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2015/08/12

小布施町訪問記

 私は、小布施というまちがおもしろいと思う。

 古くは、葛飾北斎など文化人が滞在し、今も外部から人を引き寄せる。長野オリンピックをきっかけに小布施に移り住み、老舗の酒蔵(小布施堂・桝一市村酒造場)の社員となって、まちづくり部門の運営に携わり、酒蔵をリニューアルしたのみにとどまらず、寄り付き料理のレストラン、バー、土蔵をメゾネット式に改造した宿泊施設、文化施設を立ち上げ、8000人ものランナーがエントリーする小布施マラソン、有名な学者や文化人など各分野のキーマンを招いて学生はタダで参加できる交流会”小布施ッション”など様々な文化事業を自転車操業的に展開したアメリカ人女性セーラ・カミングスさんの活躍は語り草だ。そうした小布施堂の活動に魅かれて小布施に集まった若者も少なくないだろう。町役場も東京理科大学など複数の大学と提携してサテライト的な研究室を置くなど、外部との交流に積極的だ。2011年にライブラリ・オブ・ザ・イヤーを受賞した町立図書館”まちとしょテラソ”の建築も活動も小布施に心を寄せる外部の人材が深く関わっている。

 今回、幸運にも、小布施で出版業を営む木下豊さんの計らいで、まちとしょテラソ初代館長の花井裕一郎さんと小布施町長の市村良三さんにお会いしてお話しを聴くことができた。以下、私の所感も含めて。

 

 ●花井裕一郎さん
 花井さんは元々福岡県出身で、図書館の館長を辞められてからは、地元のまちでもコンサルティングの仕事をされていて、ちょうど今から九州に向かう所だった。西尾市でも、今、PFIを使った公共施設の更新計画に携わっている。花井さんは図書館をにぎやかにすることによって、障がいのある人も気軽に来られるようになることに気付いたのだそうだ。
 花井さんの手掛けた仕事で心残りなのは、まちじゅう図書館構想。町内の個人やお店が持っている書籍をそれぞれの個性や特性を活かしながら、家屋の玄関先や店舗などを使って、市民に開放し、町全体を一つの図書館のようにしてしまう野心的な発想だったのだが、図書館と標榜するには、個々が勝手に開放するだけでなく、蔵書管理やレファレンスのための連携が不可欠だ。そこのところを行政(教育委員会)が十分に理解しないために、その後の進展が芳しくないとのことだった。

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 書籍の自動クリーナーがあるとは初耳。

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 ●市村良三さん
P1100500_800x603 市村町長は、今ではまちづくりも手掛ける老舗の栗菓子屋 小布施堂と桝一市村酒造場の社長 市村次夫氏の従兄弟で、自らもかつてソニーを辞めて家業の経営に携わっていたたことがあるオーナー一族の一人。
 小布施の修景まちづくりは、50年前の先代の仕事にさかのぼる。当時は何の変哲もない荒れた酒蔵だった桝一が、時間を掛けてその界隈を、曳家や改装で整備し、しだいに今の形を整えていった。動かしていないのは留蔵と言われる建物と敷地の辺にあるメタセコイアの巨木くらい。どのくらいの資金をつぎ込んだかはわからないが、建築家を入れて6人の所有者が協議しながら、会社の事業計画・収支計画を踏まえた上で、魅力ある景観をつくり上げてきた。それは決して単なる修復ではなく、収益や動線やライフスタイルを考えたうえでの「修景」だ。結局、小布施のまちづくりはそれぞれ所有者・事業者たちが算盤をはじきながら始めた修景が核となり、その成功体験が町全体に肌感覚となって伝わっていったものではないだろうか。
 いま、この小布施堂のエリアの近くには”竹風堂”や”かんてんぱぱ”の店もそれなりの修景を施して立地している。少し離れたところにある民家も、この地方特有の黄色い土壁を意識している。洋風の店舗もあるがどれも木質で落ち着いたデザインとなっている。リンゴ畑や栗畑の中の道路には無粋な看板は見当たらない。これは条例で縛っているというよりも、まちじゅうの感覚として共通認識があると考えた方が良さそうだ。
 町長は市街地を走る国道403号線の拡幅は必要ないと考えている。すでに郊外を迂回するバイパスがあるし、むしろ道路幅は今のままで、歩道を優先して確保し、歩道と車道を路面の色・質の違いでやんわり分離してほしいと県に申し入れているそうだ。

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小布施レポート「obese_shisatsu_report_2015.pdf」をダウンロード

 

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