第18回 介護保険推進全国サミットinいわぬま へ行ってきました。
眼下に黄金色の水田が広がっています。この海岸線が津波に呑み込まれたのは6年半前のことでした。
宮城県岩沼市は復興のトップランナーと言われています。その岩沼市で開催された介護保険推進全国サミットに参加しました。テーマは『地域共生社会へ向けて ―環境や人づくりによる「地域包括ケアシステム」の推進―』です。
“地域共生社会の実現を目指す地域づくりとは”と題したパネルディスカッションでは、亀井俊克 名張市長から、名張市では平成15年に「全ての市民の社会参加がかなう互助共生のまち」を掲げ、市内14地域に対する補助金を使途自由な一括交付金化、区長制度を廃止し基礎的コミュニティからなる地域づくり組織に整理、平成24年には各地区の地域ビジョンを策定、各地区で防犯・防災・子育て・教育・環境美化・観光などの取り組みをしており、市としても「まちの保健室」「名張版ネウボラ」「教福連携」などに取り組んでいるとのお話しがありました。
震災復興過程における取組の報告会では、菊地啓夫 岩沼市長と伊丹市、福岡市、雲南市から派遣され復興事業に携わった3名の行政職員から、それぞれの分野における復興の考え方と実際について報告がありました。2~3年の長期派遣で腰を据えて地域住民とともに復興に携わる多くの自治体職員ががんばっています。
分科会では、“地域住民との協働でつくる地域福祉のあるべきサービス像”を考えるパネルディスカッションで、坂本昭文 前鳥取県南部町長、吉岡初浩 愛知県高浜市長、松本武洋 埼玉県和光市長のお話しを聴くことができました。コミュニティケア会議やネウボラなどの取り組みで知られる和光市では、自治会の組織率が4割。地域の結びつきが弱く、地域の人同士が知り合うきっかけのない中で、地区社協のイベントが意味を持つ。市長自身も団地のまつりから地域に興味を持つようになったと仰っていました。
特別講演では、39歳でアルツハイマー型認知症と診断され、職場の理解を得て現在も自動車ディーラーに勤務されている丹野智文さんから、薬の副作用のことや、社長の顔も忘れる状態の中で職場で仕事の段取りを忘れないための工夫など、当事者でなければわからない日々の様子を聴くことができました。会場からの「感動したので是非岩手県でも講演してほしい」との声に対して、丹野さんが「話すことによって自分も救われる。だから、地元の当事者の方にお話ししてもらうのが一番良い。地元で話してくれる人を見つけ出すことが大切。」と答えられたのを聴いて、私もさらに感動しました。
来年の介護保険推進全国サミットは、愛知県の長久手市で開催されます。ころばぬ先の杖(開催地を受け継ぐバトンのようなもの)を受け取った吉田一平 長久手市長は、「何でもお金で解決するまちから、『たつせがあるまち』に変えていく。早くキチンと白黒つける役所文化から、だいたい、ほどほど、まあまあ、てきとう、多様性を認めて共生していくことが大事。」と挨拶されました。
帰り掛けに、東日本大震災で特に甚大な被害を受けた6地区の集団移転先として新たにまちづくりが進められた玉浦西地区、復旧された海岸堤防、復旧された貞山掘の河川堤防、嵩上げ道路、千年希望の丘を巡って、空港へと向かいました。岩沼市の津波対策の考え方は、高台移転ではなく、地域コミュニティを重視し同じ旧村内で少し内陸に入った水田地帯に大型店舗を含む20ha、300戸以上の新たな市街地をつくり、+7.2mの海岸堤防、+3.7mの河川堤防、+5m程度の嵩上げ道路などの堤と、ガレキを積んで造った+11m程の15基の丘により津波を和らげる減災、多重防御です。
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コメント
"介護保険"で全国の首長さんが集まって討論する!!!お金のでどころを握っているのは確かに自治体でしょうが、、、ご尽力は多とします。介護を含めてあまりに自治体で議論するテーマは多いですね。介護現場で働いている人たちは日々仕事をこなすだけで手一杯なのでしょうか。全国レベルでなくてもこれらの人たちが自分たちの職場改善をお互いに議論し合う仕組みはどの程度できているのでしょうか。大きな補助が国や自治体から出されています。しかし給与等の賃金は過酷な仕事の割に低いことがしばしば報道されます。介護当事者(施設側)(被雇用者側)それぞれ制度改善、職場改善の検討はどの程度行われているのでしょうか。少しでも関連部署の意思疎通改善が進んでほしいと思います。
投稿: | 2017/10/10 23:46
名前不在で送信しました
投稿: とだ-k | 2017/10/10 23:47
とだ-k様
確かに介護従事者の待遇の上に介護保険制度が成り立っているという面はあると思います。同様に保険報酬が決められているものに医療費があります。
投稿: 神谷明彦 | 2017/11/30 08:18