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2020/07/12

ウイルスと細菌の違いは何か?

家族の会話の中でうちの子どもたちが、ウイルスと細菌(バクテリア)の違いを知らないことに気づきました。確かにウイルスもバクテリアも病気の原因になり得ます。でも、「ウイルスもバクテリアも同じ“バイ菌”」ではありません。

自分の勝手な言い回しや例え話しを交えて、ウイルスと細菌(バクテリア)の違いをまとめてみました。

 

<ウイルスと細菌の違いは何か?>

 かつてウイルスは濾過性病原体と呼ばれたそうです。細菌と違って、素焼きの植木鉢のようなセラミックのフィルターを素通りしてしまうのがウイルスです。ナノサイズのフィルターがなかった昔の人々は「病原性の液体」と思ったことでしょう。すなわち細菌とウイルスではサイズが違うと言うことですが、本質的な違いは何でしょうか。
 細菌は単細胞といえども立派な生物で、独立した生物として生きていくのに必要な細胞と、その中に生物体として活動するための器官をちゃんと持っています。一方、ウイルスは遺伝子の断片からなり、遺伝情報とそれを保護するための殻と生きている細胞にとりつくための表面を持っている巨大分子の集合体のようなものなのです。だから、自ずと大きさが異なり、細菌(ミクロン単位)は光学顕微鏡で見える大きさであるのに対して、ウイルス(ナノメートル単位)は電子顕微鏡でないと見えません。

 ウイルスは自己複製をするので、一応生物とみなされていますが、生物の3条件と言われる (1)外界と膜で仕切られている (2)代謝(物質やエネルギーの流れ)を行う (3)自分の複製を作る のうちの代謝機能はありません。また、生きた細胞に寄生(感染)しないと自己複製も出来ません。細胞膜はありません。よって、ウイルスは他の生物とは異なるものなのです。だから、ウイルスは生物の進化の途中で、生物の遺伝子の断片が細胞の力を借りて自己複製する機能を獲得したのではとも考えられています。

 ところで、コンピュータウイルスという言葉があります。ちょうどコンピュータをOSやアプリケーションソフトなどのプログラム(遺伝情報)と、電源ユニットやCPU、メモリー、HDDなどの代謝機能をもったハードウェアを兼ね備えた生物にたとえるならば、コンピュータウイルスはコンピュータに寄生するプログラムの一部であって、感染したコンピュータのハードウェアを利用し自身のプログラムをコピーして、メモリー媒体やネットワークなどを介して他のコンピュータに伝染させるところは、本物のウイルスとそっくりと言えます。

 ウイルスとはハードを持たないプログラムの断片なのです。これが生物の細胞の中に侵入し、生物のハードを乗っ取って、時には生物の遺伝子の中に紛れ込み、時には遺伝情報を書き換え、そして、自分の遺伝子をコピーして増殖します。遺伝子は遺伝情報に基づき細胞内で指定されたタンパク質などを合成するので、それらによって生体内に異変が生じます。最後には宿主の細胞を破壊して自分の分身をバラ撒くことになります。こうして感染・増殖・伝染を繰り返すことになりますが、宿主の生物が死んでしまうとウイルス自身も生きられないので、それまでに他の生物に乗り移らねばなりません。そういう意味では、一番賢いウイルスは、宿主を殺さないウイルスかも知れません。

 我々の体は普段から無害のウイルスをたくさん飼っています。例えば、ヘルペスウイルスや水痘帯状疱疹ウイルスです。これらの中には、体の抵抗力が低下すると急に増殖して悪さをするものもあります。互いにお世話になりつつ共生しているウイルスもいるかも知れません。

 抗生物質などの抗菌薬は、細菌の増殖を阻害する物質で、ウイルスには効きません。抗ウイルス薬としてはタミフルやリレンザなどのインフルエンザ治療薬が知られていますが、種々のウイルス感染症に効果的な抗ウイルス薬は開発されていないのが現状です。感染症はワクチンの投与によって予防することができます。ワクチンは、病原性を弱めた病原体もしくは病原体の一部を、感染前にあらかじめ投与し免疫を高めるものです。
 もし、新型コロナウイルスのワクチンが開発されれば、新型コロナウイルス感染症を予防もしくは発症しても重篤化しにくくすることが期待されます。

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