小規模多機能自治推進ネットワーク会議 平成30年度総会関連研修会の「小規模多機能自治の集い」に参加
小規模多機能自治推進ネットワーク会議は、島根県雲南市、三重県伊賀市、三重県名張市、兵庫県朝来市の4市が発起人となり、平成27年2月に142団体(うち地方公共団体140)で設立されたネットワーク。代表は速水雄一 雲南市長。現在は242の自治体を含む284の個人や団体が加入しています。東浦町も平成27年に加入しています。
小規模多機能自治推進ネットワーク会議では、
①小規模多機能自治組織の組織化や拠点づくり、人材の育成確保など、
進度に応じた対応策について情報共有
②必要に応じて、財政面、税制面、規制麺、法制度などについて政策提言
③メーリングリストによる情報交換やfacebookページによる情報発信と共有
④小規模多機能自治の基盤となる制度の整備を目的として、
全国各地でブロック会議を開催
など、「小規模ながらも、様々な機能を持った、住民自治の仕組み」を全国に普及推進する取り組みを行っています。
今回初めて出席しましたが、首長の出る会議というよりは、地域自治組織に関わる熱意ある地方自治体職員の勉強・連携の場という雰囲気でした。決して中山間部の自治体だけの集まりではなく都市部の自治体も多く加入しており、各自治体とも、持続可能なまちづくりを進めるには地域の住民自治の発展が欠かせないとの認識を強く持っていると感じました。今後、東浦町からも複数の職員を参加させるべきだと思います。
6月5日の小規模多機能自治の集いでは、事務局の雲南市地域振興課長 板持周治氏から「平成29年度の振返りと平成30年度の見通し」について、IIHOE(人と組織と地球のための国際研究所)代表兼 ソシオマネジメント編集発行人の河北秀人氏から「続・小規模多機能自治:地域経営の始め方・進め方・育て方」についてレクチャーがあり、その後、富山県南砺市、長崎県長崎市、秋田県南NPOセンター、里山暮らしLABOから事例発表がありました。テーマ別ミニ分科会で意見交換を行った後に、交流会もありました。
これらの中で、川北氏のレクチャーと里山暮らしLABOの事例発表の内容の一部を報告します。川北氏は小規模多機能自治の仕組みづくりと人材育成のために、全国の自治体を回って講演・指導をしています。
→http://blog.canpan.info/iihoe/archive/381
●川北秀人氏レクチャー「続・小規模多機能自治: 地域経営の始め方・進め方・育て方」
まちの力は、人口密度よりも人「交」密度。すなわち関係密度が重要だ。
これまで、高度成長期に家族と企業が支えていたものが一気に崩れた。世帯と働き方の変化が大きい。
第2次産業から第3次産業へのシフトで、平日の夜も、休みの日も働く人が増えた。医療や福祉の業界もそうだ。だから、地域の会議もできない。地域づくりの在り方を変えざるを得ない。
自治とは自分たちで決めて自分たちで担うこと。問題は、行事を担う力はあるが、決める力がないことだ。
だから、自分たちで決める材料のつくり方を学ぶ。決めないのも自治だが、「決めない」と決めたところから、変えたい人、決めたい人が去っていくことを覚悟すべきだ。
人口よりも課題が増える時代なのだから、「~してみる」にやさしくならねばならない。頭も心も柔らかくならねばならない。
「~したい」だけでなく、5年後にどうなるのかを先回りして考えるのが経営だ。
市町村では、住民同士の学びあい(自慢大会(雲南市では14回実施)と円卓会議)をさっさとやる。
モノと金が足りなければ、地区間の物品シェアなども考える。運動会を避難訓練と合同でやってみるとか、運動会を体育館でやってみる。
チェック表を住民に配って、行事・会議・組織の棚卸をする。地域でLINEで情報交換。
全住民(全戸ではない、中学生以上全員に。)のアンケート調査もする。雲南市飯石では93%が回答した。
アンケートをしたら、「男の料理教室はもう要らない」「高齢者は敬老会を要らないと思っている」「若い世代は婚活が要らない」など全年齢で面白い結果となった
一戸一票制では、じいさんの意見しか出ない。自分の意見が反映されない活動には誰も出て来ない。
これまでは、75歳前後の地域の役員になるような人が増えてきたが、これからはそれさえも減っていく。(85歳以上の人が増える。)
高齢者の生活支援は、8割が女性の一人暮らし。したがって、女性の生活をどう支えるか判断できる人が役員になるべきだ。意思決定の場に、今の女性比率は低く過ぎる。
地方自治体は、要介護1人につき約42万円?の支出。春日井市で7億円?必要。これを住民税で賄おうとすれば、100億円以上の所得増が必要だ。
まさに地域経営。地域の役員の決め方は行政が口を出すべきだし、地域自治組織の全国研修もやるべきだ。
行政は集計しても分析しない。行政は、中長期のシナリオを10~15年先まで持っていなければならないと思う。
●里山暮らしLABOの事例発表
地域デザインカレッジを受講した静岡県庁の若手職員が、ボランティアで静岡市山間部の清沢地区に入って、地域づくりの手伝いをしている。県では農業振興の部署にいたが、担当が変わるたびに地域の人たちを裏切ったとの思いをしてきた。人事異動に影響されない自分の活動をしたいと思って、ボランティアで地域に入った。本職は平日にしている。
まず全住民にアンケートを取ったら、イベントよりも生活支援をすべきだとの結果が出た。
世代間の違いをテーマにワークショップを仕掛けて、この地区の7大行事の事業仕分けをやった。自治とりくみ発表(地域自治組織の自慢大会)をやって、市内97ヵ所?の自治会に配布したら、市の姿勢が大きく変わった。
第三者の影響はあるが、結局、地域を変えられるのは地域の人だけだと思う。
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