上勝、神山へ・・・徳島を旅してきました。(その1 上勝編)
休みを取って徳島を旅してきました。行ったのは上勝町と神山町です。剣山に連なる四国山地に抱かれた山里です。上勝と言えば、ゼロウェイスト宣言と葉っぱビジネスのいろどりで有名なまちです。
上勝町は2003年に全国に先駆けてゼロ・ウェイスト宣言をしました。ゼロウェイスト宣言とは、ごみの再利用・再資源化を進めるだけでなく、ごみを減らして2020年までにごみをゼロにしようという決意です。もともと野焼きでごみを処理していた上勝町は、莫大なコストを掛けて焼却場や最終処分場を造ることよりも、焼却・埋め立てに頼らないでごみそのものをなくすことを決断しました。以来、上勝町はごみを45品目に分別し、町内1ヶ所のごみステーションに各自が持ち込む方式を採用。割り箸や金属製キャップ、同じ紙でも紙カップやトイレットペーパーの芯などとても細かく分別しています。質の高い分別をすることによって全国でもトップクラスの約8割のリサイクル率を誇っています。自分でごみ出しのできない高齢者等のためには2ヶ月に1回の訪問回収があるそうです。生ゴミは収集せずに各戸で堆肥化をします。
ちょうど、新しいごみステーションと交流・宿泊機能を持つ複合施設「WHY」を建設中でした。町内飲食店などのブランド化を目論むゼロ・ウェイスト認証制度もあります。
建設中の複合施設の隣には町のゼロウェイストを推進してきたNPOゼロ・ウェイストアカデミーの事務所があって、鯉のぼりでジャケットをつくったり、廃品を小物に蘇らせる事業もしています。理事長さんは講演で海外に出掛けているとのことでした。
3セクで運営している月ヶ谷温泉の最上階には株式会社いろどりの事務所があります。1980年代当時、農協の農業指導員だった現社長の横石氏が、ミカンに代わる産業として山の資源に目をつけ、採取した葉や花をつまものとして出荷するビジネスを始めました。自費で関西の料亭に通い、つまもののニーズや使途を勉強した結果、需給に即した商品出荷ができるようになりました。
㈱いろどりは、毎日、葉っぱの需要予測を立て、生産者に提供、生産者は㈱いろどりからの情報に基づき計画的に農協に出荷します。これらの情報はネットワーク上でパソコンやタブレットを使ってやりとりされていて、営業成績もリアルタイムでわかるなどやる気を引き出す仕組みにもなっています。生産者の多くは高齢の女性で、年収1000万円稼ぐ人もいるなど、高齢化の進んだ人口1500人程の山間地におけるビジネスの成功例として全国的に注目されています。
町内には、洒落たカフェもあったりします。ランチメニューも凝っています。窓際にセイタカアワダチソウやセンダングサ等の雑草が置いてありましたが、これらは花の部分を上で縛って自然の茎の曲りを楽しむ"スローフラワー”のワークショップをするためのものだそうです。この店はゼロ・ウェイスト認定を受けています。
こちらは、映画「人生、いろどり」のロケ地にもなった雑貨店。いまは懐かしの歌謡喫茶のような感じになっています。
こちらは、インパクトのある建築と、量り売りの商店から地元産の柑橘類などのフレーバーを加えたバラエティーに富むクラフトビールの作り手となった独自のスタイルが、雑誌などで全国的に紹介されている RISE & WIN Brewing Co. BBQ & General Store。前長町に相談を持ちかけられた徳島市の衛生検査会社のオーナーが、知人の協力を得ながら創業したブルワリーです。解体される建物から取り外した建具を再利用してつくった巨大な窓や空き瓶でさりげなくできたシャンデリアのある中で、物販と醸造と飲食をやっています。昔の地ビールブームが去った後で、近年、各地でポートランド張り?のクラフトビールが生まれています。
料理をつくってくれた店長さんは東京からの移住、見学の高校生に説明している女性は三重県出身だそうです。傷が付いたりして売れなくなった農作物をレスキューしてあげるという言い方が印象的でした。お客さんも関西をはじめ全国各地から来るそうです。徳島県・上勝町は若者の移住のPRにも力を入れています。
山の上に上がると棚田の見えるところがあったり、上勝アートプロジェクトの野外作品があったりします。よく見ると荒れた田畑も目立ちます。致し方ありませんが、高齢化と言うよりも、耕作者がいなくなると荒れていくようです。
上勝は日本最長の林道「剣山スーパー林道」の東の起点です。この林道から次の目的地神山町に抜けることもできますが、以前の経験からするとかなりハードな山道なので、別の峠を越えて佐那河内村を経由して神山に向かいます。
峠の大河原高原に行く途中には、灌頂の滝やロウソクの明かりで洞窟を巡る修行のできる慈眼寺を見ることができます。道路のすぐ脇に70mもの高さから滝が落ちているところは珍しいと思います。
この続きはまた後日。その2 神山編をお楽しみに。
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