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2015/10/30

「エネルギー産業の現状・課題・今後の展望」と題した講演を聴く機会があった

6月10日に、「エネルギー産業の現状・課題・今後の展望」と題した講演を聴く機会があった。県内の自治体は、時事通信社関係の勉強会に入っていて、半田(知多支部)や名古屋で定期的に講演会が開かれている。

6月の講師は、伊藤リサーチ・アンド・アドバイザリー代表取締役兼アナリストの伊藤敏憲氏。バブルの少し前に大和証券に理工系として初めて入社。その後外資系証券で素材・エネルギー産業に特化した調査分析で人気アナリストとなる。現在、国の審議会・研究会の委員を歴任し、エネルギー戦略に対する提言を行っている。エネルギー産業全般にわたり資源を専門に調査するのは世界で一人だろう。評論家にはならず、提言家として発言には責任を持ちたいと仰っていた。以下は講演の内容。

 

アベノミクス第1の矢・第2の矢は一般的な策を徹底したもの。肝心の第3の矢である成長戦略はうまくいっているとは言えない。理由の一つはエネルギーだ。安定性、経済性、環境性能に問題がある。

日経平均株価を上げるのは簡単で、ただ円安にすればよい。株式上場している企業の多くは輸出企業だからだ。ただし、日本全体の企業とは異なる。

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貿易赤字=エネルギー赤字で、原発停止の影響もある。円安は日本経済を必ずしも浮上させない。

日本のエネルギー事情は、質、供給信頼性、省エネ、環境性、安全性はトップクラス。しかし、自給率は低く、価格は割高だ。
オイルショック以降は、GDPの伸びよりも、エネルギー消費の伸びが小さくなった。これは、省エネが進んだことと、石油から原子力・LNG・石炭に分散するなどエネルギー自給構造の変化がある。
しかし、電力消費の伸びとGDPの伸びは(平成11年以降、一時的に省電力が見られるものの)強い相関関係(r2=0.94)にある。すなわち、電力供給に問題があると経済成長に問題を生ずる。

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石油産業は2002年に自由化され、電力システム改革では、2016年に小売の完全自由化、2020年に送電分離が行われる。
総括原価方式は、コストダウンが社会に反映される仕組みだと考えている。震災以後、各電力会社は無理をしている。
日本の電力料金は2000年代中ごろにはヨーロッパ並みだった。日本の産業用LNGはアジアJCCとリンクしている。家庭用のガスはまだ高い。

中国も含めて世界のエネルギー需要は右肩上がりだが、日・米・欧は横這いもしくは漸減。
発展途上国では活用されていない環境関連設備は、稼働することによってエネルギー消費を3%ほど押し上げている。

原油は1999年に1バレル=10ドルが、2000年末には30ドル、2007年には90ドルになった。それぞれ約3倍の変動が起こっている。
では、昨年8月からなぜ原油が下がったのか?
①シェールオイル②中国の成長鈍化③ドルv.s.ユーロ為替と相関など、諸説あるが、これは金融引き締めによるドル高が原因だ。

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シェール革命は、北米のみ、とくにLNGに限った問題と考えてよい。LNGは運搬が容易でないので、北米の単価は下がっているが、製品としてのLNGを買っている日本の単価は下がらない。
シェール革命は終わろうとしている、今の単価では採算が合わないので(50~60ドルになる?)。米国はLNGの輸出大国だ。

都市ガスは震災で全面復旧するのに54日かかった。石油とLPガスは強かった。
浜岡原発は、地震・津波に最も強い原発だ。
脱原子力は可能か?・・・可能だが、政治決断から5~10年はかかる。コストや環境負荷はアップするだろう。稼働させる場合でも、2012年9月に新規制基準ができて、チェック・再開に2~3年はかかる。

電力需要と景気動向は正確に一致。2011年に特異的に電力需要が下がった。しかし、13年から元に戻った。これは省エネの限界ではないかと思う。

構造的な需要対策が必要だ。原子力が何%、再生可能エネルギーが何%と、明確なルールを決める必要があるが、安倍政権は、今はこれに触れられない。(安保法制と憲法改正が大事だから。)

国は電力会社が責任をとる立場だが、私は原子力バックエンド事業は国の直轄にすべきだと思う。

システム改革をしても、電気料金は下がらない。(コストダウンの要素がない)
ヨーロッパは電気料金が上がったし停電が増えた。
発送電分離はメリットが不明。

水素社会は実現しない。水素は扱いが難しい。空気中濃度4~75%で爆発。収蔵容器の問題もある。トヨタは水素自動車に本気でないと思う。
燃料電池の発電効率も悪いので、トータルで必ずしも環境にプラスとなっていないのでは。

日本では使える再生エネルギーは、太陽電池しかない。
安定した偏西風の吹かない日本は風力発電には向かないし、小水力の適当な地点も少ない。

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