新年会が続いています。今日は商工会の賀詞交歓会がありました。
昨晩は、全トヨタ労働組合連合会新年交礼会と東浦町文化協会新年会がありました。明日は、成人式と消防出初式の後に、東浦県営住宅自治会の新年会に出席する予定です。
今日は、東浦町商工会新年賀詞交歓会に出席しました。賀詞交歓会は、アットホームな雰囲気の中、あちこちで話しが盛り上がっていました。毎年恒例の町長の年頭所感では、以下のようなことをお話しさせていただきました。
明けましておめでとうございます。
年頭の所感ということで、少しお時間をいただいてお話をさせていただきます。
●プレミアム商品券
昨年の行政と商工会の話題というと、一つは、プレミアム付商品券があったと思います。これに関しては、商工会長さんからお話があったように換金も終えたということであります。行政としても、やりっぱなしではなく、どこでどんな使われ方をしてどんな効果があったか、できるだけ検証しておきたいと思います。
●ふるさと寄附
それから、ふるさと寄附にお礼の品を付けるようにしたふるさと寄附事業があります。これは、財政課を中心とした役場の若手職員がプロジェクトチームを組んで、ふるさと寄附の制度を使って、東浦町や東浦の産品を町外にPRできないかと考えたものです。これまで東浦町は、町外にあまりPRをしてきませんでした。そこで、寄付をいただいたら、東浦の自慢の品を全国に発送してアピールしようと、お礼の品を出してくださる町内の農家や業者さんを訪ねてお願いしたのですが、最初はなかなか乗ってくれなかったそうです。どれだけ寄付が来るかどうかも分からないのに、商品を切れ目なく用意して発送するのは手間ですから。
当初の予算では、東浦はこれまで外部から寄付をいただいたことがほとんどなかったので、年間、300万~500万円くらいかなと思って、昨年の4月1日から寄付を受け付けるネットサイトをつくって事業を始めました。そうしたら、最初の1週間で300万円の寄付が集まりました。これには驚きました。これじゃー年間50週で1億5千万円かと冗談を言っていたのですが、この年末で、2億円を超えました。
これは、職員が足で探してお願いして、ミニトマトやお米やお肉や東浦で自慢できるものを選んで、委託で見栄えのするサイトをつくって、始めたのに加えて、夏にブドウを入れたり、最近イチゴを入れたり、順次、新たな品を投入してきていることが、功を奏しているのかなと思います。特に夏にカリモクさんの家具を入れてから、寄付の金額が一口100万円とか、額が大きくなって来ているのが効いていると思います。来年度以降も、選りすぐりの品をお礼の品として、東浦をPRしていきたいと思います。
ふるさと寄附にお礼を付けるやり方は、地方の観光地などで良くやられていますが、愛知県や知多半島ではあまり多くの自治体が行っていません。知多半島では美浜町が以前から小規模にやっていた程度です。ただ、東浦で予想外にうまくいっているという報道がされたこともあって、近隣自治体でもすでに始めたり準備をしたりしているところが出てきています。
これまで、良いことばかりを言いましたが、ふるさと寄附とは、本来、お礼の品を競い合うようなものではなく、純粋に、ふるさとのある都市住民や観光などでその土地を訪れて愛着を持った自治体に対して志を届けるものであります。そういう意味から言って、寄付をたくさんもらって儲かったなどという軽率な話をすべきではないと思っていますが、昨年のトピックスでしたのであえてご紹介をしました。したがって、寄付の皮算用をするのは財政規律上もよろしくないと思っています。それから、2億円を超える寄付をいただいても、お礼の品に3割程度、サイトを運営し寄付と発送の手続きを代行する業者さんに2割ほどの手数料を払っていますので、本当に寄付として役立てられるお金は1億円程度になってしまいます。ですから、東浦町ではあくまでも東浦の産品をPRする手段として考えていきたいと思います。ちなみに町内からの寄付に対してはお礼の品をお出ししていません。じゃ~、他所のまちに寄付してやろうとなると、いただく以上に寄付が流出してしまうことにもなりかねませんから、私たちとしても、皆さんの納得のいくようなお金の使い方をせねばならないと思います。
●商工業の発展
商工業の発展については、これから頑張っていきたいと思います。これまで通りのやり方を漫然と続けていても進歩はありません。新規の起業、事業継承、個々の事業所の技術力アップ、売れる仕組みづくりなどに町としても、力を入れていきたいし、とりわけ、主役、当事者である皆様方の努力に期待したいところです。
●先端技術
先日、ジャパンディスプレイ(旧STLCD)に行ってきましたが、ここの工場は、国内でも唯一の技術を持っているというお話を聞きました。銀の薄膜をエッチングする技術です。秘伝のタレのような特殊なエッチング液で液晶の透明ガラス電極を造っています。
透過性が高くバックライトを必要としないので、消費電力の少ない腕時計型の端末やサイクリング車用のナビにも使われるそうです。液晶ディスプレイの用途は、バス停や電車の中のタッチパネル機能のある情報端末、互いに接近してシェイクすると会社概要も含めて情報交換のできる液晶名刺、店舗用の液晶タグなどにも広がりつつあるのだそうです。
液晶タグは、海外の衣料品店の値札などに既に使われている。スーパーの売り場に並ぶ食品の産地表示や時間限定セールの値段表示を店員の手仕事に頼らずに店舗の事務室からコントロールすることもできます。商品知識を持った熟練店員とのコミュニケーションは買い物の楽しみの一つとも言えますが、近い将来に、小さな液晶の値札が店舗の風景を変えるかもしれません。
商工会の工業部会の皆さんも、せっかく町内に先端企業があるのですから、そういったところとコラボできるようになっていただきたいと思います。役場としても、技術セミナーの開催や情報提供、企業との交流の場づくりなどに取り組んでいきたいと思います。時間がかかるかもしれませんが、先進地を手本に、コツコツ着実にやっていきます。
●起業セミナー
起業セミナーなど事業計画づくりを支援するセミナーも、大府市・大府商工会議所さんや定住自立圏を構成する刈谷市さんなどとともに開いています。昨年、大府市で開いた起業セミナーに10人中2人の東浦の若い女性が参加し、2人とも事業化にこぎつけていると聞いています。お一人は、森岡のベトナムカフェを、もうお一人は、新聞にも載りましたが、ラスク・ダーシェンカというラスクを販売する事業を始められました。これが面白い!
障害者の自立は大変です。障害者の働く作業所で、消費者に納得してもらえる付加価値のある商品をつくるのが課題となっています。そこで、「せんつばき」代表の椿井さんが考えたのは、ブランド力のある人気のパン屋さん(「緑と風のダーシェンカ」幸田町)と地元の障害者福祉サービス事業所(「ひかりのさとファーム」東浦町)を結び付けて、パン屋さんでつくった国産小麦のオーガニックパンを、ひかりのさとファームでラスクに加工・パッケージングして、椿井さんがネットで販売することでした。3者をつないで、障害者の収入アップや雇用拡大を実現しようとする新しいビジネスモデルです。すでに、Yahooで売れ筋週間ランキング1位になったそうです。知恵をしぼって、実行してみるものです。東浦の女性による起業です。
●ウェルネスバレー
ウェルネスバレーも、すこし前に進んできました。製版ドリブンといって、医療関係の製品は認可や販売ルートのノウハウの蓄積が必要なので、当地の製造事業者と内外の医療関連製品を扱っている事業者とをつなぐ事業を始めています。昨年は東浦町からも3社ほどが名乗りを上げて、プレゼンして製・版の関係をつくっていく作業に入りました。
●みんなと同じことをやっていてもダメ
以下は、ザ・リッツ・カールトン日本支社長だった高野登さんのお話の受け売りですが、長野市に中央タクシーという会社があります。長野オリンピックの時に、長野のタクシー会社は、オリンピック特需を逃すなとばかりに、オリンピックの開催中、報道などオリンピック関係に配車を振り向けました。しかし、中央タクシーは、地元の足として地元の人たちの利用を極力優先したのだそうです。配車の2割くらいは断りきれなくてオリンピック対応に回しましたが、イベント期間中は最下位だったそうです。しかし、その後、需要が落ち込んでも、地元のホテルや病院などから信頼されて、どこもタクシーの連絡先リストのトップに載るようになりました。今では、長野市で唯一黒字営業を続けているそうです。
大事なのは、原点がぶれないこと。みんなと同じことをしていてもダメ。これがトレンドだなんて横並びでやっていると、当然のことながら大抵は後手に回ることになります。
●コンパクトなまちづくり
コンパクトなまちづくりの話しをし出すと長くなってしまうので、緒川駅の話しをしたいと思います。緒川駅東では、ロータリー前から北にかけて都市計画道路緒川南北線の整備を進めます。この道路は大きな効果が見込めるほどではありませんし、やらないという選択肢もありますが、計画路線上の地権者の皆さんは事業に協力するつもりで事業化を待っていたとのことですので、駅東の顔づくりの総仕上げとして都市計画通り事業を遂行します。
緒川駅の平成26年度の乗降客数が3000人をわずかに上回りました。27年度3000人突破を確実にしたいところです。3000人以上の1日平均利用者数があると、国の補助金を受けられるようになりますので、この制度を利用して平成29年度にエレベータの設置ができるようにしたいと思います。町内町外のお出かけには積極的に乗って、みんなで地元の公共交通機関を支え育てていかねばなりません。
●景観づくり
策定中の景観計画では、まちの全域について大規模行為を届出制にするとともに、4つの景観重点区域の候補を定めて、東浦に特徴的な景観を守り育てていくこととしています。まちとして住民の皆さんとともに景観に配慮していくことは、まちの誇りや魅力を引き出し、住んでみたいまちとして選ばれるためにとても重要な要素です。まだまだ景観への市民的な理解が少ない日本において、早期に景観に配慮し、市民的な合意と共通認識をつくっていくことが大切です。歴史的な建物に限らず、地形を含む自然景観、農業景観、都市的景観から、過度に人目を奪う広告物やごみのない美しいまちまで、まちのたたずまいを整えていきます。
アレックス・カーというアメリカ人がいます。以前から日本のまちづくり・景観のあり方に警鐘を鳴らしている人ですが、最近、テレビや行政関係のセミナーでもよく見かけるようになってきました。この人が今ネットに面白い合成写真を載せています。それは、バチカンの広場の写真です。ヨーロッパでは当たり前のように広々として洗練された広場ですが、これが日本だとどうなるかという視点で彼が写真を合成しました。広場には色とりどりの観光バスが並んで、休憩所やトイレや客引きや注意啓発の看板、まるで日本の観光地かと見紛うばかりです。
景観に配慮するのはおちついた先進国の常識です。しかし、まだ日本人は景観について無頓着です。今から先行して始めることによって、一朝一夕ではできないアドバンテージになります。東浦としてのたたずまいを大切にする。まずごみを無くすことから始める。これを地道に続けると、まちは見違えるようになる。他所から来るとこのまちは何かが違うとなるはずです。たとえば、子育て支援のディスカウント競争などよりも、よほど、まちの誇りや住んでみたいという評判につながるし、ひいては観光や経済に与える影響は無視できないものになると思います。
●市民活動
それから、市民活動のなかにも、社会的起業につながるような面白い動きがあります。おだい市&東浦セミナーもそうですし。図書館もがんばっています。図書館では住民有志のアイディアで、民家やお店を開放して趣味の図書コーナーをまちじゅうにつくっていこうという「まちじゅう図書館(ぐるぐる図書館)」の構想があります。店主と顧客だけに限らない新しい交流やコミュニティーの醸成、景観への波及、不動産のリノベーションなど、今後の展開が楽しみです。
NPOの絆さんが近くにある古民家を改装して離れのような居場所をつくりました。些少ですが町のパートナーシップ推進事業補助金が活用されています。総合ボランティアセンターの活動も盛り上げていきたいと思います。
●NHKロケ
最後に余談ですが、昨年の11月に放送されたNHKドラマ「経世済民」シリーズ「鬼と呼ばれた男 松永安左ェ門」のロケが5月に大生紡績で行われました。ほんの一瞬ですが、戦後の闇市のシーンでした。古式ゆかしき佇まいというよりは、闇市のように荒らしてある査証ですから、決して自慢はできませんが、意外な展開もあるというお話しです。
今年も、それぞれが知恵をしぼって努力して、また時として持ち上がる意外な展開を楽しみつつ、一年間進んでまいりましょう。東浦町内の知的・生産・交流の活動がますます活性化することを祈念して年頭所感といたします。
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