書空間も計画している。

12000㎡の敷地に、図書情報館とガラス張りの多目的ホール、旅券や各種証明書を発行する市民サービススペースを持つ5階建ての建物、スーパーマーケットとカルチャーセンター、公園広場を設ける。
図書情報館はPFI方式ですでに契約。建設と15年間の管理をトータルコスト62.5?億円で行う計画だ。

 

続いて、図書館総合研究所取締役 野田幸子さんのコーディネートでディスカッション。

市長: ニューヨークの図書館で感じたことは、アメリカの図書館は寄付の文化に支えられているということ。運営も地元企業の寄付と公金で賄われている。高校生のボランティア活動は大学に入るのに必須だから、図書館でパソコンを教えたり本の整理をしたりするボランティアがたくさんいる。
韓国では、市民がお金を出し合って町内会(歩いて5分圏内くらい)に自分たちの小さな図書館をつくったりしている。これは科挙制度の名残で、地域で若者の勉強を支えるのが立派な町内という意識があるのではないかと思う。
それに加えて、公立図書館がある。公立図書館は歩いて10分以内に、中央図書館は鉄道駅毎につくろうという意気込みを感じる。日本から見ると過剰投資に見えるが、むしろ日本が貧弱で、日本の貧しい図書環境を自覚すべきかもしれない。
日本では、図書館は戦前はエリートづくりを指向し、戦後は大衆に解放された。行政はとかく堅苦しいと言われがち。市民に近づき、市民の課題解決をする図書館にしたい。

菅谷: アメリカは図書館で読書教育をしている。移民には、読書き講座や読み合わせ講座もしている。日本は、識字率は高いが、文章を読み取る能力を高めることをしていないと思う。
OECDの調査によれば、日本人の思考能力、共感力、柔軟性は必ずしも高くない。
自分には小学校3年生(9歳)の子どもがいるが、小学校のライブラリーの時間に、先生から「本は好きだけど、本の読み方が間違っている」との指摘を受けた。「本は、自分の経験に共感するものではない。大事なことは自分の知らないことであって、知っていることは流し読みして、自分がこれまで考えてもみなかったことを深読みすべきだ。」との指摘だった。もし主人公が違う人だったらどうなるか?と考えてみる、あるいは、人の作文を評価することで、思考力や多角性を身に着けることが大切ではないか。
日本の児童書は、いいことをしたら小判が手に入ったみたいな、(単純化された)善の話し、美しい話が多いが、アメリカでは、いじめや、醜い話が結構あって、読んでいて考えさせられる。

市長: 図書情報館をコミュニティのハブにしたい。文教地区にスーパーマーケットがあってもいいと思う。人が集まる敷居の低い図書館にしたい。

菅谷: 図書館にはローカル情報の交流があってよいと思う。例えば、保育園を語り合う会で、各保育園の評価をする。マイクナイト(市民のトーク企画)で個人に注目して、人々の才能を知り、共有する。図書館にキッチンを備え、食べながらミーティングをする。などが考えられるが、コミュニティ情報を市民に還元する場と企画力が必要となる。

市長: アメリカの図書館は飲んだり食べたりを比較的自由にやっている。安城でも館内に喫茶ルームや健康コーナーに実習用のキッチンをつくるつもりだ。また、市民の才能やパフォーマンスを多目的ホールで分かち合いたい。
ITC環境を充実させるつもりだ。いま行政情報をはじめソフトを蓄積中だ。市民の関心のある情報を市民参加でつくりたい。

菅谷: メディアの特性や利用方法を理解しメディアを使いこなす能力(メディアリテラシー)が重要になる。メディアとは、自分で経験できないことを伝える窓。それに対して、本当に必要な情報とは何か?自分たちがどう反応するか?賢くなければならない。
情報の特性を知るための支援は、市民の問題解決力の向上につながる。例えば、信頼できる医療情報を増やすことによって医療費が減ることなどが考えられる。

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安城市新図書館基本計画はこちらhttp://www.library.city.anjo.aichi.jp/html/129135276574600000/pubcom4.html

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