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2017/04/27

ぎふメディアコスモスで開催された「フォーラム 次世代型図書館 岐阜市立図書館の目指すカタチ」のレポート

平成28年12月10日に“みんなの森 ぎふメディアコスモス”で開催された「フォーラム 次世代型図書館 岐阜市立図書館の目指すカタチ」のレポートです。
(長い間、書きかけで放ってあったので、ちょっと記憶があいまいになっています。あしからず。)

次のような出演者と内容で、岐阜市立中央図書館の一年の歩みを振り返るとともに、全国的にも先駆的な取り組みを展開している他の図書館の事例を紐解き、次世代型図書館のあり方を考えるフォーラムです。

 日 時: 平成28年12月10日(土)午後1時~午後3時
 場 所: みんなの森 ぎふメディアコスモス 1階 みんなのホール

 出演者: コーディネーター 糸賀 雅児 氏(慶応大学教授 図書館・情報学)
 パネリスト:  猪谷 千香 氏(文筆家)
          嶋田 学  氏(瀬戸内市民図書館長)
          加藤 伸也 氏(武蔵野プレイス館長)
          吉成 信夫 氏(岐阜市立図書館長)

 内 容: 開催テーマ「滞在型図書館のこれから。複合から融合へ」
  ① 事例発表(瀬戸内市民図書館、武蔵野プレイス、岐阜市立図書館)
  ② パネルディスカッション

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以下は、当日聞き取ったメモの要約です。

 

 教育長のあいさつ

メディコス1周年。戦争直後(初代館長 金森徳次郎のころ)は総理大臣よりも国立国会図書館の館長の給料の方が高かった。図書館は市民参画や人の集まる場。国が文化をつくる時代ではない。きょうは論客同士、図書館のさらなるレベルアップのために、ホットな議論を期待する。

 

 瀬戸内市民図書館「もみわ広場」(嶋田学 館長)

瀬戸内市は3つのまちが合併して、今は人口3.8万人。竹久夢二の生誕地、長船刀、牛窓(東洋のエーゲ海)で有名。

図書館は平成28年6月オープン。メインコンセプトは、もちより、みつけ、わけあう・・・情報を集めてシェアする・・・それで「もみわ」になった。
7つの指針は、
 1.市民が夢を語り、可能性を拡げる広場
 2.コミュニティづくりに役立つ広場
 3.子どもの成長を支え、子育てを応援する広場
 4.高齢者の輝きを大事にする広場
 5.文化・芸術との出会いを生む広場
 6.すべての人の居場所としての広場
 7.瀬戸内市の魅力を発見し、発信する広場
公民館、図書館の間にオリーブの庭がある。対読・静寂読書室、出土土器の床下展示、糸あやつり人形の舞台、1階に文学・くらし・子どもの図書、その他は2階に。
セットちゃんもいたりする。

 

 武蔵野プレイス(加藤伸也 館長)

武蔵野市の市立図書館として、中央図書館、吉祥寺図書館、武蔵野プレイスの3館がある。
ひと・まち・情報創造館として平成23年7月にオープン。13万人が来る。
JR中央線高架化に伴い武蔵境駅南口広場にできた。地上4階・地下3階で延床9800㎡。
4つの機能(「図書館機能」をはじめとして「生涯学習支援」「市民活動支援」「青少年活動支援」)を持ち、人の出会い、交流、そして文化をつくる。
図書14.5万冊。生涯学習・市民活動・青少年活動を支援。大学や企業と連携、交流と情報交換、中高生の快適な居場所+社会との関わりを学ぶ場所。仕切りなしで、ぬくもりのある内装。
 4階フォーラム(スタジオ機能・有料ワーキングデスク)
 3階ワークラウンジ(打ち合わせ・コミュニケーション・OA機器)
 2階~地下2階(図書館、1階にカフェ・雑談 一般蔵書7.2万冊、利用者が各階で混ざる構造、シェフ・ソムリエ講座など、NPOなどの活動拠点も)

 

 岐阜市立図書館(吉成信夫 館長)

図書館は屋根のついた公園。本が人とまちをつなぐ。
こんな市街地に岐阜大学医学部の跡地があったのはラッキー。
メディアコスモスは、平成16年から計画を練って、伊東豊雄さんがプロポーザルで建築をとって、館長は公募で自分が選ばれた。以前の図書館と比べると10倍規模。中心市街地の中で、新しい人の対流をどう生むかだ。
1年で123万人が来た。みんなの森の「みんな」とは何か?・・・ひとつひとつの関係を集めて・・・。
40歳以下の利用が29.7%から53.3%になった(7~12歳が特に増えた)。子どもの声は未来の声! 子どもたちを応援して見守りたい。居場所“Third Place”だ。子どもたちがザワザワしていても周囲は微笑ましく。同時に、親子は公共のマナーを守ろう。お互いさまで過ごす。「親子のグローブ」は、靴を脱いで居間のようだ。

滞在型図書館というコンセプト・・・、
開館の前に職員73人の前でモットーを話した。ライバルはビレッジバンガード。能率手帳(機能手帳)からほぼ日手帳(なんでもあり)へ。
 ・ここにいることが気持ちいい。
 ・何度でも来たくなる
 ・いつまでもここに居たくなる。

みんなで朝のブックトーク・・・
毎日朝礼で、司書が好きな本を紹介する。最後に館長が感想を言う。そうすることで、お互いの考えがわかった。オープン前にはみんなでワークショップをやった。

さまざまな新しい試み・・・
 ・児童図書をディスプレイ(今まで来たことのない層に対して訴求)。
 ・書架に本を紹介するポップ
 ・点字ブロック、市民がつくる本棚
 ・わんこカート

 ・おとなの夜学
 ・著者に会いたいtupera★tupera
 ・たからものmap(図書館周辺のお茶、ランチの案内)
 ・ラジオ局(子どもが台本をつくる)
 ・YA掲示板(中高生と司書をつなぐ、居場所の交流、社会の窓口、猥談も返す)
 ・学校との連携
 ・ぎふまちライブラリー
 ・テニテオイルミナード(13万球、来年1月29日まで)
図表1枚ですべてを表す。まちの中に開く。ビジネス支援も。
デザインできる司書・歌って踊れる司書がこれから欲しい。

 

以下、糸賀さんがコーディネーターで、猪谷、嶋田、加藤、吉成さんをパネリストとして、パネルディスカッション。

猪谷さんが、滞在型図書館的なものの例をいくつか紹介。
佐賀県伊万里市民図書館は、人口5万人で、図書館ボランティア400人。20年たっているけど新しい。設計から市民ヒアリング・・・ミシン、アイロンのための壁コンセント(布の絵本作りのため)を装備。高齢者の居場所としても。
島根県海士町は、2400人のうち1割がIターン。「ないものはない」と言い切る。島まるごと図書館構想。戻って来てもらうには人材育成。そのためには図書館が大事。ライブラリーカフェもある。
富山県舟橋村は、駅舎と一緒の図書館が有名。日本一狭い村。子ども人口21.8%は日本一。子連れにやさしい図書館として、必ず声掛け、名前も聞いて、館長が特徴をメモして覚える。読み聞かせは村長もやる。
岩手県紫波町オガールは、広大な町有地をPPPで開発。BBQ芝生広場で交流。広場で結婚式。補助金を入れていないから、天井がないなどコストカットの自由度がある。
鎌倉市図書館のツイートは、まさにサードプレイスだ。

吉成さんからは、メディアコスモスでの実践を通じた経験談。
図書館でイベントが多いと、交流・コミュニケーションを多発する。「ここは大人は座れません」は、武蔵野プレイスを参考にした。相談員を置いて、年齢の上下の交流。中高生が背伸びしながら大人と話せる回路がある。ハラルのパン屋も複合施設の場の有効利用に。
図書館が(地味な観光まで)すべての機能のつなぎ役になることがこの年になってわかった。では、つなぎ手をどう生成するか? 市民メディアであるFMを持っていると、求心力がある。
子どもは面白い。深めたいと思ったらトコトンやる。大人が引っ張られる。子ども司書を連れて舟橋村まで向かうバスの中で館長を泣かすまで質問しようぜと、けしかけた。マイクロライブラリーで大人司書をつくる。それが、自治、市民力、ソーシャルキャピタルになる。地域とつながる職員が必要だ。
展示グローブは、普通は県の非行防止ポスターだらけ。それをはがして6分割し、司書からのメッセージを展示した。自分たちで問題意識を持つ必要がある。

まとめ: 参加者の言っていたこと、それぞれ言い方は違ったけれども何となく共通していた気がする。すなわち、図書館職員はカウンターの貸し出し係とかレファレンス係じゃなくって、オールラウンドの仕事人としてもっと市民の中に飛び出していかなくてはならない。
図書館は、社会教育の場としてだけでなく、学校教育、子育て、福祉、地域の交流の場でもある。近年、自治体経営の中で図書館が注目されているのは、図書館が地方自治の中で全方位的に市民が集える(市民と親和性の高い)センターとしての底知れぬポテンシャルを秘めているからだと思う。

 

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