色や画像はどうやって記録できるのでしょうか? 自然科学講演会「光と色 画像・映像を科学する」のお知らせ
息子から、「写真はどうして画像が記録できるの?解像度や感度はどうして決まるの?」と質問されました。いい質問だねえ。と、答えようとしたけど、これには結構時間がかかりそうです。
簡単に言えば、紙やフィルムに塗ったゼラチン質に分散しているハロゲン化銀の結晶が光のセンサー役目を果たし、そこに光(光子)が入ると結晶の中のハロゲン化銀の極々一部がより高いエネルギー状態に変わる。これを還元剤(電子を与える薬剤)に浸けて現像すると、光を得て生成した銀原子を核にハロゲン化銀の還元反応が進んで結晶全体が黒色の金属銀に変化する。白黒写真の場合はこの金属銀の粒子が黒の画素を形成する。
カラー写真の場合は、ハロゲン化銀を還元するときに還元剤は(電子を奪われて)酸化されることになるのだが、この還元剤の酸化生成物がカプラーと呼ばれる染料の前駆体と結合して染料を生成してこれが、色素の画素になる。以上が画像が形成される基本的な原理なのだが、写真で面白いのは、光センサー=記録媒体=ディスプレイになっていることだ。
解像度は、単純には、ハロゲン化銀の結晶の大きさや現像時の化学物質の拡散(にじみ)が関わってくる。結晶が大きければ一つの結晶に光が当たりやすくなるので感度は上がるが、当然、画素が大きくなるので解像度は下がる傾向になる。同じ大きさの結晶でも、平板状の結晶を隙間なく感光面に向けて並べることができれば、解像度を損なうことなく感度を上げることができる。これがISO1600のフィルムに使われたシグマグレインの技術だ。ほかにも、増感剤という光を受け取ってそのエネルギーをハロゲン化銀に伝える物質を結晶の表面にアンテナのように並べることによって感度を上げる技術もある。
もう少し詳しく、イラストを使ってわかりやすく説明したいところですが・・・
・・・イメージングテクノロジーの楽しさ奥深さをもっと知りたい方は、ぜひ10月18日(土)午後に東浦町文化センターで開催予定の自然科学講演会「光と色 画像・映像を科学する」にご参加ください。
銀塩写真から、エレクトロニクスデバイスを使った最新のデジタル画像技術まで、映像の科学について、富士フイルムの研究者が、中高生~一般向けにわかりやすくお話しします。講師を務めてくださるのは安田知一さん、彼は私が富士フイルムに勤めていたころの同僚であり友人でもあります。
カラー写真フイルムの技術は、デジカメ(CCD)の発達でどんどん疎遠になりつつありますが、たぶんこれまでも、これからも、ファインケミカルの極致であり続けると私は思います。
参考までに、カラー写真の原理についてのサイトは、
http://www.kiriya-chem.co.jp/q&a/q23.html
http://optica.cocolog-nifty.com/blog/2012/05/post-087a.html
http://members.jcom.home.ne.jp/camera/color/kouzou.htm
http://www.kansmemo.com/photo/camera/principles/entry-193.html
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自然科学講演会「色と光 画像・映像を科学する」
「光」って何? それをどう取り出して
どんな「科学」や「化学」のチカラで記録するの?
写真を中心にそんな疑問をひも解き、液晶テレビやコスメなど身近な光の科学についても極力やさしいコトバで紹介します。
いつでも目の前にある光と色のサイエンスにぜひ興味を持ってください。
と き 10月18日(土) 13:30~
ところ 文化センター
対 象 中学生以上の方
定 員 200名 ※事前申込制
講 師 富士フイルム㈱ 安田 知一(やすだ ともかず)氏
参加費 無料
主 催 東浦町教育委員会
申し込み 9月16日(火)8:30から問い合わせ先へ(電話申込可)
問い合せ 文化センター ☎83-9567
講師紹介 安田知一氏
東京大学大学院工学系研究科(合成化学専攻)終了。
富士フイルム㈱で写真用高分子機能性素材の開発などに携わり、現在、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)に出向中。
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