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2016/02/27

岐阜市立図書館(みんなの森 ぎふメディアコスモス)の吉成信夫 館長のお話しを聴きに岐阜へ

先週の日曜日は公務がなかったので、昨年7月にオープンしてから居心地の良い滞在型の図書館を目指してさまざまな取り組みを行っている岐阜市立図書館(ぎふメディアコスモス)吉成信夫 館長のお話しを聴きに岐阜を訪れました。そのあと図書館を見てきました。

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新国立競技場B案”や“せんだいメディアテーク”の設計で有名な伊東豊雄さんの建築も話題ですが、やはり施設は運営が命です。子ども司書制度、職員が作る書架のディスプレイやPOP、わんこカート、ヤングアダルト専用席、図書館で婚活、短編小説コンテスト、ビジネス支援、図書館ラジオ・・・。
いま、図書館が面白い。公共施設の中でも図書館は、用がなくても誰でも気軽に立ち寄れる場所です。既成概念にとらわれない公共施設の活かし方はアイディア次第でまだまだ楽しくできると思います。

以下、岐阜の市民文化講座であった吉成信夫 館長の講演の要約です。

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「大人はだれでも最初は子どもでした。(でもほとんどの大人がそのことを忘れています。)」というのはサン・テグジュベリの言葉。野生を忘れていない子どもを見ることは、未来を見ること。

「みんなの森」は、“ぎふメディアコスモス”の大事なキーワードだ。伊東豊雄さんはメディアコスモスをときどき見に来る。もともと自分の立ち位置は彼とあまり変わらない。
図書館のカウンターの後ろに「私たちが大切にしたいこと こどもの声は未来の声」と書いてある。子どもの育ちを末永く見守りたい。子どものザワザワも見守る。一つ屋根の下で、子どもと大人のスペースに壁がない。みんなお互い様だ。小布施の図書館もザワザワがOKだが、大きな図書館でOKなのはここだけだ。日本の図書館はあまりにも静かだ。海外はいろいろある。
最初に見たとき、ここは公園だと思った。公園は見渡しが良くなければならない。居場所は決められていないけど、利用者が座る場所でゾーンニングが自ずとできる。カップルの居られる場所もある。これも自然発生的に決まる。
開館以来、ゆるいルールでやってきたが、このところあまりにもマナーが悪いので、昨日あたりからちょっと厳しくした。
今、岐阜の図書館が全国に相当衝撃を与えている。昨年7月のオープンから来館者が72万人を超えた。

モットーは、①ここに居ることが気持ちいい。②いつまでも居たくなる。③何度でも来たくなる。滞在型の図書館というコンセプトだ。親子グローブは0~3歳の子どもが家の居間にいるイメージでつくってある。
図書館の世界の潮流は滞在型だ。アジアの国、特にシンガポールは国策として、図書館の在り方を規定している。岐阜と似たイメージだ。

自分は39歳までコンサルタントとして東京でビジネスマンをしていた。親は教師をしていた。教師の家庭は、親を見て、親のようになりたいか、なりたくないかで、きれいに2通りに分かれる。父親の「ただいま」という時の“教師の顔”が嫌だった。茶の間でやっと仮面が取れた。70歳過ぎの父の自分に対する言いぐさは、「でも、結局、教える仕事をしてるじゃないか」だった。

コンサルタントを辞めて、宮沢賢治に惹かれ岩手県に移り住んだ。妻に「会社を辞めて、岩手に行って学校を始めたい」と言い出すのに半年かかった。妻に話したら「畑はできるの」と聞き返されたので「できる」と口から出まかせに答えたら、「ならいいよ」と妻から簡単にOKが出た。娘は小学校の畑部の部長で牛の世話が好きだったが、私立小学校の一期生で5年生だったから、卒業するまでは嫌だと反対された。「貯金はあるの?夢だけじゃん」と娘に諭された。今その娘は、東京の大学を出てノルウェーでアニメーションの勉強をしている。

自分は、学校ではない、新しい学びの場を創りたかった。それで、岩手県で、「森と風のがっこう」(NPO法人岩手子ども環境研究所)をやっている。一ノ関市立「石と賢治のミュージアム」の立ち上げにも携わった。展示の解説文まですべて自分がやった。4~5年前、県立森林文化アカデミー(大学院のような専門学校)のご縁もあった。

自分の後半生で何をやるか考えた。①こどもに関わる仕事、②環境問題の2つに決めて、もう20年になる。岩手県立児童館で7年。去年、たまたまfacebookで岐阜市が館長を公募していることを知った。
震災もあった。あらゆる世代に開かれた公共施設のあり方を突き詰めてみたいと思った。そして、その成果をまた被災地に戻したい。

新しい岐阜の図書館は、職員72人、そのうち半分が新人だ。
職員の前で、図書館は公共の
ビレッジヴァンガードでありたいと言ったら、頷いたのは5人だけだった。イオンの中に出店している雑貨店のような本屋で、なぜその本を置いたか本に必ずカード(POP)がついている。それを見ているだけで楽しい。
能率手帳をやめて、糸井重里が始めた“ほぼ日手帳に替えれば自分なりの編集ができるとも指摘した。
あしたのためのカード、あしたのためのキーワードもオープンまで毎日書いた。

朝礼で、「みんなで朝のブックトーク」をすることにした。70人の前で、自分の人生を変えた一冊について5分間トークをする。まずは館長、副館長から始めた。メモを読むのは禁止。自分の内発の言葉で話す。自分の言葉でないと子どもとコミュニケーションできない。客観性が大事だからと言って自分を後ろに置いたら、単に本のレンタルをしているだけになるだろう。

職員は、分館と5つの公民館図書室まで入れると96人。図書館の建設工事中に、どうしたらワクワクする図書館にできるか?一人一人が館長になったつもりで考えることにした。そうしたらアイディアがいっぱい出てくる。
子ども司書制度もそうだ。柳ヶ瀬の活性化と結びつけるアイディアもあった。図書館の中で動物を飼いたいというのもあったが、これはちょっと無理。
みんなでつくった書架ディスプレイも面白い。それぞれの書架がお店のようになっている。ケーキ屋や銭湯のディスプレイもある。○○のスイーツ、スポーツの○○など、司書がいつのまにかお店に自分の名前を付けるようになった。スペースが広いから、背表紙ではなくて本の面見せもできる。静かなる賑わいで来館者100万人を目指したい。
“わんこカート”のお話し会も子どもたちに人気だ。犬のお母さんのカートが普段は図書館の一角にリードでつながれて目を閉じて眠っている。お話し会の時は子どもたちの居るところへお出かけする。犬のお母さんの背中が開いて中から書棚が出てくる。“お話しリアカー”のアイディアが“わんこカート”になった。その風体からカピバラとも呼ばれている。
カンチョーにお手紙が届くポストも作ったが、これは失敗だった。毎日手紙が10通は来て、返事が大変だ。でも、手ごたえは感じる。
YA(ヤング アダルト)専用席を設けて、大人は入れなくした。ヨーロッパではYAの席があるのは当たり前だ。「その悩みは一人だけじゃない」なんてヴィレバン風のPOPもある。
話題になった鎌倉市図書館のツイート「学校に行くくらいなら死んだ方がましだと思う人がいたら図書館に来てほしい。何も言わないから。」というのはアメリカのある図書館を真似たものだ。
金華山デスクに続く床の上の足跡のペイントもユーモラスだ。ここは花火の時には特等席になるに違いない。
これまでAV席は他から画面が見えないようにしていたが、縁側のように映像が背後の人から見えるようにした。開放的な2人席で新名所になるかも。人に見られず静かに観たいのなら家に借りて帰ればよい。
展示グローブを図書館の真ん中に据えて、市民がつくる本棚にしたい。市民が本を展示するときがこれから来ると思う。それでこそみんなの図書館だ。
岐阜市の職員のアイディアで、図書館で婚活をした。8時に閉館してから10時まで、本を通して自己アピールをする場にした。22人の40代前半までの男女を募集したら、すぐに定員になった。さっそくカップルで帰った人たちもいたそうだ。本当はワインを飲みながらやりたいと思う。

岐阜の図書館で一番やってはいけないことは、ライバルを食い合うことだと思っている。県立図書館と同じことはしない。方向性を変えることだ。本の専門性では県図書にはかなわない。しかし、郷土資料は大事だから、これは重なってもやる。
いま、県と蔵書のダブり調査をしているが、ダブりは意外と少なさそう。うちはオーソドックスでない路線で行く。
オープンな館長席(デスク)もつくったが、館長は不在が多くて、しょっちゅう「館長は旅に出ています」の札が出ている。
ショートショート(短編小説)のコンテストもやった。「桐島、部活やめるってよ」の朝井リョウさんに来てもらって60通の応募の中の8作品を選んでもらった。中高生の作品もあった。小説は自分の恥部をさらけ出す。それを200人の面前で平気で読めるのはすごい。今の人は本を読まないから文章力がないというのはウソだと思った。ケータイでも人間の心や距離感をつかんでいる人はいるのだと思う。

岐阜市立図書館の目指すものは多様性だ。
子ども司書から「吉成カンチョーへ」というタメグチの手紙をもらった。
暇なときメディコス、学校帰ったらメディコス、5分あったらメディコス。本の蔵が好き。空気悪いけど。
うちの押し入れに箱と本と豆電球を置いて、蔵をつくった。スウェーデンの図書館に行った。小さい子どもの図書館の館長になるのが夢。

なぜメディアコスモスが全国に注目されているか。それは読書活動にある。
夏休みの選書とか言われると読みたくなくなる。本のお宝帳をつくった。50冊読むと紹介したい一冊について感想を書ける。缶バッジを集めてマスター(スターウォーズのジェダイマスターから来ている)になれる。つまらない本もある。決めるのは自分だ。もちろん問答無用で読ませた方がいい本もあるが。
図書館ラジオを今年始める。図書館から放送する。
何のために中央図書館があるか。小中学校の図書館を元気にするためだ。その小中学生を子ども司書制度などを通じて養成中だ。市長の言う「教育立市」につながる。

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吉成信夫さんについては以下を参照。
http://www.city.gifu.lg.jp/13422.htm
http://g-mediacosmos.jp/lib/information/event.html
http://sakadachibooks.com/?p=1751
http://www2.pref.iwate.jp/~uji_turn/iju/yoshinari/yoshinari.html
http://mainichi.jp/articles/20151104/ddl/k21/070/059000c
http://socialbusiness-net.com/contents/news4589
http://www.7midori.org/katsudo/kouhou/kaze/meister/19/index.html

おすすめの著書は「ハコモノは変えられる! ― 子どものための公共施設改革」。

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コメント

 ご無沙汰しております。本日は、神谷町長にご了解いただきたくコメントいたしました。

 2月27日の「岐阜市立図書館(みんなの森 ぎふメディアコスモス)の吉成信夫 館長のお話しを聴きに岐阜へ」の内容を小牧市民の皆様にも読んでいただきたく、明日(3月2日)の「こまき無答塾」で紹介させていただきます。
 ご了承いただきますようお願い申し上げます。

投稿: 堀 孝次 | 2016/03/01 18:53

堀孝次様
27日、聴きに行きたかったのですが、行けずに残念です。どんなお話しだったか、教えていただけたらと思います。
2月21日の講演メモについては、ブログの通りです。私のメモであり、私なりの解釈ですので、ご承知の上でご紹介いただければと思います。

投稿: 神谷明彦 | 2016/03/01 23:10

 神谷町長、ご了承ありがとうございました。最初のコメントが不十分で、27日に私が岐阜県図書館に行ったような書き方になりましたが、実は私は岐阜県図書館にまだ行っていません。
(行かれた周りの方からは「いい図書館だ」というお話を聞いていますが)

 私は、現在72歳、1年ほど前から「車の運転を止めようか」と思い始めました。
 動体視力の衰え等で「運転が下手になった」と思うだけでなく、片側一車線を走っている時に前から来た車が飛び出して来たら・・・とか、車道を走っている自転車が車にフラフラ近づいて来たら・・・など過剰な不安を抱くようになりました。
 一方、車を止めると、がんセンターの通院や、買い物にも困るなあとも思い、9月の車検までに1つの決断をしなければなりません。
 そんなことで、岐阜県図書館にまだ行っていませんが、電車か車で近々行きたいと思っています。

投稿: 堀 孝次 | 2016/03/02 16:58

堀孝次様

失礼しました。私も勘違いしていることに書いたあとで気が付きました。

図書館へは、岐阜駅前のロータリー(私はJRを使いましたが、堀さんは名鉄でしょうか)のたしか10番?バス停だったと思います。頻繁にバスが出ていますので、公共交通機関で楽に行けます。

東浦町では遅まきながら来年度から高齢者の免許証返納を促す施策を始めます。私の父もそろそろ自動車の運転をやめようと車を売却する算段をしているようです。(父は86歳です。)

図書館はゆっくり過ごして来られることをお勧めします。カウンターに申し出て腕章を借りると写真撮影もできます。

投稿: 神谷明彦 | 2016/03/02 22:52

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