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2014/06/05

6月定例議会最初の議事は、継続審査になっていた「東浦町住民投票条例案」の採決。

6月定例議会本会議初日、まず、3月定例議会から継続審査になっていた東浦町住民投票条例案の総務委員会審査についての委員長報告が行われました。

この総務委員会審査の結果は全員一致で否決だったのですが、報告の中には、賛否の根拠になるような質疑が見受けられません。中村議員と高橋議員が、否決の根拠は何だったのかと質問しても、総務委員長は明確に答えられませんでした。
続いて、本会議の採決に入る前の討論が行われました。反対討論が2つ、賛成討論が3つありました。討論とは、採決の前に議員自らの賛否の根拠を示すとともに、他の議員の賛同を求める行為です。東浦町議会でこれだけの活発な討論がなされるのは、全会派が討論するのが半ば慣例になっている予算・決算を除いては、異例のことです。

反対討論の内容は、「急ぐ必要はない」「もっと時間をかけて議論をすべき」「投票には経費が掛かる、アンケートのほうが手軽」「ほかの自治体も制定していない」「町長の人気取りだ」など、説得力が感じられるものではありませんでした。
対して、賛成討論はそれぞれの立場からなぜ賛成なのかをわかりやすく訴えるものでした。以下賛成討論の論旨(私が勝手に要約)を紹介します。

高橋議員: 3月議会で継続審査となったが、その過程で問題点が指摘されることもなく、結局、条例に何ら問題のないことが証明される結果となった。議会の活力が懸念される中、これからは、住民も交えて判断しなければならない状況で、住民投票条例が必要となってくる。条例の適切な運用を求めて賛成討論とする。

成瀬議員: この採決では、東浦町議会として町民の権利を広げることを認めるか認めないかが問われている。我々議会は、現行制度下で町民が住民投票を求めても議会がそれを拒否できることを知りながら放置することに何も感じていないのだろうか。
以下、住民投票条例に対する消極論を検証してみる。
①具体的に想定できる問題が現在のわが町にはないのに、なぜ制定を急ぐのか。
・・・現行法ではどれだけ多くの署名が集まったとしても議会がこれを退けてしまえば住民投票は実施できない。だからなおさら、町民はこの権利を手に入れておかねばならない。それができるのは、差し迫った大きな問題も、それにかかる利害関係も発生していない今だからこそだ。
②全国的にも常設型の住民投票条例を制定している自治体はごく少数。
・・・なぜ他の市町の動向に留意するのか。むしろ、政策形成過程に住民意思を確認するツールを常備している自治体は、住民自治を基本とするこれからの時代にふさわしい全国に誇れる自治体となるだろう。
③町の意思決定に一般町民が参加することに問題はないか。
・・・住民投票は住民意思の確認ツールであって、最終意思決定権はあくまで議会にある。議員の権利はなんら侵害されていないし、町長の責任放棄にもならない。そもそも普段から行政も議会も住民の声をよく聞きながら合意形成を図って政策決定すれば、住民投票に至ることはないはずだ。しかし、選挙で自分と100%政策が一致する候補者を選ぶことは難しい。加えて、今の議会が広聴機能を十分果たしていないのだから、住民意思と議会意思の間にねじれが生じることはありうることだ。

田崎議員: まちの将来を左右する重要事項について、直接、住民の意思を確認するにあたって、妨害を防ぐには常設型の住民投票条例を制定すべきだ。また、住民参加を否定することはできない。
1/6の連署の妥当性については、合併特例に倣っており、東浦町で6549人もの署名を集めるためには、住民発議について一定の努力を求めていると考えられる。町長発議の乱用についても、住民投票が成立する要件を投票率1/2においているのは、直近の町長選挙や議員選挙の投票率が50%前後であることを考えれば、妥当性があると考える。
この条例は二元代表制を否定するものでもないし、住民投票の考え方は正論で否定できるものではない。

採決の結果は、残念ながら、5:12で否決されましたが、討論を聴いていて、議員や傍聴者の中に住民投票条例の必要性をきちんと理解されている方たちがいることに力づけられた思いがしています。

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コメント

>総務委員会審査の結果は全員一致で否決
>否決の根拠は何だったのかと質問しても、総務委員長は明確に答えられませんでした
反対するにしても、多くの人に納得できる、説明できる根拠を示してほしいですね。密室会議でムードだけで物事が進むのは遺棄すべきと思います。周りに押しつぶされず多くの議員の前で自分の意思をはっきり言うことは町民から真に選ばれた価値ある勲章ものだと思います。自分の意思を表現すべきときに表現するのに勇気というのは本来当たり前ですが、、、町議になった人はすべてにこうありたいです。胸を張って。

投稿: とだ-k | 2014/07/01 18:23

生活用水道の源を本来の木曽川の水に戻す件もこれらの新しい議員さんらで議論していただきたいです。

投稿: とだ-k | 2014/07/01 18:29

とだ-k様
全く同感です。
私も議員をやっておりましたのでわかりますが、たとえ少数意見でも議会で(会派などではなく自分の判断で)それをはっきり主張することは、存外勇気のいることです。
しかしながら、自分の信ずることを議会の場で主張し、一人一人が根拠をもって判断し、住民に対してきちんと説明責任を果たすことこそが、議員の仕事の本質です。

投稿: 神谷明彦 | 2014/07/02 07:42

下記記事を見つけました。
三重)「議会は無責任すぎる」 辞意の松阪市長が会見
朝日新聞デジタル 2014/12/17
「議会は無責任すぎる」。市立図書館改革案再否決への引責を理由に辞職を表明した松阪市の山中光茂市長は、記者会見で議会批判をくり返した。だが、図書館は年明けにも指定管理者を募集するため、来年4月の市長選で、図書館改革を争点にするのは手遅れだ。山中市長は自らの立候補は未定としながら「議会のあり方を問う選挙にしたい」と述べた。
 「議会に理は全くない。いったん私、市長を辞職します」。15年間の運営費を含め40億円以上と試算される図書館改革。第一歩となる今年度一般会計補正予算案の否決後、山中市長は緊急会見で切り出した。
 「市民と2年間議論してきたが、シンポジウムに全く顔を出さない議員も根拠なく否決に回った」「改革が5年間遅れる責任をだれかがとらねばならない。(市長不信任の議決がなければ)議会解散できないなら、私が辞めることで、市民に否決の重みを感じてもらう」---略---

投稿: とだ-k | 2014/12/17 21:50

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