地問研の市町村ゼミナールに出席。テーマは深化する公民連携。
久し振りに、地域問題研究所の市町村ゼミナールに出席しました。今日は、深化する公民連携をテーマに、3人の若手~中堅の自治体職員による事例紹介を聴くことができました。
<埼玉県横瀬町の「よこらぼ」>
秩父地域にある人口8000人の横瀬町が日本一チャレンジするまちを掲げて取り組んでいるのが「横瀬町とコラボする研究所」略して「よこらぼ」。個人・団体・企業が横瀬町で実施したいプロジェクトやチャレンジを、横瀬町のフィールドや資産を利用して横瀬町がサポートします。
民間がプロジェクトをやりたくても、民間地域課題を解決するための実証実験の場がない、住民の協力が得られない、などの悩みがありがちです。そんなプロジェクトを積極的に受け入れて、コラボすることによって、まちを活性化でしたい! プロジェクトが住民のためになれば、そのまま制約なく持ち込んでコラボができる! 官民連携の中でもプレーヤー寄りのプログラムです。横瀬町は、行政権限による法的サポート、公共施設や住民への参加協力依頼、イベント等に最適な遊休地の貸出などをします。
これまで過去5年間に、提案が164件、そのうち審査会で採択されたのが93件。内訳は、新技術活用・開発に関するもの25件、教育・子育てに関するもの30件、シェアリングに関するもの13件などでした。なぜこんなに提案が集まるのだろうかと思いますが、都内のクリエイタークラスの参加で、提案者が提案者を呼ぶ効果もあるのだそうです。
<富山市の「未来共創 とやまシティラボプロジェクト> 少子高齢化による財政逼迫や地域課題の多様化・複雑化などの現状分析。「市民の困りごとの増加→行政サービスの膨張→市民の主体性の喪失→」の負のループでますます自治体財政が不健全になっていくモデルから、「多様な主体による地域課題の解決機会を創出→地域に対する若者の関心→新ビジネスで地域課題の解決→税収もアップ→」のループを挿入し市民の主体性を取り戻す持続可能な地域経営モデルを提示。富山大学などに県外から若者が集まりながら卒業生の約7割が県外に就職していること、税収増のために事業主を増やすことに注目。行政は将来像として「行政サービスの担い手」から「プラットファーマー」を目指すべきと結論づけ、未来共創「とやまシティラボ」プロジェクトを立ち上げました。この過程を説明するデータの整理の仕方、見せ方がうまいなあと思いました。
コンセプトやスキームづくり、プロジェクトの運営をコンサルに任せてはいけないとの思いで、官民で3日間議論。「未来共創」を「富山市の産学官民が、立場を越えて対話を重ねることにより、未来のビジョン(ありたい姿)を共に描き、共有した上で、ビジョンからのバックキャスティング(未来起点の発想法)で地域課題を明確化するとともに、実証・試行を通じて課題解決に取り組み、新たな価値を創造すること。」と定義。推進方針を ①デジタルテクノロジー・データの活用 ②わかもの・よそものに対する機会提供 ③チャレンジ(トライアル&エラー)できる環境づくり としています。
2020年に、学生研究員を擁する拠点施設「Sketch Lab」をオープン。「とやま未来共創チーム」や「とやま未来共創会議」などを仕掛けています。
<広島県廿日市市の公民連携>
日本三景の宮島から中山間地まで抱え、広島市のベッドタウンでもある廿日市市では、水族館の新展示館、学校給食センター、クリーンセンター、地域医療・子育て・介護総合施設、生涯学習・スポーツ・図書館・子育て支援複合施設など、総額375億円もの施設建設事業が進行中。行革と資産経営の取り組みとして、ハード、ソフトの両面で公民連携を積極的に進めています。
ハードでは、宮島水族館のPFI、大野学校給食センターの設計・建設・維持管理運営の一括発注、はつかいちエネルギークリーンセンターの設計・建設・維持管理運営の一括発注、地域医療拠点整備事業では官民複合施設として公共用地を活用、筏津地区公共施設再編事業の設計・建設・維持管理運営の一括発注。ソフトでは、給与や総務の業務、市民課窓口業務、要介護認定・給付業務、こども課窓口業務などをパソナ等へアウトソーシング、不動産管理会社へ公共施設包括管理業務委託、汚水処理施設や簡易水道施設の包括管理業務委託、オフィス家具メーカーへ事務スペースのトータルコーディネート委託、随意契約を前提として民間事業者の主体的な発意を引き出す「随意契約保証型民間提案制度」など、様々な官民連携を展開しています。
たまにwebセミナーを視聴することがありますが、やはりライブが良いですね。昨年も7月の市町村ゼミナールに参加していました。昨年は、奈良県生駒市の小紫市長の講演でした。
| 固定リンク
コメント