商工会賀詞交歓会に出席
東浦町商工会新年賀詞交歓会に出席しました。今年は阿久比町の商工会新年会と開催日が重ならなかったこともあって、伊藤忠彦、伴野豊 衆議院議員、河合洋介県議会議員もフル出席。会場はほぼ満員でアットホームな雰囲気の中、2時間ほどがあっという間に過ぎました。毎年恒例の町長の年頭所感では、以下のようなことをお話しさせていただきました。
明けましておめでとうございます。お正月は、本当に暖かくて良いお天気でした。皆様方はいかがお過ごしになられたでしょうか。
私は、元日に何十年ぶりかに初日の出を見てきました。見に行ったといっても、伊良湖に行ったわけでもなく、師崎に行ったわけででもなく、藤江と生路の境にある三丁公園に初日の出を見に行きました。
●三丁公園
ここは高台にあるので、朝の散歩やラジオ体操をする人の間では、ちょっとした日の出鑑賞スポットになっていて、当日もすでに30人くらいの人たちが集まっていました。ちょうど今、文化センターで開催中の新春文化展に私の撮った写真を出品にしていますが、公園のシンボルツリーと駅前のマンションの間にある三河の山から太陽が昇って、我々の立っているところが、赤々と照らされてくるのをまさに臨場感をもって感じられる一年の始まりでした。
その後で、サッカーに興じる若者とかいましたが、皆さんが思い思いに帰るときに、落ちているゴミを拾って帰られる方たちもいて、すがすがしい気分になりました。ちょうど、三丁公園でも、ゴミが落ちてるけどどうしようかとか、落書きやいたずらをどうしようとか、遊び方のルール作りを地域でできないかとか、公園を常に気持ちのよう状態に保つにはどうしたらよいかとかいうことを、近くの方たちや公園利用者が一緒になって考えて、愛着の湧く公園にしていこうという試みが始まっています。昨年も、焼きそば会議というのを開いて、三丁公園は防災用のかまどベンチがありますので、焼きそばを焼きながら、公園のあり方を考えるワークショップなども開いています。金魚の品評会をやったり、おだい市と言ってフリーマーケットのようなことをやったり、「あれもこれも禁止」みたいなことにならないように、節度をもって自由に使っていこうということをやっています。
それから、三丁公園では今、8千万円をかけて休憩施設を建設しているところです。ここにはトイレやちょっとした休憩スペースのほか、町南部のための防災備蓄倉庫として使っていくことにしています。
●景観まちづくり
昨年12月に、議会のほうで東浦町景観条例を可決・制定いただきましたので、この4月から景観計画に基づき東浦町の景観行政を進めていきます。この景観計画は、東浦の景観を丘陵地があってその間を岡田川、明徳寺川、豆搗川、須賀川と4本の川が西から東に流れて、「○○根」「○○挟間」という地名がたくさんあるように、尾根と谷があって、ちょうど手を広げたような地形からできているところから説き起こして、その中に、例えば、於大のみちのある明徳寺川沿いの田園風景や、森岡から緒川にかけての斜面に広がる葡萄畑の景観や、緒川の旧道沿いから山の手にかけての屋敷の町並みや、生路の神社下あたりの路地に見られるような黒塀の家並みなどがある、そういう東浦らしい景観を守り育てていこうという内容になっています。
よく、刈谷の人と話をすると、「三河の方はあまり起伏のない単調な地形が続いているけど、三河から東浦を眺めると、丘陵地に緑があって、そこの斜面にポツポツと住宅が立っている。すごくいい感じだ、ああいう所に住んでみたい。」といわれることがあります。まさにそういう東浦の景観上の利点を生かしつつ、残しつつ、さらに都市的な景観も創っていけたらと思います。
4月に景観条例が施行されますが、それで何が変わるかというと、具体的には、500㎡以上の開発行為、1000㎡以上あるいは高さ10mを超える建築物や太陽光発電施設などのいわゆる大規模行為について町への届け出が義務付けられます。ただ、開発を禁止するとか規制することに強制力はありませんし、こうでなければならないということはありませんので、町に相談をいただくということです。ひょっとすると、ここにもう少し木を残していただけませんかとか、かずおハウスじゃないですけどこの壁の色をもう少しおとなしくしていただけませんかとか、このコンクリートむき出しの擁壁をもう少し自然な感じにしていただけませんか、という遣り取りが発生するかもしれません。とにかく、これまで、大きな景観の改変に対して行政が何ら関与する術を持たなかったところに、施工者と行政が相談ができるようになるというのは大きな違いだと思います。
まだ、どの地区を重点地区にして景観形成をしていくか、地区でどんなルール作りあるいは具体的な行動をしていくかはこれからです。いくらルールを作ってもそれを守ってまちを育てていくという共通認識がないと意味がありません。とにかく、住民の方々が東浦の景観を守り育て創っていくことを共通認識として持ち、みんなでまちづくりをしていくことが最も大事なことだと思います。於大のみちでは、明徳寺川の自然を守る会の方たちが、3年計画でスイセンを植えて、春先にはスイセンが咲き乱れるような景観をつくっていこうと活動をされています。
それから、一人一人誰でもできることとして、例えば、ゴミの落ちていないまちづくりをすることができます。役場の職員にも、昼休みに食事に行くときなどに、役場下の道に落ちているゴミを拾って帰るようにとお願いしています。
景観まちづくりはとても時間のかかることですが、こういったことを、地道に何年も続けていくと、東浦のまちは何か違うぞというまちになって、それが、このまちに住みたい、このまちを訪れたいという、まちの価値向上につながっていくのだと思います。
●ふるさと寄附
昨年も、ふるさと寄附ついて触れさせていただきました。27年度は3月末までに全国は北海道から沖縄まで、2億3千万円の寄附をいただくことができました。28年度はそんな調子よくはいかないだろうといっていましたが、ありがたいことに28年12月末で、3億3千万円を超える寄附申し込みをいただいています。
これは、新しい東浦の産品をラインナップに加えていること、肉などの人気が高いことがありますが、なんといっても、カリモクさんの家具がお礼の品に入っていることによって、一件につき高額の寄附が寄せられていることが大きいです。愛知県トップの碧南市さんと比べても東浦の場合、寄付の単価が一桁高くなっています。
ただ、先ほど27年度2億3千万円と言いましたが、これがまるまる東浦町の収入アップになるかというとそうではなくて、2億3千万円のうちの57%は事務手数料と返礼品の購入費に充てられますので、残りは約1億円。そして、東浦町内から町外への寄付が約3千万円ありますので、差し引き正味の収入増は7千万円ほどです。ですから、多額の寄附をいただきながら、行政サービスとして住民の福祉に直接役立てられるのはぐっと小さくなってしまいます。それが全国で競うように行われていて、はたして本当に寄附の趣旨に沿って寄附が有効に役立てられているのかという批判があるわけです。
東浦の場合は、東浦の産品をPRすることに主眼を置いています。また、お礼の品の購入費はとりあえず町内で循環するわけですが、寄付の金額をことさらに自慢するようなことは慎まねばと思っています。
●町内の企業訪問
昨年から、町内の企業(手始めに大手企業を中心に)を訪問・見学をさせていただいています。同時に、企業活動を進めるうえでの環境整備で何か町がお役にたてることがないかと相談させていただいています。
いままで、町内の企業をつぶさに回ったことはありませんでしたので、東浦でこんなモノをつくっているんだという新鮮な驚きがありました。
たとえば、某有名アイスクリームメーカーのアイスクリームのふたを取ると中にシートがかぶさってますよねえ。あれは東浦でつくられています。
それから、あるメーカーさんで教えてもらったのですが、摩擦圧接の言う技術をご存知でしょうか?車のドライブシャフトのような中の詰まったシャフトを中までちゃんと溶かして溶接しようとするときに普通のアーク溶接などでは表面しか溶接できません。そういう時に二つのシャフトを向い合せにすりあわせて摩擦熱で融かしてくっつける技術があるのだそうです。
それから、パイプを製造する方法ってどんな方法があると思いますか? ちょっと考えると想像がつくと思いますが、継ぎ目のないシームレス鋼管を造るには赤く熱した丸いシャフト状の鉄の塊をくりぬくとか、鋼板をU字型に曲げて接点を溶接するとか、あるいは、コイルから引き出した長い鉄板を螺旋状に合わせていって合わせ目を溶接して連続的にパイプをつくる方法もあります。町内のあるパイプメーカーが製造しているガス器具用の特殊なチューブはガス器具国内3社(パロマ、リンナイ、ノーリツ)のほぼ100%のシェアを占めているそうです。
愛知製鋼さんは、ステンレス鋼材や磁石をつくっています。また昨年からアモルファス素材の製造を開始しました。アモルファスとは、結晶構造を持たない金属素材で、普通の金属にない繊維のようなしなやかさや特殊な電磁特性を持っています。アモルファスをつくるにはノズルから引き出した溶けた金属を冷却したドラムに当てるなどして急冷して造ります。なんと、アモルファスのワイヤーと繊維をつくっているのは日本の中で東浦だけだそうです。
LIXILさんの工場にも伺いました。レンガ・タイルの業界には大手企業はほとんどないので、東浦の工場は、レンガ・タイルの工場の中で国内最大級だそうです。「最大と言い切っていいですか」とお尋ねしたら、綿密に調べたわけではないので「最大級」にしておいてくださいと言われました。
ジャパンディスプレーさんにも行ってきました。2~3年前にはたしか、タブレット・スマホ用の画面が大盛況と聞きましたが、もうその時代は終わって、タブレットなんかは、画面が3倍に広がるような試作品ができてきているので、あんな大きなものはもうなくなるのではないかとおっしゃっていました。ジャパンディスプレーさんは昨年、公的支援の報道もありましたが、東浦工場では小型のディスプレーに特化してきたのが功を奏して、いまブレイクしつつあるアジア・ヨーロッパ向けの小型の業務用のディバイスの需要が大幅拡大すると見ているようです。数年でガラッと様変わりするこの業界の速さの一端を感じました。
こうしてみると、町内には(私が知らなかっただけかもしれませんが)実に様々な技術や企業があることがわかります。他の町内の企業と情報交換を密にして、域内で町内中小企業も含めて、お互いの取引や商品開発などを行い新たな価値創造ができるようになると素晴らしいと思います。商工会でも、各企業との懇談会や情報交換をこれまで以上に活発に行っていくとのことですので、こういった分野でのさらなる発展を期待するところです。
●買物難民対策
つい一昨日、東海テレビのスイッチという朝の番組を録画して見ました。長寿医療研究センターの遠藤先生が出てきて東浦の高齢者福祉と住民の皆さんの取り組みを紹介していました。その中で、森岡台の買物難民問題に絡んで八百正さんの新店舗の話しが大々的に紹介されていました。地元自治会の要望があって、商工会を通した補助金を使って、団地の近くにお店をつくって、日によっては送迎もやってますというお話しでした。
●ウェルネスバレー関連で商品開発
このほかにも、ブドウ果汁を使ったビールを開発中の報道があったり、ウェルネスバレーの製版ドリブンモデル事業では愛知商会さんの医療分野でのホルマリンガスをシャットアウトするプラスチックバッグの商品開発など、さまざまな分野で皆さん方の活躍があります。
●市民映画企画
住民発のアイディアもたくさん出てきています。東浦町は平成30年に町制70周年を迎えます。これにあわせて市民映画を作ろうという動きもあります。難しいことに挑戦されるなあとつくづく感心するとともに、是非大成功してほしいと期待しているところです。
●このはな彩
もう一つ、都市整備課公園緑地係の宣伝もさせてください。於大公園このはな館では、今月、「このはな彩」と称してステンドグラス展を行っています。このはな館はガラス張りで明るいんですけど、直射で日差しが強いということもありました。職員のアイディアで窓にセロハンを張ってちょっと光を落とした七色光線が差し込むようにしました。1月22日(日)の午後には光のクラシックコンサートも予定しています。季節限定の催しですが、夜のライトアップも行っています。ぜひ、このはな館にお立ち寄り下さい。
冒頭に、三丁公園のお話しでも触れましたが、これまでの慣習にとらわれない公共施設の活用を考えていきたいと思います。ご提案があれば遠慮なく役場までご意見ください。
●取り柄を活かして新しいこと挑戦!
このように、町内の各企業、商工業者さん、NPOや有志のグループや個人、そして役場が、それぞれ持てる知恵やスキルを出し合って、それぞれがつながって、はじめは小さなことかもしれないけれど、新しいことに挑戦していくことが元気で住みよいまちをつくっていくのかなと思っています。
行政も頑張ります。今年一年、引き続き、みなさま方ご理解とご協力を得ながら、私たち町役場も一生懸命にやっていきますので、どうかよろしくお願いいたします。
トリ年ですから、それぞれのトリ柄を活かしてトリ組んでまいりましょうと申し上げまして、年頭の所感とさせていただきます。
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東浦町のふるさと寄附=2億3千万円、手取りは約1億円。そして町外への寄付が約3千万円、差し引き正味の収入増は7千万円ほど。内情がよくわかりました。
下記は読売新聞2/10の記事です。
2⽉10⽇発売の⽉刊『中央公論』3⽉号に、全国1741市区町村の収⽀を算出した「損得勘定全リスト」とともに掲載された。調査によると、2015年度の「ふるさと納税」の収⽀(寄付の受け⼊れ額と税収の流出額の差)は、525の⾃治体で「⾚字」になっていた。最⼤の⾚字は横浜市で、額は28億798万円。続いて、名古屋市(17億8701万円)、東京都世⽥⾕区(16億2855万円)と⼤都市が続いた。--略---
投稿: とだ-k | 2017/02/12 16:32
商工会賀詞交歓会」中身の濃いいくつかのテーマを話されました。町の活性化に関しても少しでも多くの町民が参加を意識するような仕組みづくりに苦労されています。
投稿: とだ-k | 2017/02/12 16:41
とだ-k様
ふるさと納税の件、愛知県は多くの自治体で赤字となっているようです。寄付をいただけることは本当にありがたいことだと思います。ただ、ご指摘の通り正味の収入はそれほど多くはありません。
お話した内容について温かいご理解をいただきありがとうございます。外部から企業を誘致したりするのも、もちろん雇用を生み、活性化の一助になりますが、大事なのはそこに住みまた事業を営む住民自身が能力を発揮し価値を生み出し、仕事を興し発展させることだと思います。みんながまちづくりに自分事として参画し活躍するまちが元気なまちだと思います。
投稿: 神谷明彦 | 2017/02/20 15:33
各国の人たちがそれぞれの国の企業のトップ評価で日本はダントツの最下位とか------
トップの社内外へ発信する努力がチェックされている?のでしょうか。
下記新聞記事です。どこのブログにコメントしていいのかわからなくて、ここにコメントします。
信頼されない日本のCEO 編集委員 西條都夫
2017/2/28付 日本経済新聞 朝刊
日本の経営者にとって、衝撃的な数字が手元にある。世界有数のPR会社、米エデルマンが毎年世界28カ国で実施する「トラストバロメーター(信頼度指標)」。各国で成人1千人強を対象に「あなたは政府やメディアを信頼していますか」を尋ねる世論調査だが、その中に最高経営責任者(CEO)の信頼度についての質問もある。
その最新の結果を国別に並べると、日本はなんと最下位で、「CEOは信頼できる」と答えた回答者はわずか18%にとどまった。ちなみに1位はインドの70%。---略----
エデルマン日本法人のロス・ローブリー社長の仮説はこうだ。「日本の経営トップが何を考え、何をしているのか、一般の社員や社会が目の当たりにする機会が諸外国に比べて少ない。このvisibility(可視性)の低さが、信頼の低さにつながっているのではないか」――。確かに露出の少ない、なじみのない人間に対して、人々が親近感を抱いたり、その人のリーダーシップに信頼を寄せたりすることはまれだろう。--略---
投稿: とだ-k | 2017/02/28 18:04
ではどうして可視性が低いのでしょうか? また、なぜ発信する努力をしないのか?
責任不在のヨコ並び集団体制と無関係ではないのでしょうか?
投稿: 神谷明彦 | 2017/03/02 02:57