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2021/09/12

知多半島で野犬のエキノコックス感染が見つかっています。

北海道の致死の危険性がある寄生虫疾患【エキノコックス症】が愛知県でも発見...忍びよる恐怖』という記事がYahoo!ニュースに載っていました。大阪の獣医さんが書かれた記事です。別に恐怖をあおっている記事ではなくて、無知は最大の敵、科学的な知識を持ち適切に予防しましょうと訴えるきわめて真っ当な記事だと思います。ご一読をお勧めします。

 →https://news.yahoo.co.jp/byline/ishiimasumi/20210903-00256093

 
平成26年に、知多半島の野犬からエキノコックス(多包条虫)が見つかったことを記憶している方もいらっしゃることと思います。エキノコックスは北海道でキタキツネなどイヌ科の動物が感染している寄生虫で、本州では2例目の検出となりました。
以来、愛知県では捕獲した野犬などを対象にエキノコックス症の調査を行ってきました。その結果、平成26年度から29年度までに糞便中におけるエキノコックス虫卵の顕微鏡検査を行った245検体の内で虫卵の検出はありませんでした。しかしながら、PCR法を用いて糞便中のエキノコックス遺伝子の検査を行ったところ、平成29年度の56検体中3件の野犬の糞便からエキノコックス遺伝子が検出されました。その後、令和元年度に166検体中1件、令和2年度に122検体中4件、平成30年度以降これまで合計431検体中5件の検査陽性が見つかっています。今年度に入って7月までに新たな陽性は見つかっていません。また、これまでに調査した範囲内で野犬以外のキツネ・タヌキなど9検体からエキノコックス遺伝子は検出されていません。

Echinococcusdogs-research-area-aichi

 
東浦町内では、まだ、野犬等のエキノコックス(多包条虫)は見つかっていませんが、狭い知多半島の中で他の野犬やキツネやタヌキに伝染していないとは言えません。
自然界では、エキノコックスに感染したイヌ科の動物の糞を虫卵とともに野ネズミなどが食べ、それをイヌ科の動物が捕食し、最終宿主の体内で成虫が産んだ虫卵をまた排泄することによって条虫は増殖を繰り返します。したがって、人が犬やキツネなどの動物に触れたりすることにより、また動物の糞が付着した山野草や沢水などから経口で感染する可能性があります。また、飼い犬や猫も、中間宿主の野ネズミなどを捕食することによって感染の可能性があります。犬を連れての北海道旅行は要注意です。

Ecology-of-echinococcus-apiph
Ecology-of-echinococcus-2-apiph

 
エキノコックスの人への感染は、北海道で毎年20件前後の報告がありますが、本州での本州由来の感染は極めて稀のようです。しかしながら、無症状の潜伏期間が5~10年と長く発見が遅れがちなこと、人は本来の宿主ではないので肝臓や場合によっては肺や脳などに迷入し、適切な治療をしなければ死に至るため、正しい知識をもって予防することが必要です。愛知県では以下のような予防方法を呼び掛けています。

Prevention-of-echinococcus-mhlw

 

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