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2019/12/11

景観条例の廃止の提案理由は? 審査の結果は? 12月定例議会経済建設委員会が開催されました。

12月定例議会経済建設委員会が開催されました。経済建設委員会で議題となっている「景観条例の廃止」について、私から冒頭に考えを述べさせていただきました。

 

 景観条例の廃止条例案については、まず、条例案の出し方に疑問を感じます。提案理由に書かれた「必要性が低い」と上程後に理由とされている「行為の制限のある景観計画とは知らなかった」「行き過ぎた行政の指導がある」とは、全くつながっていなくて、そこの説明は依然としてなされていません。

 通常、条例案をつくるには、事前に十分な調査をした上で、根拠や効果を明確にして提出するのが常識ですが、それが全くなされていません。議会には調査・検査する権限や執行に対して質す機能があるにもかかわらず、3年間何をしていたのだろうと言う疑問が生ずるのは当然です。にもかかわらず、上程してから条例の提案理由を探しているのが今回の議員発議の実態ではないでしょうか。

 これを客観的に思慮すると、「(景観形成ガイドブックの配布がなく)行為の制限があるとは知らなかった」「行き過ぎた行政指導がある」等の主張は、今、思いついたと理解することができ、言いがかりのようなものと言えます。先日の本会議の質疑で、廃止議案提出者は「採決前日まで景観条例に反対だった」と答えています。このことからも、景観形成ガイドブックの配布の有無が賛否を左右していないのは明らかです。また、景観形成ガイドブックを配布した後の平成29年6月定例議会の景観条例の一部改正は全会一致で可決されています。

 条例案の出し方として、何の準備もされていない、政策的配慮もされていないのは、常軌を逸しています。議会の今後を考えても悪しき前例となりうるものです。仮に、行政側がこのようないい加減な条例案を出したら即廃案になることでしょう。議員発議といえども許されることではありません。

 そもそも景観計画が「行為の制限のあるもの」であることは、景観計画を見れば一目瞭然です。あたかも知らなかったかのような言い訳がなされていますが、東浦町の景観条例・景観計画が景観を守っていくことの大切さや町を挙げて景観まちづくりに取り組んでいく姿勢を理念として高らかに謳い、大規模行為を届け出制とし、守り育て創っていく景観について行為者と協議して行くものであることは動かしがたい事実です。

 景観まちづくりを進める過程で、住民の意見を聞いていないと言いますが、我々は、7年前から景観行政団体となり、住民参加のワークショップで景観についての話し合いを始め、何年もかけて、住民・有識者からなる景観計画検討委員会や景観まちづくり委員会で丁寧な議論を重ね、シンポジウム、住民懇談会、意見交換会などを織り交ぜながら景観まちづくりを進めています。景観条例制定前にはパブリックコメントも行っています。それを、パブリックコメント手続きも経ることなしに突然全部廃止はあり得ないことです。

 「賛成したときはそんなつもりじゃなかった」といいますが、説明不足を見過ごしたとの理由で、議案を可決後に覆すようなことが頻繁に行われれば、行政は混乱します。議会の意思決定責任を脅かしかねません。そもそも、景観形成ガイドブックは執行責任に委ねられたものであることを付言しておきます。
 また、「過度な行政指導があった」は、万が一にもあったとしても執行の問題であって、「条例を尊重しましょう」と言うことにしかなりません。いずれにしても、条例の廃止には全くつながりません。

 個人宅の壁や屋根の色まで規制されると言った誇張表現が聞かれますが、そもそも東浦町の景観条例・景観計画は強制を強いるものではありませんし、重点区域を設定するには地域住民の合意形成が不可欠です。さらには景観条例・景観計画を改正するには議会の承認も必要です。重点区域の設定を理由として、現景観条例を廃止する理由はありません。

 景観条例の必要性が低いと言いますが、緒川駅周辺では大きな建物ができました。景観に配慮をいただいて町の顔になっている大型店舗は、オープンから半年以上経った今でも客足が絶えません。
 太陽光発電の設置も然りです。これまでは開発業者と何の相談もする手立てがありませんでした。景観条例ができたからこそ、協議が可能となりました。今では事業者と相談しながらソーラーパネルが目立たないよう周囲に植栽等のお願いができるようになりました。しかし、当然のことながら、太陽光発電の行為自体を規制することはできません。これは、まさに景観条例が良好な景観のための協力を求めることはできても、財産権を脅かすことができないことを物語っています。

 住民の皆さんの中には、自分の敷地では好きなことをやりたいと思う、一方で、近隣は自分の心地よい環境を保ちたいという想いが拮抗しがちです。その双方を両立させることはとても難しいことであり、まちづくりの大きな課題でもあります。そこに少しでも配慮する機会を設けて、緩く折り合いを付けていこうとするのが景観まちづくりの考え方です。

 せっかく始まった景観まちづくりの第一歩。これをたった3年でご破算にして良いのでしょうか。一度頓挫したら、二度と当分立ち上げることはできないでしょう。いま景観条例をなくしてはいけません。景観はまちづくりそのものです。今絶やしてはなりません。
 議員の皆さんの賢明なるご審議をお願いします。

 

先日の本会議でもそうでしたが、経済建設委員会の審査においても、廃止条例の提案理由については同じ主張の繰り返しで、合理的理由が示されませんでした。また、行政から景観の届け出行為に関する100件以上に及ぶ膨大な文書を提出させて、4時間半もの検査をしましたが、景観条例を廃止するような根拠は指摘されませんでした。
委員会審査の中で、条例廃止への反対意見として「提案理由として“必要性が低い”は依然として納得できない。景観計画の進め方に問題があるとするならば、なぜこれまでに行政に改善を求めてこなかったのか、条例に問題があるというならば、なぜ条例改正を考えなかったのか。」「文書の検査をしていて、景観への配慮は大切だと思った。」「賛成で可決しておいて3年で廃止は、議員として責任ある行為か。」などがありました。

経済建設委員会での採決の結果は、3(親和会2名・山田議員):1(清流会1名)で廃止条例案が可決されました。この議案は12月20日の議会最終日に本会議で採決に付されます。

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