« 土曜日は、シルバー人材センター総会と星城大学の公開シンポジウムに出席 | トップページ | 3年前の教育フォーラム。これもいいお話しでした。 »

2016/06/20

教育フォーラムのレポート

今年1月に開催した東浦町教育フォーラムのレポートです。
水野正明 名古屋大学総長補佐 名古屋大学医学部付属病院先端医療・臨床センター教授が、「超高齢化社会における健康づくり・街づくり」と題して講演しました。後日詳しくレポートすると書いた手前、何ヶ月もたってしまいましたが、遅まきながらアップさせていただきました。以下講演のメモです。

 P1180717_640x480 P1180715_800x600

少子高齢化が進んで、年齢別人口のグラフが、ピラミッド型からヤクルト型、そしてツタンカーメン型になっていく。
百歳以上は、1963年に153人だったのが、2015年に6万人、2050年には68万人になる。

2025年問題が迫ってくる。65~74歳で介護が必要な人(要支援+要介護)は4%、75歳以上では31%。団塊世代が75歳になる2025年には75歳以上人口が2167万人になる。地方よりも東京や愛知で問題が深刻化する。

国連の定義によれば、
高齢化社会とは、総人口の7%以上が65歳以上の高齢者。
高齢社会とは、総人口の14%以上が65歳以上の高齢者。
超高齢社会とは、総人口の21%以上が65歳以上の高齢者。
7→14%に至るまでの年数は、フランス115年、スウェーデン85年、日本24年だった。
(「産めよ増やせよ」から「子育てはつらい」へ。良くも悪くも国民が価値観を共有している?)

秋田や島根はすでに高齢化のピークを過ぎた。しかし、社会が崩壊していないのは地域で生活できているから。この点、都市部は弱い。都市部では、社会資本は整っているが、地縁・血縁・人情など、人の絆は希薄だ。高齢者の自立と健康寿命の延伸が課題になる。

健康寿命とは、日常的な介護に頼ることなく、心身ともに健康で暮らすことのできる期間のことで、2000年にWHOが提唱した概念。
2013年の日本人の寿命は、男性の平均寿命80.21歳、健康寿命71.19歳。女性の平均寿命86.61歳、健康寿命74.21歳。特に女性の平均寿命と健康寿命のギャップ(≒寝たきり期間)が12.40年と欧米に比べて長い。

政府は、重度な介護状態になっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けられるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステム(地域の みんなで 高齢者をケアするしくみ)の構築を目指してるが、これが上手くいかない。なぜなら、自立が前提だから。

名古屋大学が目指す地域包括ケアシステムは、
プライマリーケアセンター(医師・行政・包括支援センターなどによる24時間356日対応)を中心に、「医療・介護・福祉対象者」「一般市民」「行政・地域包括支援センター・社会福祉協議会・民生児童委員」「地域中核病院」「医師会・歯科医師会・薬剤師会」「訪問看護ステーション・介護保険事業所」など、周囲の関係者がICT地域医療・地域包括ケア情報共有ネットワーク(多職種情報共有基盤)の上で時間・空間を共有するイメージだ。
名古屋大学が開発した医療・療育・介護・福祉統合ネットワークシステム「電子@連絡帳」が名古屋市周辺や東三河で広がりつつある。大府市の「おぶちゃん連絡帳」もそれ。たとえば、尾張東部5市1町のネットワーク経費は、5万人規模の自治体で年間約100万円。

医療は、対症療法的な疾病医療から、先制医療、そして予防医療へと移っていく。それこそ、2000人に一人の家庭医を決めて5年で改善のノルマを課す?くらいの議論があってよい。

高齢者の健康寿命の延伸を阻害している主な要因は、
・後期高齢者では、認知症、高齢による衰弱(虚弱)、脳卒中。
・前期高齢者では、脳卒中だ。

認知症とは、後天的な脳の器質的障害により、一旦正常に発達した知能が低下した状態で、記憶障害、失行、失認等が見られ、社会生活に支障をきたすもの。
・体験自体を忘れる+ヒントがあっても思い出せないのは、認知症。
・体験の一部を忘れる+ヒントがあれば思い出せるのは、物忘れ。
認知症は感情の老化から始まる。認知症の人は、相手の怒った顔を認識するが、何で起こられたかは忘れる。だから、認知症の人と接するには、腹が立っても表情に出さずに笑顔で接すること。

虚弱(フレイル)とは、老化に伴う種々の機能低下を基盤にし、種々の健康障害に対する脆弱性が増加している状態で、疾病に起因するものではない。60歳から80~90歳になっても年齢によらず、運動をすれば同じ筋力を出せる。きんさん・ぎんさんもわずかなトレーニングで30歳くらい若返った。努力をすれば同じ力で生活できる。

佐藤、田中、小渕の3総理はみんな脳卒中。当時、その場で放置されたり、リハビリをせずに籠ったり、会見中言葉が出なくなったのを見過ごしたり、今なら助かるケースだ。脳卒中で大切なことは、①早期治療、②早期リハビリ、③前兆を逃さないことだ。長嶋さんはさすが3番だけあって、3時間以内に治療して、3日以内にリハビリを始めて、3週間以内に専門リハビリをしたから、助かった。これで、9割以上が死なずに済むようになった。しかし、5年前後で50%が再発することに注意。

脳卒中をはじめ、心筋梗塞・糖尿病・腎疾患・高血圧・(認知症)など、血管を主座にする疾病に気をつけること。糖尿病も細動脈がボロボロになる血管の病気。認知症も血管の病と言える。人は血管とともに老いる。あらゆる疾患の根源だ。
高齢者の健康寿命を延ばすための具体策は、血管の健康を意識して、運動・食事(適食と減塩)・睡眠の最適化を図ることだ。必要なのは薬ではない。

<高齢者の健康寿命を延ばすために必要な運動>
P1180718_800x600_2メタボリックシンドローム研究の成果として、1週間に23エクササイズのスポーツを3メッツ以上の強さで行うこと、すなわち、1日6000歩の運動が脳卒中の再発防止に効くことがわかった。(※3メッツ(歩行)×1時間=3エクササイズ(6000歩)。3エクササイズ×7日=21エクササイズ。)
ポイントは、
①軽い運動を長く(できれば1時間以上)・・・(最初の20分は筋肉と肝臓の中の糖が、その後は脂肪が燃焼。20分以下の運動で痩せることは絶対にない。)
②いつでも運動できるのであれば、夜が良い・・・(余った栄養は寝ている間に脂肪になる。寝る前、血中に栄養を残さない。幸田町の夜明るい散歩道は好例。)
③1時間歩けない人は、「からだ びっくり作戦」で。・・・(2週間ごとに歩幅など運動のパターンを変化させる。)

<健康づくりに必要なこと>
①自分自身を良く知ること
②自分自身の健康を生活の中で常に意識すること

<高齢者の健康寿命を延ばすのに必要な食事>
①めざせ、減塩(7~8g/日)
たとえば、コンビニおにぎり1個に含まれる塩分は2g。
イギリスでは、政府が食品メーカーに対して減塩の目標値を設定、(秘密裏に少しずつ)段階的減塩を実施。人間は減塩の味に6週間で慣れる。健康に効果が出て、初めて国民に公表した。
②めざせ、体重の適正化
働き盛りは過栄養の予防、75歳以上は低栄養の予防。

他人との比較は意味がない。自分と比較して、自分の健康を守る、創る。毎朝、決まった状態で体重を量る。握力は心臓の力を反映している。

<地域包括ケアシステムとまちづくり>
地方自治体でも、医療圏内の連携と自治体の状況に応じた対応が必要。たとえば、尾張東部医療圏では、瀬戸・尾張旭ではレスパイトケア、日進体操、豊明団地の独居老人対策など、それぞれの自治体ごとの地域課題に合わせて施策を展開している。腎疾患の検査にeGFRの測定が有効だ。

P1180724_800x600

|

« 土曜日は、シルバー人材センター総会と星城大学の公開シンポジウムに出席 | トップページ | 3年前の教育フォーラム。これもいいお話しでした。 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/80448/63136183

この記事へのトラックバック一覧です: 教育フォーラムのレポート:

« 土曜日は、シルバー人材センター総会と星城大学の公開シンポジウムに出席 | トップページ | 3年前の教育フォーラム。これもいいお話しでした。 »