今日は中学校の卒業式
西部中学校の卒業式に出席しました。PTA会長さんの祝辞がとても良かったので紹介します。日本国憲法を引き合いに出して個人の尊厳や幸福を説いています。
卒業生の皆さん、保護者の皆様、本日は御卒業おめでとうございます。
今日こうして64名の生徒が無事卒業を迎えられますのも、厳しくも愛情をもって熱心に御指導していただいた増田校長先生始め先生方、温かく見守り支えてくださった地域の方々、来賓の方々のおかげであると、卒業生の保護者を代表して、心より感謝申し上げます。
さて、卒業生の皆さん、本日をもって義務教育課程修了となるわけですが、この義務教育というのは、どこで決まっているかご存知でしょうか。直接的なことは学校教育法、基本的な部分は教育基本法、そして根本は、日本国憲法に根拠があります。
憲法といいますと、小学校でも中学校でも学んできたわけですが、どのような印象をお持ちでしょうか。
堅苦しい言葉で書かれていて、親しみが持てない。冷たい感じがする。そんな印象をお持ちかもしれません。
しかし憲法には、義務教育のほかにも、学問の自由や表現の自由、国家権力の乱用を防止するため、異なる機関に分散させ互いに牽制させる権力分立といった考え方が書かれています。
こうした憲法の基本的な考え方というのは、我々人類が社会システムを構築するようになって以来、様々な苦難を経験しながら獲得してきた成果であって、そこには先人たちの温かい血が通っています。
皆さんは小学校の行事で、スマップの「世界に一つだけの花」という曲を歌ったことがあると思いますが、覚えていますでしょうか。サビの歌詞はこんな風です。
「そうさ僕らは、世界に一つだけの花、一人一人違う種を持つ。その花を咲かせることだけに一生懸命になればいい。ナンバーワンにはならなくてもいい。もともと特別なオンリーワン。」この歌詞は、憲法が最も大切と考える個人の尊厳について、非常によく言い表しています。個人の尊厳については憲法第十三条にこう書かれています。「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、立法その他国政の上で、最大の尊重を必要とする。」
ここで重要なのは、「幸福に対する権利」ではなく、「幸福追求に対する権利」とある点です。何か客観的に決まった幸福というものがあるわけではなく、幸福の形は人それぞれ違っていて、そこに優劣はなく、いずれの幸福も負けず劣らずキラキラと輝いている。その輝いているそれぞれの幸福に向かって、それぞれが一生懸命頑張るのを最大限尊重する。憲法にはそう書かれています。
皆さんはこれから、新しいステージで、それぞれの幸福に向かって一生懸命頑張っていくことになります。どうしようもない困難にぶつかって、もうこれ以上頑張ることができない。そんな風に感じたときは、遠慮なく、周りの人たちに助けを求めてください。
今日も多くの方々が、皆さんを祝福するために集まってくれています。お父さん、お母さん、学校、地域、東浦町、愛知県、そしてこの国が、皆さんが頑張るのを応援しています。皆さんが困ったとき、力になってくれる人たちが必ずいます。皆さんは、一人の例外もなく、全員が、一人一人が、かけがえのない個人として尊重される、もともと特別なオンリーワンです。
周りの人たちに支えられながら、それぞれの幸福に、夢に向かって、その持てる力を、思う存分、発揮してほしいと思います。そしていつの日か、皆さん一人一人が、それぞれのタイミングで、それぞれ違った、世界に一つだけの花を咲かせるのを楽しみにしています。
本日は誠におめでとうございます。
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コメント
以前東浦出身の在米のジャーナリスト日高義樹さんが東浦中学校で講演されたときに生徒の私語が多く怒ってお話を止めて帰られたことを聞いています。中高校で先生の講義中に私語が多いのは何十年も前からでした。現在、生徒が先生たち、来賓の方のお話を聞く態度はどのようでしょうか。
投稿: とだ-k | 2019/03/07 21:50
とだ-k様
どこも静かに聞いてますよ。特に西部中学校は以前から整然としています。
数年前までは、マンモス校である東浦中学校が落ち着きがありませんでしたが、今は至って静粛です。落ち着いてきたのは良いことでもありますが、中学生がおとなしいのは全国的な傾向のようです。
成人式もかつてのように騒がしくて話しができないようなことはありません。
投稿: 神谷明彦 | 2019/03/17 20:18