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2016/05/30

豊中市社会福祉協議会 CSW 勝部麗子さんのお話し

先々週、民生委員・児童委員の皆さんと研修旅行に行ってきました。民生委員の皆さんが自分たちのお金を積み立てて、互いの懇親と勉強を兼ねた旅行です。毎年誘っていただいて、私は今回で4回目となりました。いつもとても勉強になる旅程で楽しみにしています。

 民生児童委員協議会1泊研修1日目 長岡へ
 http://kamiya-a.cocolog-nifty.com/turezure/2013/05/post-d20b.html

 民生児童委員協議会1泊研修2日目 山古志
 http://kamiya-a.cocolog-nifty.com/turezure/2013/05/post-a8f7.html

 民生委員・児童委員の皆さんと松阪市を訪ねました。
 http://kamiya-a.cocolog-nifty.com/turezure/2014/05/post-7267.html

 大津市雄琴学区の地域ケア会議
 http://kamiya-a.cocolog-nifty.com/turezure/2015/05/post-6b17.html

 

今回は、大阪の豊中市社会福祉協議会を訪ね、NHKドラマ「サイレント・プア」のモデルにもなったコミュニティソーシャルワーカー(CSW)の草分け的存在、勝部麗子さんから直接お話をうかがうことができました。

・勝部麗子さんの仕事の流儀(NHK「プロフェッショナル」のサイト)
http://www.nhk.or.jp/professional/2014/0707/

・勝部さんらCSWの活動がモデルになったNHKドラマ「サイレント・プア」
http://www.nhk.or.jp/drama10/silentpoor/html_silentpoor_midokoro.html

昨年のちょうどこの時期に放送されたNHKドラマ「サイレント・プア」。ドラマの舞台設定は東京ですが、勝部麗子さんら豊中市社会福祉協議会のCSWの活動がモデルになっています。9回シリーズの第1話を行きのバスの中で観ました。制度の狭間にある困難ケースに深田恭子扮するCSWが立ち向かいます。彼女の決してあきらめない姿勢が、当事者と少しずつ心を通わせていく、涙と感動のお話しです。
第1話では、ゴミ屋敷の老女の心を開かせて、なぜゴミを溜めるのか、なぜ捨てられないのか根の部分を知ろうとします。周囲から見れば臭いゴミでも、所有者がゴミと判断しない限りは捨てられません。ゴミでなければ役所の環境課も手を出せません。さらに言えば、仮に強制的に片づけたとしても、ごみを溜めるその根の部分をほぐさない限りは、同じことが繰り返されます。近所の住民も文句を言うだけでなく、一緒になって片づけて、その後もみんなで見守る、老女を孤立させない仕組みづくりに挑みます。

以下は、勝部さんのお話しの要約です。

 

豊中市は、昭和11年に市制施行。今年80周年。文化庁表彰も受けた「文化・教育都市」。
36.6㎢に約40万人が住む。高齢化率25%。41の小学校区の内には、千里ニュータウンのように特に高齢化が進んだところもある。
千里ニュータウンはかつて夢の2DKだった。エレベータなしの5階建てが立ち並び、高齢化率は37%にもなる。そこが今、建て替えで人口が増えている。
市内のマンション人口は63%もある。多くは管理組合があっても自治会がない。そこで、管理組合同士のマンションサミットなどを仕掛けて社協につながってほしいと思っている。
小学校区の福祉委員会は約1万人に1つある。

豊中市は、平成16年から地域福祉計画を策定しており、現在の地域福祉計画(平成26年~30年)は第3期目。大阪府は、複雑化する福祉の課題に対応するために、全国に先駆けて平成16年からコミュニティソーシャルワーカー(CSW)を府下の市町村とともに設置してきた。

高齢者・障がい者・児童・生活困窮、4つの福祉を行政サービスでやってきたが、少子高齢化、核家族化、個人情報のクローズド化が進んで様々な困難が出てきた。また、60歳の人は高齢者福祉を受けられない。制度の狭間の問題や、認知症の高齢者と発達障害の子どもを抱えた一人親世帯など複合的な問題もたくさん見受けられるようになった。そこで、平成12年に社会福祉法が改正され、平成15年から地域福祉計画の策定が努力義務となった。
豊中市では早くから協働・公民連携で5年毎の地域福祉計画を策定し、現在、
第3期計画に入っている。

第1期計画では、小学校単位で、民生委員、地区社協、校区社協が協力し合って、福祉なんでも相談窓口を開設、これをコミュニティソーシャルワーカー(CSW)がバックアップする仕組みをつくった。それぞれの関係者に研修を受けてもらって、属人的に終わらないための仕組みづくりが必要だ。
13年間で35のプロジェクトを立ち上げ、公民で考え行政が事業化するやり方で、制度や事業をつくりあげた。ゴミ屋敷問題を福祉の視点で解決したのもその一つだ。

孤独死の問題にも取り組んだ。会話のないのはつらい。CSWが話し相手を募集するなどして見つけて紹介する。
新聞配達、酒屋、郵便配達など見守りには民間事業所の協力を仰ぐ。
マンションオーナーの高齢者が餓死した事件があった。困っていても「人の助けは要らない」とSOSを出せない(出さない)人がいる。本来救える命だ。
CSWは15人。3万人に一人の割合なので、やはり民生委員の協力は大事だ。

豊中は、もともと地元の人は1割しかいない。千里は一面の竹林だったから神社・仏閣はない。祭もなければ、農作業などの共同行事もなかった。だから地域をつなぐ単位は小学校だった。この中に各種団体があって、それらを個々につないで昭和50年代から校区福祉委員会(地区社協)をつくった。地区社協の予算は300~400万円。収入は会費約100万円と事業収入、府・市からの補助金50万円ほど。
震災で17万世帯のうち1.5万世帯が全半壊した。4000人が避難所に。そして、仮設住宅に入るときにコミュニティ破壊が起きた。仕事もお金もない、50代の人など、孤独死が出た。このとき、人はコミュニティを失うと死ぬのだと思った。
仮設住宅に住む父子家庭の父から「子どもが不登校になった」と聞いた。この父親は子どもを残して朝早く仕事に出る。コミュニティを失って、近所に住む人が子どもを起こしてくれなくなったのが不登校の原因だった。それで、近くの住所の子どもに朝ピンポンを押してもらうことにした。
仮設住宅から戻るときにもまたコミュニティを失う。災害が起きてから如何にまちをつくるかがカギになる。小地域福祉ネットワークづくりを校区の中でやってくれそうな人を選抜した。

一人暮らしだけでなく、老-老介護、認-認介護、8050問題(80代の親と独身無職50代の依存型同居)はもっと大変。
制度の狭間にいる人は、制度のどれにもピッタリ収まらないから。美しい譲り合いのタライまわしに遭う。問題を掘り起こしても埋め戻す。見て見ぬふりになる。
発見力があっても出口が見えない。だから解決力のためにCSWが必要になる。
サービスがないものを解決しようとしたら、住民と行政が互いに歩み寄るしかない。または、新しい仕組みをつくらねばならない。

ゴミ屋敷の問題は、通常、環境部(環境課)の所管だが、本人がゴミと言わないと環境課は動けない。じゃー、民生委員さんなのか?
困った人(周囲が迷惑する人)=(本人が)困っている人でもある。ごみ問題に犬問題が加わるケースもある。
間に立つ民生委員が、厄介者扱いするか、困っている人の側に立つかで地域は大きく変わる。まずは、近所のボランティア協力だ。近所の人が協力しているのに、文句を言う人は言い辛くなる。みんなで片付ければ、みんながつながる。見守りにもなる。元に戻らない歯止めになる。強制代執行よりもよほど効果的でお金もかからない。

徘徊SOSメールもつくった。

20~40代の引きこもり約2300人が豊中は居る。この人たちをどうやって社会に戻すか。
2時間出てきたら1000円渡します!出てくると得になることを考えた。そして、出て来た人がコマ漫画をつくる仕事を考えた。この漫画がNHKの目に留まって、ドラマ「サイレント・プア」の企画につながった。

8050問題では、こんなことがあった。80代の父と50代の娘の世帯で、夏に高齢の父が亡くなった。臭いが周囲にわからないように部屋に目張りをしたため、娘が熱中症で亡くなった。

民生委員は素晴らしい活動で、民生委員の方からたくさんのことを教えてもらった。しかし、民生委員が1人1地区担当でやるのはつらい。地域のローラー作戦をやったおかげで複数の人が一緒に動くようになった。役所の職員だけでは無理。地域を知っている人がいないと。民生委員の制度は外国でも注目されていて、“交番”のように英語でも通じるそうだ。
申請主義(待っているだけ)では無理。「出向く福祉」「見つけ出す福祉」が必要だ。早くおせっかいを出した方が早く回復する。予防的な福祉だ。

「NHKのドラマでは、主人公が抱え込んだ過去の体験が人を救う原動力になっている設定だが、勝部さんはなぜ人を助けることにそこまで情熱を注ぐのか?」と質問される。お話ししたいけど時間が足りない。お話しするには皆さんとお酒を飲んで一晩語り明かさねばならない。

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※豊中市社会福祉協議会の活動については、下記参照。

http://www.toyonaka-shakyo.or.jp/nav/nav_chiki/csw

http://www.pref.osaka.lg.jp/attach/18550/00156635/siryou1.pdf#search='%E7%A6%8F%E7%A5%89%E3%81%94%E3%81%BF%E5%87%A6%E7%90%86%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%82%AF%E3%83%88'

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002cdx6-att/2r9852000002ceat.pdf#search='%E7%A6%8F%E7%A5%89%E3%81%94%E3%81%BF%E5%87%A6%E7%90%86%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%B8%E3%82%A7%E3%82%AF%E3%83%88'

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コメント

つい最近「創縁」という言葉をキーワードにしたNHKの番組で勝部さんを知って検索してたどり着きました。テレビから離れていたのでこんなに立派な活動をされていた方が隣の市にいたのに知ることができずにいました。それはそうとこの記事はとても読みやすく楽しく読ませて頂きました。本当に興味深い活動をされているかたですね。人が一気に増えたことによって目が届かなくなる。難しい問題です。ベッドタウンとして発展した地域だからまたややこしいのでしょうか。高齢化の問題はどこも大変でしょうが真剣に向き合わなければいけない問題です。国の財政が傾いている現状だと豊中を含めて厳しそうです。それでも出来ることをするしかないですね。まわりの人を巻き込みつつ頑張るということが大事だということを勝部さんの行動から学びました。自分もそうありたいと思います。

池田様

ご丁寧なコメントをありがとうございました。意外とまちの近くの事は知らなかったりするものです。改めて見直してみると立派な資源があったりします。

待っているだけでは無理。「出向く福祉」「見つけ出す福祉」が必要だ。早くおせっかいを出した方が早く回復する。ですね。

私たちのまちには、地区社協はありませんが、今、コミュニティを中心に、互いに顔の見えて、支え合える地域をつくっていこうとしているところです。簡単なことではありませんが、それぞれができることを持ち寄って・・・。

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