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2017/07/11

月刊「ソトコト」編集長 指出一正さんの講演

5月に、地域問題研究所の市町村ゼミナールで、「地方の魅力を編集し、発信すると何が起こる?」と題した、月刊「ソトコト」編集長 指出一正さん(47歳)の講演がありました。

指出さんについては、「ソトコト編集長」で検索するとたくさんの記事が出てきます。
 http://www.j-wave.co.jp/blog/news/2017/03/post-3314.html
 https://www.70seeds.jp/sotokoto-225/
 http://news.mynavi.jp/kikaku/2017/01/06/003/
 http://news.mynavi.jp/kikaku/2017/01/13/001/

講演では、指出ワールドが炸裂。指出さん特有の口調と雰囲気で、事例を次々に紹介。実際に、地方体験、山体験をしないと、こういう話しは出てこないと感じます。以下は、そのラフな要約メモです。

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自分が「ソトコト」の編集長になって、「これを知らないとノッテいけないよ」みたいな空々しいクラシックなメディアによるライフスタイルの提案はやめた。いわゆる「編集者」をやめた。
東京は週2日のみ。自分をレンタルで貸し出す、レンタル編集長のトークイベントを行っている。講演や対談で全国を回っている。

地方に講演に来た講師がよく言う「また来る」はウソばっかし。でも、自分は(年1回かもしれないが)必ず行く。今、全国20ヵ所くらいを定点観測している。
(そういう自分は、一番信用してはいけない地方コンサル的な肩書と風貌なのだが(笑)。)

世の中のスピードから飛び降りて、6年編集長をやった。自分は、かつてはロハスをはやらせた責任者だ。(コロラド州ボルダーのロハス会議に行って、ヨガとマイクロビオティックスをやってればいいみたいな)2次情報は血肉になっていないと今つくづく思う。

バブルの名残で、学生時代は先輩からのタクシーチケットで大学から帰るような生活もしていたが、自分の趣味は、山登りと魚釣。森林生態系はわかり易い。日本には、もう3~4カ所しか本当に豊かな水系がない。
月刊「アウトドア」で、東京的なものが中心な中で、山口の阿武、香川の満濃、津軽の鶴田へ行って、紹介する記事を書いた。

海士町の「僕たちは島で未来を見ることにした」がおもしろい。
島根県は、「新しい移住」「教育移住」「高校魅力化プロジェクト」などを打ち出した。

とさぶし」という高知発のフリーマガジンがある。
地元のことを再発見するのに疲れて諦めている時代。ありきたりの「かつお」「おひろめ」「ビール消費日本一」「坂本竜馬」は、もうやめましょう。また、香川、徳島など隣(ヨコ)を見ても、本当に仲間になってもらいたい若者に届かない。「名物」「タレント」・・・どこにでもあるような幕の内弁当はダメ。
「若い人が好きそう」な「マルシェ」「クラフトビール」・・・のようなウソの前向きは、結局後ろ向き。その場凌ぎはやめよう。
そこで、ウツボを洗濯機で洗う。大勢で皿鉢料理をやる。こんな地元ネタを出すと、大学生や地元のNPOの子たちが「とさぶし おもしろい」となった。それで、「やってみたい」「じゃーやってください」で、年に4刷発行して18号になった。

しまコトアカデミー講座」は、定住政策をやり尽くした中で、定住はしなくていいから、生簀(考えてくれる人)を東京につくりたいという発想で始めた。それで、80人くらいが卒業して、結果として、20%がUIターン、96%が社会性の高い活動をしている。
たとえば、シェアハウス、セレクトショップ、金魚養殖など、広島や奈良や福井でも同様の動きがある。「奥大和アカデミー」は、名古屋と関係人口を作ろうとしている。

里山未来博」は、90万人?が参加、各地域で小さなプロジェクトを手掛けている。隈研吾が休校になった小学校のリノベを手掛け、クラウドファンディングで3800万円集めた。関わることに意味がある。
地元の牡蠣殻やデニムを使うプロジェクトもある。

「ソトコト」は19年続いているが、自分が編集長になってから、スローライフ、ロハスなど、ゆるくおしゃれに環境を考える、そんな“ロハスピープルのための快適生活マガジン”をやめて、“リアルにソーシャル&エコなマガジン”に変えた。社会性のあることを面白がってやるローカルなプレーヤーに出て来てもらうことにした。

真鶴のまちづくり条例(美の基準)は美術の教科書みたいに「実のなる樹木」「すわれる場所」といった表現がある。これは、真鶴には外資によるリゾートマンションは不要との考えで、コンパクトで景観の良いまちづくりを求めたもの。

最近、“スーパースターでないまち”を発見しようとする傾向がある。ローカルにチャンスだ。「自分が見つけた感」が大事だ。

真鶴に「ケニー」という小さなピザ屋がある。これで湯河原のピザーラの売り上げが減った。
アートフェアで空き家がなかったりする。いまは、平屋の汲み取り式が人気。これが格好いいい。
かっこいい、おもしろい、もうかる、がキーワードだ。

桃色ウサヒ」の活動をしている佐藤恒平さんという若者がいる。
通販で3万円で買ったウサギの被り物に、おばちゃんがリンゴのポーチをくれる。おじさんがあさひまちのシールをくれる。
たくさんある中で、どの順番に出していくとタイミングが良いか。地域の人が関わる仕組みを作る。まさに、編集者と作家の関係だ。伝えたい人に伝える場づくりだ。
たとえば、朝日町に空気神社という所がある。届かない人にメッセージを届けるのが編集だ。
忍者ごっこをやるためのゲストハウスをつくる。面白いことをやる人に来てもらう。手裏剣も開発。ガチャガチャで1合200円の米(当たりは天日干し米)が買える。サービスができないのでそれで自炊してもらう。
それで、500円しかもっていなかった農大生が6年暮らしている。そして結婚した。本人は冒険者かもしれないが、その彼と結婚した奥さんの方がよほど冒険だ。彼は、出雲でどんぶり金魚をブランドにしようとしている。

林篤志さんという32歳の人が、遠野でポスト資本主義社会を考えるNext Commons Labという活動がある。彼は、世田谷ものづくり学校土佐山アカデミーをプロデュースする、いわば現代の宮澤賢治だ。
以前は「日本に住んでいる」で済んでたのに、今の20代、30代は6つくらいの社会(Line、Instagram、etc.)に住み、その1つ1つの世界がどんどん薄くなっている。
2005年に生まれた子の平均年齢が107歳になる?という。一番良い時をスポイルしているのでは。だったら、新しい社会を作ろう。
マイクロエコノミーの試みを行政が理解して、遠野が始めた。ネクストコモンズラブの仕組みでマイクロ経済をつくる。遠野、奥大和、加賀や南三陸でも。ロート製薬もバックアップしている。

神山、上勝に続くスーパースターはどこか?
(日本で最後にオオカミが確認されたところ)東吉野オフィスキャンプがおもしろい。クリエイター、写真家、漫画家などしか移住を認めない。坂本大祐さんが番人。クリエイターが合流してドライブがかかる。
村長が夜な夜な飲みに来て、提案が実現するなんて体験を若者はしたことがない。東京よりも面白いことがある。現地でデザインした商品をD&DEPERTMENT 、なかがわ商店で売っている。東京でつくっていない。ローカルで発信している。

徳島県上勝町の雑貨&クラフトビールRISE&WINは、wasteでできた家、限りなく社会問題をミーハーに語る。現美新幹線をプロデュースしたトランジットジェネラルオフィスや、イギリスのアッセンブルが、上勝で社会課題を建築で解決することに挑戦している。

東京から一番遠い市と言われる島根県江津市のビジネスプランコンテスト。岡山県真庭市のカフェ&ベーカリー タルマーリーは、地元の小学生に壁を作ってもらって地元の愛着のあるモノにしたかったそうだ。
デザインオフィス「SUKIMONO」の下平さんは、東京やニューヨークでは新しいテクノロジーや素材はあるが、人との関係は得られないし、地元を学ぶ関係性がないと言う。東京みたいな資本主義とかに固着されていない社会に住んでいる。
マクロビオティックの料理とガチガチのハード系のパン。これはローカルニッチに向いていた。これだけが目標のイベントに加えて、他に何か体験できればオマケになる。
江津に行ったら50人の人をSNSで紹介してくれた。蔵庭を応援したいからということで30人が集まる。

人口30~40万人のまちに住んでいる人は、実は東京に住みたいのだけど、安く住みたいからそこにいる人。だとしたら、寝に帰るだけの人口は本当に必要か?
今の課題がわかっている行政マンにとって、数よりも粒が大事。関わり代のあるまち、必要な人の関わるまちこそが、目指すべきものではないか。

高崎市のケルナー広場は、市が1億円でつくった怪我をしそうな遊具広場だ。
(群馬県はブランドランキングで47位。なぜか群馬県のプロモーションビデオには県民が出てこない。)
アメリカからエリック・カール(腹ペコ青虫の作者)を高崎に呼んだことのある絵本屋のおばさんが、ドイツからハンス・ゲオルグ・ケルナーを呼ぼうとしたが、初めは断られた。そこを何とか頼んで、来てもらった。
失敗できない遊具は子どもたちをダメにする。公園に自他の違いを感じられる遊具が欲しい。ケルナー広場の遊具は、一見危険に見えるが、それでいて欧州の厳しい遊具基準をクリアしている。
ケルナー広場には、「親愛なるお父さんお母さん。ここからは子どもの大事な時間です。何も子どもに言わないでください。」と書いてある。一日の間で、まちに一番長く滞在しているのは、お母さんたちと子どもたちだ。2016年3月にオープンして、1ヶ月で3万人以上が来た。市民が自ら関われないと自治にはならない。

その他に、

・「パーリー建築」で皆がパーティ。
https://readyfor.jp/projects/party-architecture
https://www.facebook.com/pticpartic/
http://greenz.jp/2016/08/12/pticpartic/

・ペンターン女子
http://pen-turn.com/

・西粟倉村ローカルベンチャー
http://guruguru.jp/nishihour/lvs
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/sousei/meeting/chiiki_shigoto/h28-02-07-siryou3-5.pdf#search=%27%E8%A5%BF%E7%B2%9F%E5%80%89%E6%9D%91+%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%83%99%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC%27

・シマントモリモリ団
https://www.facebook.com/shimantomorimoridan/

・ソーシャルな芋煮会・・・真室川 森の家
http://www.morinoie.com/imofes/

なども、簡単に紹介。

そして、最後にこう結んだ。

新しい地方を編集し、発信するソーシャルな視点
・関係人口を増やす
・未来をつくっている手応え
・「自分ごと」として楽しい

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コメント

最近、内山節氏の本を読むようになって見つけた地域雑誌です。薄いですが、興味ある記事が多いですよ。
HPを載せておきます。
http://www.kagaribi.co.jp/

投稿: 大西一矢 | 2017/07/13 08:54

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