8月中旬に開催された「いきいきファミリーファスタ」は今年で17回目。更生保護女性会が「社会を明るくする運動」の一環で企画・運営している夏休みの子ども向けの行事です。オープニングセレモニーではSPGチアダンスプロジェクトのパフォーマンスがありました。このあと「一緒につくってあそぼう!」が始まります。更生保護女性会では、罪を犯した人の社会復帰を支援する、青少年の健全育成を進める、地域の子育てを支援する、の3つを柱とした活動をしています。



更生保護女性会は、このほかにも、中学生の作文発表会、地区フイルムフォーラム、少年院や更生施設への慰問、保護司との交流会、社会啓発セミナー等の活動をしています。
以下は、ことし東浦の更生保護女性会の広報紙への寄稿を頼まれて私が寄せた挨拶文です。教育と互いの信頼について書かせていただきました。
むごい教育とは
若い頃、山岡荘八の徳川家康を読んだことがあります。とても長編なので最初の三巻に限って読みました。幼少期の物語が特におもしろいと聞いていたからです。今でも印象に残っているのに、こんなエピソードがあります。
幼い頃の家康(竹千代)が今川家に人質に取られているときに、今川義元は、竹千代には「むごい教育をせよ」と家臣に対して命じます。家臣は、むごい教育とは、粗末な食事を与え、辛く厳しく育てることと考えました。
ところが、義元は家臣に「美食を与え、望むとおりにさせろ。そうすれば、たいていの人間は駄目になる。」と言ったのです。子どもを育てるのには周囲の愛情が欠かせません。しかし、それは贅沢をさせ、辛抱することなく我儘に育てることとは違います。当たり前の制約があるからこそ、人は自分で情報を集め、判断し、失敗に学ぶ工夫をします。また、思い遣りも身につきます。むごい教育とは、本人の自立、成長を阻む教育です。
もう一つエピソードを覚えています。竹千代に論語を説く雪斎禅師が「国家には食と兵と信が必要だが、3つとも叶えられないときはどれを捨てるか。」と尋ねます。すると竹千代は「兵を捨てます。」と答えます。それでは「食と信のうちならどちらを捨てるか。」と聞かれる場面があります。これは難しい選択です。雪斎は「食があっても信なくば、食を奪い合って血みどろの戦いとなるだろう。信じ合えるが故に人間なのだ。」と竹千代を諭します。
更生保護女性会は、人間尊重と、お互いに他を思いあい、連帯しながら、だれもが心豊かに生きられる明るい社会づくりをめざしています。お互いをひとりの人間として認め合い、信頼しながら共に成長することの大切さを改めて深く認識したいものです。
東浦町長 神谷明彦
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