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2021/04/11

佰食屋の経営者、中村朱美さんの講演を聴いて

中村朱美さんの講演を聴く機会がありました。

中村さんは、京都で1日100食のステーキランチを提供する佰食屋を運営する㈱minittsの代表取締役。ウーマン・オブ・ザ・イヤー2019やワーク・ライフ・バランス、ダイバーシティに関することなど14の賞を受賞、今注目される経営者です。

 http://powermama.info/?p=6089
 https://workmill.jp/webzine/20190910_hyakusyokuya.html
 https://miiolo.com/nakamuraakemi-100syokuya-5919

以下、中村さんの講演の私なりの要約です。

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自分は紙を見ずに自分の言葉でお話をすることにしている。でないと信用できないし、紙を読むのであれば、講演を聴かずに紙をもらえばよいと思う。
 
 < 28歳OLが生み出した佰食屋 >
30年前、自分が6歳のころ、父はホテルのシェフだった。母もホテル勤めで二人はそこで知り合った。当時、父は「飲食店は大変やから、やったらあかん」が口癖。家族全員で晩ご飯を食べるのが私の夢だった。そののち、父が交通事故で立ち仕事ができなくなり、財務端へ異動、家でご飯を食べられるようになった。
そして今。ZOOMで仕事をする時代になっても、世の中の飲食店の働き方は変わらない。

大学卒業後、専門学校の広報部門で5年半働いた。夫は13歳年上の不動産営業マン。趣味の料理が上手で、夫のステーキ丼は絶品。死ぬ前に食べておきたい「さいごめし」と言ってもよいほどだ。

8年前に脱サラして、2012年の11月29日(いいにくの日)に国産牛ステーキ丼専門店を開業した。2015年には繁華街の河原町、2017年には京都の台所 錦市場に出店。2019年には四条大宮に佰食屋1/2を開店した。
佰食屋は1日100食限定、佰食屋1/2は50食限定。それもランチ営業のみなのだが、とても繁盛した。お客様のおばちゃんから「なんで千食屋や万食屋にせんの?」と言われたりするが、100食という制約が生むメリットがある。これは他の業種でも応用できるアイディアだと思う。
 
 <メリットは3つ>
まず、フードロスがほぼゼロ。在庫なし。冷凍庫もいらない。そして、100食限定という希少価値で集客効果が生まれる。これは全年齢対象で、かつ不景気や有事に強い。(コロナ禍でも売り上げ10%アップ)
ただし、レア物やインスタ映えなどのコンセプト集客は持続力がなく日常に弱い。だから通常、飲食店で30%の原価率を、国産牛と国産米の使用で50%と高く設定している。収益率が低いので広告費はゼロ、その代わりに原価率の中でお客様に広告をゆだねている格好だ。お客様の自主的なSNSへの話題提供なら、流行りのメディアが移ろっても発信は持続する。この効果は計り知れない。TVなどの取材も絶えない。
また、100食限定なら早く仕事を終えて早く帰ることができる。従業員の中には、シングルマザーや定年なしの高齢者、障がい者、外国人、妊婦などいろいろな人がいて、働くことができている。自分も脳性麻痺の長男がいるが、家族で食事もできている。
 
 <真の働き方改革とは>
真の働き方改革とは、自己決定権があるかどうかだ。この考え方が多くの受賞につながっている。
佰食屋では、出退勤時間を自由に選べる。社員は出勤が9時~9時半、退勤が16時~17時45分の間、アルバイトは1日2時間から働く時間を選べる。これで社員の基本給も決まる。働く人の9割は女性で、はじめは短く選ぶが、給料も欲しいのでだんだん長い時間を選ぶようになる。
社員もアルバイトも、部下や同僚からも評価を受ける360度評価で年3回の賞与と年1回の昇給が決まる。
有休も公休も自分で指定できる。上司の許可は不要で、出勤時間までに連絡すればよい。失恋で突然休みを取った社員もいる。そもそも労基法上は自分で休みを決められることになっている。1日100食を5人で回すので、社員はギリギリ+1~2人の余裕をもって採用している。それで、人件費率は業界平均の30%よりも2%ほど高くなっている。
休暇を申請すると休む人が重なることがあるが、自由に自分で管理すると(仕事が回らないと困るので)みんなで話し合うようになる。仕事は毎日80%の実力でこなせる労働量にキープするようにしている。もしも、人員が4人になってしまったら80食を作ればよい。20食分は福利厚生費と考えている。
そして、たまには人数が多すぎる日を作り、やる気の芽を摘まないようにしている。(グーグルやアップルがリラックスできる場を設けているように)仕事に余白を作ると、アイディアや個人の成長、ひいては企業の成長につながる。朝礼、終礼はしない。
自己決定権で「私の会社」という意識が生まれる。会社が従業員に愛情を注げば自ずと愛社精神が生まれ、自ら頑張ってくれるものだ。これが究極の社員教育だと思う。
社員の採用はすべてハローワークで行っている。
 
 <コロナ禍でどう対応したか>
3月の京都は外国人観光客がいなくなり代わりに国内観光客で大賑わいだった。
しかし、2020年3月29日、志村けんさんが急逝。京産大でクラスターが発生。次の日に観光客が消えた。佰食屋の売り上げを調べたら、住宅街にある店は100%の売り上げがあったが、繁華街の店は20%に落ち込んだ。コロナ禍は統計データよりも集団心理。このままいくとキャッシュフローがなくなり4か月後に倒産するのが明らかだった。給付金だよりでは自立経営はできない。答えがなかった。
売り上げ20%の店を切るしかない。そんなことは従業員がわかっている。「朱美さん、早く決断してしてください」と従業員に背中を押されて4月11日に2店舗の閉店を決断した。決断が早かったおかげで、当時、解雇者がまだ少なかった時期にみんな再就職できた。
 
 <転んでもタダでは起きない! ピンチをチャンスに!>
4月から計画的な集客作戦に取り掛かった。①2店舗を閉鎖、解雇説明会、再就職支援 ②京都府が緊急事態宣言に入る前に完全テイクアウトへ ③GW明けの平日に集客が落ち込まないよう「5月7日作戦」(4月はステーキ丼のみのテイクアウト。5月7日からハンバーグなどもテイクアウトメニューに入れ、1日100食売り切る。) ⑤5月22日に緊急事態宣言解除、5月25日に他より一足早く通常営業再開 ⑥6月に感染対策指針をSNSで公表(食中毒を防ぎ、医療従事者に負担をかけないためにゴム手袋をする。前席にアルコールのボトルを置く。換気効率を計算して公表。) ⑦8月に新商品開発(HANAKAGOパン屋と共同で揚げたてのカレーパンを作りUberEatsで配送) ⑧12月に忘年会の代わりにオフィスでテイクアウトランチ会、1月に新年会を提案。
結果、打てば響くもので顧客の反応はあった。振り返ってみれば当たり前のことしかしていないが、出来ることを早く決断していくことが大事だと思う。
今後、2021年はGW明けからまた落ち込むと思っている。

作戦を立てるときに大切なことは、誰のためにやるかということ。会社が危機を脱することが「お客様のために」よりも優先してはいないだろうか。クラウドファンディングはコンセプト消費なので、1回助けると終了して、心からデリートされてしまう。「なんかおもしろい」というお客様のテンションを上げる心の動きが必要になる。
まさに、フルマラソンは1mの積み重ね。毎日少しずつ前進することだ。
 
 <なぜか足りなくなる。日曜日の人員不足>
“佰食屋1/2”は、50食(トロ肉重、カレー肉重、つけめん)を2人で提供している。日曜日の人員がなければ、“佰食屋1/2”を日曜定休にして他の佰食屋に回す、2店舗1ユニット体制にした。結果、コロナ後に人件費が減ってより強くなった。
 
 <これからの時代を生き抜くために>
企業の存在理由は利益か?
事業を通じて世の中をよくすることでは?
そこに愛はあるか?(これはアイフルのCMにもあった。アイフルは京都の会社だ。)

AI、自動運転、ドローンの世の中で、無機的ではない人と接する愛のある仕事に価値が置かれる時代が来る。これは中小企業の強みだ。
 
 <私が提案する愛のある経営>
1日50食で5万円。月に130万円。これは1日6時間勤務で2人でできる。47都道府県に1店ずつ作れば年商7億円。1割が利益として7000千万円。自社競合もせずに、おまけに分散しているので災害にも強い。そんな展開をしてみてはどうか。
時短の居酒屋のお昼を借りるランチ提供「居酒屋チェーン×佰食屋1/2」も考えられる。
SDGsの17の目標のうち「8(生きがいも 経済成長も)」と「12(つくる責任 つかう責任)」に取り組みたい。
著書「売り上げを減らそう」をぜひ読んでみてほしい。

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