10月29日(土)から12月3日(土)まで、国民文化祭・あいち2016が開催されます。昭和61年から全国で毎年開催されてきたもので、愛知県では初めての開催です。期間中、県内54市町村で、音楽、演劇、美術、伝統文化、生活文化、食文化、歴史文化など多様なイベントが展開されます。
詳しくは、http://aichi-kokubunsai.jp/をご覧ください。
東浦町では、町内各地で行われている祭礼でのお囃子や神楽などが文化センターに一堂に会し、伝統芸能を披露する『祭り囃子フェスタ』を10月30日(日)に開催します。
≪祭り囃子フェスタプログラム≫
お祭り気分を味わおう!
東浦町内各地で秋に開催される祭礼。笛や太鼓の音が聞こえるとワクワクする皆さんもいらっしゃるのではないでしょうか?
今年のお祭りシーズンは終わりましたが、古くから東浦町で伝わってきた祭礼でのお囃子や神楽などの伝統芸能を東浦町文化センターに集結し、住民の皆さまに紹介することにより、地域の伝統芸能の継承、地域の活性化につながればと考えています。
と き
平成28年10月30日(日) 9時30分~
ところ
東浦町文化センター ホール
プログラム(出演順)
[午前の部]
お囃子
・緒川地区(下切、新町、神市場地区若衆)
・石浜地区(石浜若衆)
・藤江地区(藤江若衆)
神楽
・石浜地区(石浜神楽保存会)
[午後の部]
だんつく獅子舞
・藤江地区(八ッ頭舞楽保存会)
神楽
・緒川地区(緒川神楽保存会)
・藤江地区(藤江神楽保存会)
・生路地区(伊久智神社神楽保存会(北組、南組))
主 催
文化庁・愛知県・東浦町・町教育委員会・第31回国民文化祭愛知県実行委員会
問合せ
文化センター(05562-83-9567)
≪東浦町内の祭り≫
東浦町は、森岡、緒川、緒川新田、石浜、生路、藤江と6つの地区に分かれ緒川新田を除く5つの地区では、9月から10月にかけ祭礼が行われ、「おまんと」「駆け馬」が開催されます。緒川新田地区では、こども神輿や獅子舞が4月に春祭りとして行われています。
♦お囃子
地区内を屋形や馬とともに練り歩く時には、各地区とも独特な囃子を演奏します。囃子は屋形を中心に行われ、屋形に乗せた太鼓を叩き、笛で曲を演奏しながら進みます。小学生などが囃子に参加している地区もあり、祭礼を盛り上げています。
屋形に加えて、石浜、生路、藤江地区では太鼓を乗せた小車を曳(ひ)き回します。特に生路では太鼓が盛んで、打ち囃子と呼んでいます。鋲(びょう)打(う)ち太鼓を2人が棒で担いで運び、途中止まって太鼓をたたき、また担いで走ります。
緒川新田地区では、新田まつりばやしと呼ばれる囃子が行われます。町内の他地区の屋形の囃子とは流れが異なり、知多半島の内陸部からの影響を受けたものと言われています。4月の緒川新田春まつりや7月のちょうちんまつりなどで神楽の曲が流されます。
♦神楽
神楽は、町内各地の祭礼や重要な祭事の際に奉納され、笛と太鼓を用いて曲を演奏します。太鼓は大きな鋲打ち太鼓と、コボ・ツケ太鼓とも呼ばれる締太鼓をそれぞれ一人が叩きます。
曲は各地区でいろいろな曲が伝わっています。最初に「カミムカイ」という曲を笛だけで演奏して天から神を招き、最後は笛と太鼓で「アゲ」という曲を演奏して、天に帰っていただくという神楽の作法に合わせて演奏します。そして、「カミムカイ」と「アゲ」の間にいろいろな曲を組合せ、神子舞に合わせて演奏します。
町内には流派が3つあり、森岡、緒川、生路(南組)、藤江は伏見流、生路(北組)は朝日流、石浜は宮流が伝えられてきました。現在は、継承者の不足により伏見流と宮流が継承されています。かつては、森岡、緒川(新町)、緒川(下切)は、朝日流でしたが、伝承が途絶え流派が変更されています。
1.宮流
東浦に伝わる三流派の神楽の中で、古くから存在したのが宮流でした。宮流は、江戸時代まで「宮宿(現名古屋市)」の熱田宮で行われていた神楽で、ここの神楽座に属した楽人から各地へ伝え広まったものです。曲目には、「サキョウ・ヂカグラ・神明・神明上げ・神明下げ・月矢・矢車・キツネツル・津島下がり・岡崎」の十曲があります。主に、「サキョウ・ヂカグラ・神明・神明上げ・神明下げ」の五曲を演奏することが多いようです。
2.伏見流と朝日流
東浦町で行われている神楽の主流になる。現在では伏見流が大きな勢力となっています。伏見流と朝日流は、三河で発達した神楽の流れで西三河一帯に伝えられているものです。伏見流は、生路南組が、高浜方面から学び、森岡・緒川に伝わっていきました。朝日流は、生路北組のみが伝えています。以前は森岡や緒川(新町・下切)でも朝日流が行われていましたが、現在は、伏見流に流派を替えています。
♦神子舞
東浦町に伝えられている三種類の神楽はすべて同じ舞です。舞は曲によって決まっているのではなく、手に持つ採り物で決められています。
① 両手に扇を持って舞う
② 右手に扇、左手に鈴を持って舞う
③ 右手に扇、左手に御幣を持って舞う
④ 両手に御幣を持って、主に肩に添えて舞う
この四種類の舞を繰り返して行う。
一曲のうち舞う方向が、拝殿が南面なら北→南→西→東→北の順に変わります。
♦だんつく獅子舞
藤江神社だんつくは、藤江神社の祭礼に奉納される一人立ちの獅子舞です。親の雄獅子・雌獅子と6頭の子獅子が登場するため、別名「八(や)ッ(っ)頭(がしら)舞楽(ぶがく)」とも呼ばれます。この一人立ちの獅子舞は県内では類例がみられず、珍しいものです。
始まりについてはよく分かっていませんが、大府市の藤井神社より祭礼道具を譲り受けて始めたという言い伝えがあります。なお、享保7年(1722)の修理銘が入った獅子面が残されていることから、江戸時代中頃には藤江神社で行われていたと思われます。
だんつくは、8頭の獅子と、素盞鳴(すさのおの)尊(みこと)であるといわれる棒(ぼう)振(ぶ)りで行われます。演目は、恋(こい)歌(か)仙(せん)・膝(ひざ)折(おり)・隠(かくれ)獅子(じし)の3曲で、各曲の始めに棒振りが出て場を清めます。恋歌仙と膝折は雌雄の獅子が舞い、最後の隠獅子の段で6頭の子獅子が舞台に出てきます。その子獅子を雌(めす)獅子が衣装を広げて隠し、その周りを雄(おす)獅子が太鼓を打ちつつ舞います。
親獅子・素盞鳴尊は高校生や大学生の青年が舞います。中老と呼ばれる囃子方(はやしがた)が笛と締太鼓で囃子を演奏します。舞の唄は太鼓役が唄います。現在は保存会が結成され、指導的立場である中老が青年に指導し、伝統の継承が行われています。
親獅子頭の角は雄が二本、雌が一本です。子獅子は角が一本です。褐色の獅子頭のセットと古い面を模した黒い獅子頭のセットを用いています。素盞鳴尊の面は5面残されています。この内、だんつく古面と呼ばれる3面は、記録によると2面が江戸時代の作、1面が明治時代の作で、町指定文化財となっています。龍(りゅう)頭(ず)の面と呼ばれる皮製の古い面は、だんつくに関する最も古い資料で、裏には享保7年(1722)に修理したことが記されています。こちらも町指定文化財です。
平成24年1月17日に「藤江のだんつく獅子舞」は、愛知県無形民俗文化財に指定されました。
最近のコメント