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2014/08/01

日本の景観を考えるのにおすすめの一冊

Dogsanddaemon2002

昔、アメリカ人の英会話講師から、「日本の姿をここまで破壊したのは、アメリカの爆撃ではない。日本人自身だ。」「嘘だと思ったらアレックス・カーの著書を読んでみるといい。」と薦められたのがこれ”Dogs and Demons”です。

日本語訳のタイトルは『犬と鬼』。日本の古き良き美しさをこよなく愛するアメリカ人が怒りを込めて日本の悲しい佇まいの現実を訴えます。

以下は冒頭の一節より。
(前略)・・・そこに見えてくるものは、ひょっとすれば世界で最も醜いかもしれない国土である。京の名勝や富士山の美しい景色を夢見ている読者には、かなりショッキングなセリフかもしれない。しかし、百聞は一見に如かず、素直になれば見えてくる。たとえば山では、自然林が伐採され建材用の杉植林、川にはダム、丘は切り崩され海岸を埋め立てる土砂に化け、海岸はコンクリートで塗りつぶされる。山村には無用とも思える林道が網の目のように走り、ひなびた孤島は産業廃棄物の墓場と化す。
もちろん、多くの近代国家でも多少似たようなことが言えるかもしれないが、日本で起きている事態は、どう見ても他の国とは比較にならない。ここには信じがたい異質なものが出現している。国は栄えても山河は瀕死の状態だ。・・・(後略)

国旗とか国歌とかそんな形から入るのではなく、日本の自然を愛する、日本の風土・景観を愛する、日本の文化を愛する、そんな愛国心がもっとあってよいと思うのです。

「犬と鬼」とは難解なタイトルですが、「空想上の怪物(鬼)を描くのは簡単だが、誰にとっても身近なもの(犬)を描くのは本当に難しい。」という美術に目利きのある人らしい含意があることを、私は後になって知りました。

文庫本でもう少し読みやすい本として『美しき日本の残像』も出版されています。

Utsukushikinihonnozanzou2

アレックス・カーによれば、古き美しきものを壊しただけならまだしも、新たに醜いものが付け加わっていくのが堪えられないそうです。
そんな日本の現状を痛烈に批判している彼のWEBページ、一読の価値があります。日本人としては愉快でなくなるほど皮肉がきついけど、ずばり的を射ていると思います。
→ http://shinsho.shueisha.co.jp/column/nippon_keikanron/

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コメント

(前略)・・・そこに見えてくるものは、ひょっとすれば世界で最も醜いかもしれない国土である。--略--たとえば山では、自然林が伐採され建材用の杉植林、川にはダム、丘は切り崩され海岸を埋め立てる土砂に化け、海岸はコンクリートで塗りつぶされる。山村には無用とも思える林道が網の目のように走り、ひなびた孤島は産業廃棄物の墓場と化す。略--「犬と鬼」を読むと、日本の活力は地方から」と過去何十年補助金政策を続けてきているが国土交通省等の官僚の仕組みを変えないと日本は変えられないというような悲壮な意見を述べているように思います。突き進むだけで方向転換ができない。東日本大震災の億単位の予算を全く関係のない事業に流用する厚かましさ。天下りを繰り返して3年ごとに何千万という退職金を受けとる愚劣官僚の存在。こんな官僚が巣くっている日本を変えるのはトテモトテモ、、と思ってしまいます。川にダム、堤防等をコンクリートでどんどん固めて近くに工場、住宅地、その直後に大洪水の繰り返し」を富山和子さんの著書「水の文化史」が川の場所を変えて、多くの事例でしっかり指摘しています。
京都の街も最近の1990代に入って町家をどんどん壊すようになった。街が醜くなった。と指摘しています。国土交通省の指図で事業を進めた地方は再生のつもりがどんどん過疎化が進んでしまった事例を多く挙げています。自然の景観を壊し、古い生活文化は壊すべきものという日本に巣くう迷信を戒めていると思います。

投稿: とだ-k | 2014/10/23 21:16

里山などについても同様だと思います。「古いものを壊してコンクリートで固めること」=「発展」と捉えている向きがまだまだ多いようです。
http://kamiya-a.cocolog-nifty.com/turezure/2005/07/post_0152.html

投稿: 神谷明彦 | 2014/10/28 00:03

http://kamiya-a.cocolog-nifty.com/turezure/2005/07/post_0152.html
拝見しました。クリックするだけで飛んでいけるのですごく便利ですね。(アラン・ケイが考えた本の機能の一部です。)この記事が他の町の方々にのぞかれて評価されていることはすばらしい気持ちです。
テーマが少し、、、少しずれますが
2014/10/29先ほどNHK TV総合1930-2000で保育園の園児の声がうるさい」という住民がいて運動場で遊ばせるのに時間帯に神経を使っている。建物にはカーテン、目張り等をしているとか。園児の声がうるさい」という都市住民の意識の変化についてはすでに「犬と鬼」でも指摘されています。日本人の心根の様変わり!!!!!を嘆いています。また、この放送では20-30年前までは空き地でこどもたちは群れを作って遊んでいたが、空き地がなくなって外で遊ぶ声が聞こえなくなったとも。街の景観の中にこどもたちの声が聞こえる空間(空き地)がある喜びのもてる町でありたい気がしました。こどもの声のほか高齢者も一般住民も一緒に遊ぶことができる空間はどうでしょうか。また、こどもの教育は2-3歳上の先輩が指導するのがベターだということをずっと昔に加藤秀俊さんが言っていましたが。先輩自身の勉強にもなる。カタハ小の事例はそれに近いことだと思いますが。

投稿: とだ-k | 2014/10/29 20:30

東浦でも、「公園がうるさい」との苦情をいただいたりします。子どもの居場所が迷惑施設となりつつある兆候を感じます。

日本のプレーパークの草分け的存在である天野さんが、以前こう仰っていました。
「子どもの歓声が聞こえてくると嬉しくなるのが正常な世の中ではないだろうか。少子化の最大の理由は、大人が子どもを嫌いになったことにあるのではないだろうか。」
みなマスコミよろしくシタリ顔で子育て環境や経済的な理由を挙げたがりますが、少子化の真の理由は、大人の心のありようにあると私も思います。

「遊び」で大事なことは、異年齢で遊ぶことのほかに、「面白い=リスクをとること」があると思います。
天野さんも、「遊びの三大形容詞はAKUである。(A:あぶない、K:きたない、U:うるさい)」と仰っています。

天野さんのお話しについては、
http://kamiya-a.cocolog-nifty.com/turezure/2008/11/post-731d.html
をご覧ください。

投稿: 神谷明彦 | 2014/11/02 18:35

きょう2014/11/11 13:05NHK TV総合スタジオパークでニコライ・バークマン(デンマーク生まれ)がゲストで出演していました。箱に入った花のギフトのアイデアで成功している彼を以前にも対談紹介していました。テレビに彼と一緒に出演している人が「日本人が見つけていない日本を気づかせてくれる」といっていました。幕末以来多くの外国人が"日本らしさ""日本のすばらしさ"を紹介しています。しかし、日本に住みついてズーと"日本らしさ"を発掘し続ける人は少ないと思います。貴重な人たちだと思います。アレックスカーもそうです。日本国籍をとり長野の山で活動発信しているC.W.ニコルも同じ人です。ニコライ・バークマンは1.日本の花は四季それぞれ数多くあること 2.地域的にも平地や山、川と変化があることによる多くの花があることが彼には魅力のようです。19歳でお父さんの仕事の関係で来日して日本が気に入って、大学卒業で就職をどこにしようと迷っていたときに花の多い日本へ行ってみようと決心して単身来日したようです。日本語は全くわからないまま。埼玉県川越の花屋さんで仕事を覚えて2001年に独立したとのこと。日本の花を素材として 建物の中とか広場とかにも花を使ったアイデア造形も作り続けているようです。

投稿: とだ-k | 2014/11/11 20:08

元々アウトサイダーであっただけに、我々自身が見落としている日本の良さをズバリ指摘できるのでしょうね。我々自身も何を本当に大切にすべきか、再考してみる必要があると思います。

投稿: 神谷明彦 | 2014/11/15 16:56

>アメリカ人の英会話講師から、「日本の姿をここまで破壊したのは、アメリカの爆撃ではない。日本人自身だ。」という元記事からここにコメントします。同じことばがあります。
富山和子著「水と緑と土」中公新書-昭和49初版-に高度経済成長時代にわれわれが行ってきた自然破壊行為が紹介されています。(四日市公害といった工場群だけの問題でなく)日本全国各地で昭和40年前後にすでに河川の汚濁は始まっていました。
-------------------------------------
--略---この破壊のメカニズムによって、太平洋ベルト地帯の最後の緑地、こと奈良の森林は、今その生命を終わらせようとしている。大阪の都市の怒濤からかろうじて山紫水明を守り、事実汚れた空気をさえぎっていた奈良県境の生駒山山系にブルドーザーがうなりを上げるようになったのは昭和40年代に入ってからであった。--略---あの太平洋戦争にあってさえ、アメリカに爆撃を思い止まらせた世界の文化財奈良を日本の都市は自ら手を下して破滅させようとしているのである。昭和45年に調査のために現地を訪れたとき、生駒川流域の生駒、平群、三郷の三町村の人口はまだ5万に膨張したに過ぎず、山林の切り崩しはこれから本格化しようとしているところであった。にもかかわらず生駒川という汚れるべくもない水源地帯の川も、すでに汚濁は始まり川はごみ捨て場と化していた。p113-114
----厄松池の掃除や自然環境学習の森で保全作業を率先してかつ継続して作業されている方たちに文章だけを紹介するのは気が引けますが、、、、、、----------------

投稿: とだ-k | 2015/01/03 20:25

いまだに、もっと「開発」した方が「発展」「活性化」する、といった言い回しが、安易に使われ歓迎される傾向にあります。「発展」とは何か、「活性化」とは何か、言葉の意味や中身、及ぼす影響などを明確にしたうえで議論すべきと思います。
私たちには、自然の美しさや自然の循環を、次世代までしっかり受け渡していく義務があると思います。それがあってこその発展だと思います。

投稿: 神谷明彦 | 2015/01/03 21:11

日経ビジネスweb記事です
この景色は「嫌だ」と思うことが大切です
ヘンな景観にも素晴らしい景観にも気付かなかった日本人
2015年12月25日(金)アレックス・カー、清野 由美
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/111100012/112400004/?ST=print
清野:確かに今の日本は、どこに行っても便利で、ベルトコンベヤーに乗せられているみたい。「ああ、旅をした」という実感が薄れています。
カー:非常にベーシックなことを言いますと、何もなくていいんです。祖谷は、あの険しい山の美しさがいちばんの引力。人も温泉もいいけれど、ある意味、山に尽きる。そういう「唯一の景観」があれば、やり方次第で地域の観光産業を飛躍させることができます。
清野:"アレックス・スキーム"の、公共事業としてのメリットは、どこにあるのでしょうか。
カー:今時の工務店は、古民家改修の機会がなくなっていますので、伝統的な技術が分からなくなっています。ですから、地元の工務店さんは古民家の改修をすることで、その経験が積めますよね。それと、古民家の雰囲気にあった家具も必要になりますから、地元の職人さんには家具製作の機会が出てきますね。
 宿泊施設では、地元のおばあちゃんが食事の提供や部屋のお掃除に活躍してくれています。宿泊施設の運営には、よそから移住してきた若い人たちが携わってくれているんですよ。小さい輪なんですが、そんな「産業」が地元で興って、新しい仕事の機会を作り出している。地域の生活文化を継承しながら、そこに住む人たちが地元のよさを再発見して、暮らしが活性化していく。これからの「地方創生」に必要なことだと考えています。
子供のころに夢に見ていたお城があった!
清野:祖谷は、そもそもアレックスさんの原点といえる場所ですね。
カー:僕は米軍の弁護士をしていた父の赴任で、12歳の時に日本に来て、横浜に2年間住みました。1960年代の日本は、まだ古いもの、古い習慣がいたるところに残っていて、それが僕の目には神秘的なまでに美しく映った。アメリカに帰っても、大好きな日本が忘れられなくて、毎日、日本製のインスタントラーメンを食べていたくらい(笑)。
 大学も日本のことを学べるところに行きたいと思い、イェール大に日本学部があると知ってから、猛勉強しました。大学時代は休みになると日本に来て、北海道から九州までヒッチハイクでいろいろなところを回りましたよ。
清野:日本では、1970年の大阪万博を機に、全国で都市化が起こっていた時期ですね。
カー:僕は都会には興味をひかれなかったんです。それである時、祖谷にたどり着いたんですよ。祖谷は、それまで見ていた日本の風景とまったく違っていました。
清野:へえ。どんなところがですか。
カー:日本人が住む場所は、もちろん平野部が多いわけです。田圃も多くは平野部に広がっています。でも、祖谷はそういった平地がまったくない場所。しかも、あまりに谷が深いので、麓の集落というものもないんです。ほら、麓には日が射さないから。
清野:なるほど。
カー:その代わりに、土地の人は日が当たる山の中腹に家を建てて、散らばって住みます。その、斜面にある茅葺農家の眺めというのが、独特の風情なんです。
 当時からずいぶん過疎が進んでいましたが、道のない斜面を上ったり、下りたりしながら、100軒くらいの空き家を探検したでしょうか。ある日、ついに理想の家を見つけたんですね。もう人は住んでいなかったのですが、聞いてみたら、かつてのタバコ農家で、築300年くらい。300年前の様式ですから、床は畳ではなく板張りです。その板張りに囲炉裏が切ってあります。梁も柱も床も黒く煤けていて、ものすごくカッコよくてね。子供のころに夢に見ていたお城がここにあった! と興奮しました。
------略-----

投稿: とだ-k | 2015/12/26 00:02

全く同感です。
よく、観光客を呼ぶために道路を広げようとか、辺りを切り開いて駐車場にしようとか、買い物ができるように便利にしようとか、言います。けれども、それによってその地域の価値を著しく下げている例を目にします。
秘境などは、アプローチも含めて秘境でなくてはなりません。自分も、その地域の良さが失われたために2度と行かなくなったところもあります。一時のブームを当てにしていると、廃れることになると思います。特にこれから、インバウンドの来訪を期待するなら、なおさらだと思います。

投稿: 神谷明彦 | 2016/01/02 14:35

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